昨日28日、日本フィルの第九を聞いた。指揮者は「炎のマエストロ」といわれている小林研一郎、期待して池袋の芸術劇場へ。第九が日本人に愛され、200くらいの演奏会が12月に開催されるという。ドイツでも年に一回か二回の演目で、世界でも珍しい現象だ。何となく将来の不安を思わせる第1楽章から歓喜の合唱で終わる第4楽章、ドラマ仕立ての交響曲が有為転変の仏教思想を思わせるからではないかというのが私の独断だ。
今回のコバケンの指揮ぶりは炎が燃え上がったような凄まじい迫力で聴衆は圧倒された。彼自身福島県小名浜出身で、あの大震災・大津波に襲われた故郷への思いがあったのかもしれない。演奏後合唱団の一人から聞いた話だが、日フィルだけで第九を7回(うち1回は松本)、しかも先週までは入院先から、主治医付きで駆けつけてきたというコバケンの執念のすごさを強調していた。
27,28日と連チャンの公演で、28日は前日とは違う要求を合唱団にし、開場ぎりぎりまで指導をしたとのことだ。それだけに演奏が終わってから日フィルの各奏者とハグをして喜び、全力を出し切った指揮に答えた団員に感謝を示した。私も含め聴衆も感動を与えられ、2012年の良き思い出となった。