三回目接種をご検討中の方も多いと思うので、オミクロンが流行っているときのワクチン効果のデータを探してみました。
←この国の統計っていったいどうなってるの
ちなみに「三回目打ちましょう」的な記事でよく紹介されているのは
(例: 1からわかる!新型コロナ(4)ワクチン 3回目接種 オミクロン株への効果は? 【2022年2月改訂版】)
「2回目の接種から25週を過ぎると、オミクロン株の場合、発症を防ぐ効果は10%程度にまで下がってしまいます。」
これは、イギリスの調査結果に基づく数字です。(この記述の後のほうに、グラフも出てきます)
でも、これまで二年以上の経験で、日本の状況が欧米とかなり異なったものになることはわかっているので、ぜひ日本のデータが知りたいところです。
第72回厚労省のアドバイザリーボード資料で、年齢別、接種状況別に感染率をまとめたものがあります。資料2-5の71ページ:
これによれば、重症化が問題になりそうな80-89歳で見て、10万人あたりの新規陽性者数が、未接種で1797.5人、2回済で93.1人となっています。つまり、効果は95%くらいです。えっ!?
95%といったら、武漢株に対するワクチン効果の、しかも打ってすぐ一番効いてるときくらいですよ。すごくないですか。
年代によってかなり違いますが、たとえば50代でも80%くらいと、高い効果が出ています。
これはとても「常識」と違うデータで、どう解釈していいのか悩んでしまいますが…
このデータを引用しつつ、3回目接種を奨めている忽那先生の記事がありました。
(A) 前述の厚労省データに基づき、ワクチン(2回)がオミクロンに対しても効いていることを主張しつつ、
(B) イギリスのデータに基づき、「半年ほど経つと発症予防効果はほとんど期待できなくなります」といいつつ、
3回目接種を奨めています。(A)と(B)はさすがに乖離が激しいと(たぶん)忽那先生は思っていて、なのでワクチン効果を「%」表記することなく、
「ワクチン未接種の人、2回接種済みの人との10万人当たりの新規陽性者数を比べてみると、全ての世代においてワクチン未接種者の方がワクチン2回目接種済みの方よりも3倍〜20倍ほど多くなっています。」と一目では比べにくい書き方にしています。
実際、日本では2回目接種から何か月も経ってなお、オミクロンにこんなに効いているとしたらものすごく大きなことで、それこそ論文にもなりそうですし、そもそも3回目接種いりませんね。でもそういう主張は誰もしていないようです。いったい、このデータは??
その種明かしになりそうなものが、同じアドバイザリーボード資料の「資料3-2」にありました。同じくHER-SYSデータを引用したものがあったのです。
表中、疫学週5、開始日が1/31となっているものが上の表と同じ週です。この表は年代別ではありませんが、合計数を比較しますとびっくりするほど違っていて、
同じデータベースから引っ張ってきたのに、ナニゴト!?
よく見ると、同じ週についてではありますが、データベースを参照した日が違います。
1/31-2/6のデータを2/7に参照したもの(資料2-5)と比較して、
1/31-2/6のデータを2/15に参照したもの(資料3-2)は
未接種が65歳未満で86491人、65歳以上で10426人減り(!)、
二回接種が65歳未満で7643人、65歳以上で974人増え、
接種歴不明が65歳未満で121756人、65歳以上で14170人増えています。(*)
つまり、HER-SYS(感染者が発生する都度登録するDB)の登録は、そちにじわじわ遅れた登録がされて母数が増えるだけでなく、とりあえず「未接種」に分類されていたものが接種ありになったり接種歴不明になったり、大幅な付け替えがされるということです。運用がそうなっているのはまぁ仕方がないことなのかもしれませんが、すぐ参照したデータは実態から大きくかけ離れていることを知りつつ、それをワクチン効果「あり」の根拠として「毎回」使っているのは問題です。
(別の回の資料も、「資料2-5」と「資料3-2」のデータベース参照日の違いは同様でした)
ただしその効果があまり高すぎてしまい、そのまま出すと単に「3回目打つ必要ないじゃん」になるため、あまり喧伝しすぎないように「そっと」使っている(^^;;
何をいいたいかというと、この国は、まともにデータを取るつもりがない(または取る能力がない)のでメッセージはたいへん気をつけて受け取る必要があるということです。
データの規模は小さくなりますが、年齢層別・接種歴別に細かくデータを出しているところとして、浜松市があります。
週によって違いがありますが、ざっくりみると、感染については、40代以上がほぼ効果なし、若い年代はやや効果ありで、イギリスのデータと大きな違いはありません。
