リスボンの西部
テージョ川の河口に位置するベレン地区
かつて新大陸に向けて
船が出航した歴史的なエリア
そのうちにある「ベレンの塔」は
テージョ川と大西洋の境目に建つ塔は
マヌエル1世の命により
建築家フランシスコ・デ・アルーダが設計し
1519年に完成している。
最初は行き交う船の監視と河口を
守る要塞としての役割であったが
後に税関や電報局に転用されていた。
今は ジェロニモス修道院とともに
世界遺産に登録されている。
作家・司馬遼太郎の著書
「街道を行く 南蛮の道」では
塔は「テージョ川の公女」とたたえ
「ながい航海のすえ、
母国の河口港に入ってくる船は、
船体も傷み、ひとびとは疲れ、女性を恋い、
さらには故国において
母性を見出すべく心が渇ききっている。
かれらが夜、港外で塔の灯を見、
朝塔の姿を見たとき、
生きてリスボンに
たどりついたという思いが、
体中を溶けさせるのにちがいない・・・」
と綴っている。