川湯温泉から約3kmの 標高512mの硫黄山は
アイヌ語で「アトサ（裸）ヌプリ（山）」とよばれている。
現在でも火山性ガスを噴出しているが 有毒な硫化水素
を含んでいるので かなり硫黄の匂いがする。
『この硫黄の匂いが再びこの地を思い出させてくれた！』と
家人は言う。
写真を見る限り 蒸気が噴気孔から上がる風景は
全然変わっていないようだ。
ここ硫黄山でトラブル発生 我がキャノンカメラのシャッターが
突然下りなくなってしまった。 噴気孔のガスの影響なのか
これ以降 にっちもさっちも下りない。
結局 帰って修理に出すことになってしまった。
名物”ゆで卵”を売店で 買い求めて 塩をふりほうばり
一時休憩をして 気を静める。
摩周湖から 12km先の 川湯温泉へ
川湯の名はアイヌ語の「セセキ（熱い）ペツ（川）」からきており
温泉街のなかを高温の温泉川が流れている。
函館近郊の湯の川温泉とも同じようにあったので
名称を「川湯」と順序を変えて命名したそうだ。
温泉街周辺には 少年時代を過ごした元横綱の
大鵬に関する資料館もある。
今回道東を旅してあちこちの駐車場で 中国人観光客を
乗せた観光バスを多く見る。
これは 東北海道を舞台にする 中国で2009年 旧正月前に
公開され 大ヒットした作品 ラブコメディー映画 「非誠勿擾」
邦題は「狙った恋の落とし方」が影響して 中国人の
北海道旅行に火をつけたそうだ。 納得！
阿寒湖から引き返し 再び摩周温泉を経由し 摩周湖へ
天候は曇りで少々霧かかっていたが 何とか見渡せることが
できた。やはり自然の景観は天候がもの言う。
霧の晴れた摩周湖を見ると ”男は出世できず”
”女は婚期が遅れる”と言われているが これは摩周湖が霧で
見えないことが多い為 霧で見えずにがっかり
しているツアー客を慰める為にバスガイドが作ったと
言われてはいるが
周囲は300m以上の絶壁に囲まれ 注ぎこむ川もないのに
水位はいつも変わらない 水の色は”摩周ブルー”といわれ
また景観は”霧の摩周湖”で有名。
家人も 『この景色は昔と変わらない！』と
当時の思い出が 蘇ってきたようだ。
湖の中に見える島は 「カムイシュ島」（アイヌ語で
「神となった老婆」）水面からの高さ30m 大きさ110m×40mで
高さ240mの火山の山頂部分だそうだ。
このあと 第一展望台から第三展望台へ移動するが
ここで疑問 第二展望台がない？
調べると 第二展望台は第一と第三の途中に
昔はあったのだが 地形や道路の関係で
自然消滅して 幻の展望台になっているようだ。
摩周湖は 周囲20km 面積19ha 最深211m
世界一級の透明度のカルデラ湖
日本百名道 阿寒横断道路（国道241号）を
摩周温泉から 阿寒湖温泉へ
修学旅行も立ち寄っている。
湖畔近くに 北海道最大のアイヌコタン（集落）があり
その当時 ここで買ったお土産の手彫りの”熊”も今も健在だが
今回は 可愛らしい”まりも”をお土産に購入する。
"まりも"は 他の湖でも発見されているが 完全球体であるのは
阿寒湖だけだそうだ。
また 湖畔の自然探勝路には ”ボッケ”と呼ばれる
炭酸ガスとともに温泉が湧き出すところがあり
家人は その場所に 思い出があるとのことだったが
時間の都合で行くことができなかった。
”ボッケ”とはアイヌ語で「煮え立つ」を意味する。
＊阿寒湖は 周囲30km 面積13ha 最大水深約45m
雄阿寒岳のカルデラ湖
夕日にしたっていて すっかり遅くなってしまったが
摩周温泉に到着
利用した施設に 中央大学の駅伝チームが
合宿をしていた。 ここまで来て 合宿しているのには
驚いたが 女子マネージャに聞いたところ
「17日から一週間の日程で 10月出雲 11月全日本
最終目標 箱根駅伝に向けて 調整する。」とのことだった。
＊先日行なわれた 23回出雲駅伝では 23年連続出場
21チーム中9位 トップの東洋大から4分離された
また今年の箱根駅伝では6位 トップ早大から約12分
遅れの成績であった。
今後も ガンバレ！
道の駅 摩周温泉 周辺マップ
国道391号 釧路から摩周へ向かう途中
シラルトロ湖のパノラマが広がり
冷泉橋付近で 丁度夕日に遭遇する。
いろいろなところで 夕日の情景を見てきたが
ここの夕日は 今までに見たこともなく 最高に値する。
北海道の自然がおりなす落陽に しばし感嘆！
シラルトロ湖は
周囲7.5km 面積17ha 最大水深約2.3mの海跡湖で
湿原の原型を未だに残し 真冬でも凍ることもないことから
