たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雑誌「子どものしあわせ」表紙絵

2022年03月04日 15時07分30秒 | いわさきちひろさん
雑誌「子どものしあわせ」表紙絵

「働いている人たちに共感してもらえる絵を描きたいと、ねがいつづけてきた私は、自分の絵に、もっと「ドロ臭さ」がなければいけないのではないかーと、ずいぶん悩んできたものでした。

 ドロンコになって遊んでる子どもの姿が描けなければ、ほんとうにリアルな絵ではないかも知れない。その点、私の描く子どもは、いつも、夢のようなあまさが、ただようのです。

 実際、私には、どんなにどろだらけの子どもでも、ボロをまとっている子どもでも、夢をもった美しい子どもに、みえてしまうのです。

 しかし、この「子どものしあわせ」の表紙は、そうした迷いをすてて、ほんとうにうれしく描けました。私は、工場の勤労者の生活は深く知らないかもしれませんけど、母と子の姿なら知っています。私も、子をもつ母親だからです。

 迷うことなく、スッキリした、ある意味では少々モダンなものを、思いきって描こうと決心して、絵筆をとりました。

 そして思いましたー。

 これからは「ドロ臭さをださなければ」などと苦しむのは、もう、やめようと。

 いまの働く人びとは、現代的なセンスを、私たちが考えている以上に、きっと、もっているにちがいないと、おもうのです。

                                  いわさきちひろ(1963年)」

画像は「毛糸を編む少女」(1972年)、ちひろ美術館公式ツィッターより。













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