厚生労働省が18日公表した2012年の労働組合基礎調査によると、今年6月30日現在の労働組合の組合員数は989万2,000人で、前年を6万8,000人下回った。前年を0.2ポイント下回る17.9%で、過去最低を更新した。一方パートタイム労働者の労組員数は6万1,000人増の83万7,000人、推定組織率は6.3%で、数・率とも1990年の算定開始以降の最高を更新した。
戦後労働組合結成が自由になった時は組織率55%台までになったがその後一貫して低下し続け、ついに18%を割ってしまった。労働組合があれば労働者は団体交渉ができて自分で労働条件決定に関与できる。今の状態では大多数の労働者は経営者の配慮で賃金、賞与、退職金、福利厚生が決められるわけだ。組織労働者とそうでない労働者の労働条件は大きく差が開いてくる。
国際的な統計を見ると、労働組合の組織率と所得格差(ジニ係数)に相関関係が見られる。北欧諸国のように組織率が高い国ではジニ係数が低く、格差は小さい。
組織率 ジニ係数
フィンランド 74.1 26.9
スエーデン 78.0 25.0
デンマーク 70.4 24.7
これに対しアジア諸国は日本を含め組織率が低く、ジニ係数は高、格差は大きい。
オーストラリア 19.7 35.2
韓国 11.2 31.6
日本は1985年25台から一貫して悪化し、28ぐらいになっている。中国では労働組合の結成の自由がなく、中国の報道ではジニ係数は61台と世界でも最悪の事態だ。
今回の調査の中で、良いニュースはパートの組織率が改善されたことで、流通関連の労組の努力がうかがえる。