岸田首相が言い出した「金融所得課税」、預金、株式、投資信託などの金融商品で得た所得(配当金、利子、株式譲渡益など)に対しての税金だ。現在金融所得に対する税率は一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となっている。数百円の利益であろうと、数億円の利益であろうと税率は変わらない。
日本の貯蓄の大部分は預貯金、利息はスズメの涙、税金はさらにミミズの涙。日本の大問題は年金生活者を含め国民がかつて数パーセント有った定期預金の利息が0.0002%とほとんど無くなって消費や住宅に回せなくなったことだ。私が最初にマンションを買った40年前、貸付信託の利息は7%ぐらいはあり、それだけでも資産は増やせた。
今や、株式投資をしなくては7%のリターンは得られない。これまでこのブログでどのような投資信託が年金生活者にふさわしいか書いてきた。今や預貯金では豊かな老後は保障できない。自民党政権も「貯蓄から投資」へという政策を進めてきて、確定拠出年金、NISA、iDeCoなど非課税枠を設けて来た。それでも貯蓄偏重は是正できなかった(最近の統計では54%が貯蓄、株、債券は15%)。その大きな理由は年金生活者には一般NISAぐらいが利用でき、貯蓄の大部分はいまだ銀行貯金かタンス預金だ。オレオレ詐欺でよくそんな大金を家に置いとくもんだとか普通預金にしておくもんだと驚く。
こんな中で、折角稼いだ投信の配当や分配金の税金20%を更に増やすという岸田首相の動きは市場から強烈な反発が起きた。聞く耳を持ってるという岸田首相とりあえず撤回した。野党の中にはまだ格差を是正するためには金融所得課税を強化せよと主張している。中産階級を増やすには株や国債、債券の投信は不可欠で、資本主義国家である以上それによって国民は豊かになる。
今後、議論すべきは金融所得課税においても一律20%を累進性にするといったことだろう。