白鳥やオオワシなども見ることができるとのこと。
達古武湖（タッコブコ）
国道391号を釧路湿原の案内板により左折して すぐに湖が
右手に現れる。
釧路湿原周辺には3つの海跡湖 塘路湖 シラルトロ湖
達古武湖がある。 その一つ達古武湖は 周囲5km
面積13.7ha 最大水深約3m
ここ周辺では いろいろな遊び方ができるようだ。
その代表が貸し出しのカヌーや自転車 湿原探索には 絶好の
場所である。 また オートキャンプ場もある。
釧網本線 釧路湿原を走る展望列車「釧路湿原ノロッコ号」は
国内で一番遅いスピードで走ることで知られている。
夏の時期は 釧路から塘路まで一日2往復運転されている。
乗りたかったし また走っている姿も見たかったが
時間が合わず 湿原の細岡駅近くの「中の沢踏切」 だけの
見学に終わる。
北海道には全国の8割を超す湿原がある その代表格で
最も広い釧路湿原へ
(東西最大幅25km 南北36km 面積約2万ha)
釧路湿原国立公園は 198（昭和62）年に28番目の国立公園
として誕生している。
ビジターズラウンジ前の駐車場から車道を通って細岡展望台へ
この展望台は 湿原の代表的な眺望スポットで、テレビや雑誌
などに多く掲載されているところだが かつて釧路湿原が
海だった頃 岬だった場所とのこと。
釧路川の蛇行や湿原が広がり 雄大さが感じられたが
タンチョウ鶴の姿はなく 丁度夕方の時間 逆光でもあり
また観光客も多くいたので よき写真は撮れなかった。
ここから引き返す遊歩道から 第一展望台へ。
第一展望台からは、湿原までの距離が若干感じられるが
視界を遮るものが少ないので、湿原全体がよく見渡せて
こちらからの景観はまずまずだった。
しかし 遠くの雄阿寒岳 雌阿寒岳は 雲が少々あったので
頂までは見えなかった。
この「鶴見橋」は 欄干から外灯まで全て ”鶴” のモニュメントになっている。
鳥取大通りを通り 屈斜路湖を源に 釧路湿原を経て
流れる来る 「釧路川」に架かる ”鶴見橋”を渡り
直ぐに左折して 摩周国道391号線へ釧網線と並行して
摩周方面へ向かう。
ここ釧路町は 釧路市の釧路町ではなく
市町村としての町制の ”釧路町” である。
大正正期に釧路町（現・釧路市）より分離独立し
昨今 国の市町村合併促進奨励にて
「市」 「町」は 再び合併のための協議を進めていたが
不調に終わっている。
釧路市と釧路町の関係は 1920年に当時の
釧路郡釧路町が北海道区制（明治30年5月に明治政府が
定めた北海道における地域区分制度、北海道区制
一級町村制及び二級町村制が公布された）が
施行された際に「釧路区」と「釧路村」に分離し
それが現在の「釧路市」と「釧路町」になっている。
釧路市内を走っていて おや！と思うことがあった。
「鳥取大通り」「鳥取１丁目」・・・ といった”鳥取”という地名が
やたらと目に付いた。
この地域は 鳥取県の士族が新天地を目指し入植して開墾し
昔は鳥取村 鳥取町と言った行政区域であった。
その後 1949（昭和24）年10月 釧路市に編入したが
鳥取の名は今も残されているからだった。
このように北海道には 本州にある地名がところどころに
見受けることがある。
有名なところでは「北広島市」「新十津川町」
これらも 本州のその地の人々が開拓団として入植し
団結力を高めるために 地名をつけたようだ。
特に 「新十津川町」は 奈良県の「十津川町」が
122年前の大水害により集団移住して誕生したことを
先の台風12号の被害で その経緯を知った。
ロータリーからみる「幣舞公園」
”出世坂”の上には ガラス張りの生涯学習センター「まなぼっと幣舞」が見える。
「幣舞橋」で もう一つ忘れてはならないのが
釧路出身の女流小説家・原田康子のディビュー作と
なった「挽歌」の舞台になったことから 出版すると
たちまち70万部が売れて空前の「挽歌」ブームが起り
全校的にも有名になった。
「挽歌」は 1955(昭和30）年6月～翌年の7月まで
ガリ版刷りワラ半紙の同人雑誌「北海文学」に10回
連載され 約800枚の長編小説
あらすじは 太平洋戦争を体験し敗戦による失意を
引きずりながら 戦後を生きようとする建築家桂木と
偶然の縁で桂木と知り合い 彼と彼の家庭に好奇の
心を注いで ”侵入者” となっていく主人公 ”兵藤怜子”
との不倫の愛が 不毛と憂愁をたたえて広がる
「釧路湿原」を背景に描かれる。
その一節が記念碑として 正面の幣舞公園内にある。
高台から見降すと
下町には明かりがともっていた。
しかし町の明かりの果ては、
広い真暗な湿原地に呑みこまれているようだった。
─原田康子『挽歌』より─
1957（昭和32）年には 監督：五所平之助 主演：久我美子
森雅之 高峰三枝子らにより映画化され 森英恵デザインの
主人公のファッションが流行し 社会現象にもなった。
その後も 1976(昭和51）年 秋吉久美子主演で再び
映画化されている。
釧路というと すぐにこの「幣舞橋」が浮かんでくる。
この近くにNHKがあり 天気予報や高潮 霧などの話題が
あるとよく映し出されるから。
この「幣舞」（ぬさまい）は アイヌ語で「ヌサ・オ・マイ」
（幣舞の・ある・ところ）を語源とする説がある。
「幣舞」とは 神を祀るためのイナウ（木幣）を立てて並べ
祭祀などの儀式を行なう場所をいう。
現在の橋は 五代目になり 1977（昭和52）年に
老朽化とラッシュ時の交通緩和のため 架け代えられている。
その際 市民参加でイメージを討議 親柱やアーチ型など
先代の橋の面影を残しながら 機能性と芸術性に配慮した
新しい試みを採用され 橋の高欄のデザインは釧路市の
彫刻家・米坂ヒデノリによるハマナスをモチーフとした
模様「花に囲まれた道」を採用され 橋脚上には日本を
代表する船越保武・佐藤忠良・柳原義達・本郷 新の４人の
彫刻家が製作した 裸婦立像「道東の四季」が設置されている。
石川啄木 徳富蘆花も 明治期の先代幣舞橋を渡っている。
また 昭和40年代には「霧」「北国」「港町」というキーワードにより
歌謡曲にも取り上げられ 特に美川憲一の「釧路の夜」は
ヒット曲となった。
この橋で 寅さん映画「第33作 夜霧にむせぶ寅次郎」
（1984年）のロケが行なわれている。
釧路駅近くの床屋で 寅さんが 散髪しているところに
風子（中原理恵）が入ってきて 「理容師に使ってくれないか」と
申し込むが 断れる。しばらくして 寅さんが 幣舞橋を歩いて
いると 公園で風子がぼんやりと座っていて 寅さんが
風子に 声をかけるシーンだった。
国鉄時代の面影が残る釧路駅舎
アイヌ語の「クッチャロ」（のどの口）すなわち沼口から出たものと
いわれている。
もと現在の「浜釧路」を「釧路」として1901（明治34）年7月20日
開業し 釧路－厚岸間の根室線開通に伴い 大正6年12月１日
現在の所に新築移転している。
釧路は夏場になると霧が多く発生し 札幌や東京と比べて
約20倍の霧が観測されている。しかしながら 日照時間自体は
あまり差がない。 また 冬は晴天が続くため、札幌よりも
日照時間が多くなるそうだ。
10月1・2日 NHKラジオ「地球ラジオ」が 釧路放送局からの
ナマ放送があった。 放送中流れてくる北海道の地名や
ご当地に関連した歌が 今回訪れたり 知ったことにより
風景や地図が目に浮かび また口ずさんだりで
より北海道が身近に感じている。
北海道は いよいよ冬が大きく前進してきた。
4日の朝には釧路 旭川では例年より早く初氷・初霜があり
前日には 旭川では 観測史上2番目に早い初雪を観測したと
ニュースがあったが 今年の冬は厳しいのでは・・・。
ゆるキャラ「タコ君とイカさんの恋物語」
2007年に全国から一般公募により決定した
恋問（こいとい）館のオリジナルキャラクター。
店名の「恋問」から特産品「柳だこ」と九州の「スルメイカ」が
恋問海岸で恋に落ちる物語をイメージしたそうだ。
しかしながら 白糠町の第三セクター
「白糠町振興公社」が経営する道の駅「しらぬか恋問」の
物販売上金から現金を抜き取る不正を始め
町総務課長の男性と公社の女性職員が着服を
していた事件のニュースがあったこと
しらぬかと”おやじギャグ”になりそうだ！
恋問のゆるキャラも 「これじゃ しゃれにならないな～」と
嘆いているのでは！
恋問館に面する太平洋沿岸に左右に広がる
約10ｋｍの砂浜海岸が恋問海岸。
道の駅「うらほろ」は 国道３８号線沿い 道東の中核
都市である帯広市と釧路市の中間地点にあり
中心市街地から約１ｋｍの丘陵地の樹林に囲まれている。
隣接地には緑豊かな広大な広場などが整備された
森林公園がある。
「恋問館」は、北海道では４番目の道の駅。
店内では、町の特産品やお土産品を豊富に取り揃えている。
テナント店では、「レストランむ～んらいと」の「この豚丼」が
人気があり 持ち帰り用として「駅弁」もあり 北海道道の
駅弁第１号に認定されている。