それなら三回目打つとどうなんだということで、二つ目の表を見ると三回目でもやっぱりかかっているので(4の週、5の週それぞれでの3回目接種率がわからないのと接種率不明が大きすぎるので効果の計算はしにくいが)感染予防効果についてはさほど期待できないとして、
気になる重症化予防効果ですが、「浜松市」だとそもそも重症化する人が接種済みも未接種も少なすぎて、はっきりとはわかりません。国のほうは「接種歴不明」が多すぎでよくわかりません。いずれにせよ、高齢者かつ持病有でもなければそうそう重症化していないので、それ以外の方は三回目打たなくても(まったく打たなくても)コロナよりほかの病気や事故の心配をしたほうがいいレベルだと思いますが。
(*) そもそもなんでこんなに接種歴が不明なのかというと、感染者を登録するシステムと、接種を登録するシステムが何も連携していないところがまず根本的な問題で、また、HER-SYSに手入力する際、接種したことはわかっていても接種日が不明だと接種済みとは入力できないなどの問題があり、なかなか実態を反映しづらいようです。
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ちなみに「三回目打ちましょう」的な記事でよく紹介されているのは
(例: 1からわかる!新型コロナ(4)ワクチン 3回目接種 オミクロン株への効果は? 【2022年2月改訂版】)
「2回目の接種から25週を過ぎると、オミクロン株の場合、発症を防ぐ効果は10%程度にまで下がってしまいます。」
これは、イギリスの調査結果に基づく数字です。(この記述の後のほうに、グラフも出てきます)
でも、これまで二年以上の経験で、日本の状況が欧米とかなり異なったものになることはわかっているので、ぜひ日本のデータが知りたいところです。
第72回厚労省のアドバイザリーボード資料で、年齢別、接種状況別に感染率をまとめたものがあります。資料2-5の71ページ:
これによれば、重症化が問題になりそうな80-89歳で見て、10万人あたりの新規陽性者数が、未接種で1797.5人、2回済で93.1人となっています。つまり、効果は95%くらいです。えっ!?
95%といったら、武漢株に対するワクチン効果の、しかも打ってすぐ一番効いてるときくらいですよ。すごくないですか。
年代によってかなり違いますが、たとえば50代でも80%くらいと、高い効果が出ています。
これはとても「常識」と違うデータで、どう解釈していいのか悩んでしまいますが…
このデータを引用しつつ、3回目接種を奨めている忽那先生の記事がありました。
(A) 前述の厚労省データに基づき、ワクチン(2回)がオミクロンに対しても効いていることを主張しつつ、
(B) イギリスのデータに基づき、「半年ほど経つと発症予防効果はほとんど期待できなくなります」といいつつ、
3回目接種を奨めています。(A)と(B)はさすがに乖離が激しいと(たぶん)忽那先生は思っていて、なのでワクチン効果を「%」表記することなく、
「ワクチン未接種の人、2回接種済みの人との10万人当たりの新規陽性者数を比べてみると、全ての世代においてワクチン未接種者の方がワクチン2回目接種済みの方よりも3倍〜20倍ほど多くなっています。」と一目では比べにくい書き方にしています。
実際、日本では2回目接種から何か月も経ってなお、オミクロンにこんなに効いているとしたらものすごく大きなことで、それこそ論文にもなりそうですし、そもそも3回目接種いりませんね。でもそういう主張は誰もしていないようです。いったい、このデータは??
その種明かしになりそうなものが、同じアドバイザリーボード資料の「資料3-2」にありました。同じくHER-SYSデータを引用したものがあったのです。
表中、疫学週5、開始日が1/31となっているものが上の表と同じ週です。この表は年代別ではありませんが、合計数を比較しますとびっくりするほど違っていて、
同じデータベースから引っ張ってきたのに、ナニゴト!?
よく見ると、同じ週についてではありますが、データベースを参照した日が違います。
1/31-2/6のデータを2/7に参照したもの(資料2-5)と比較して、
1/31-2/6のデータを2/15に参照したもの(資料3-2)は
未接種が65歳未満で86491人、65歳以上で10426人減り(!)、
二回接種が65歳未満で7643人、65歳以上で974人増え、
接種歴不明が65歳未満で121756人、65歳以上で14170人増えています。(*)
つまり、HER-SYS(感染者が発生する都度登録するDB)の登録は、そちにじわじわ遅れた登録がされて母数が増えるだけでなく、とりあえず「未接種」に分類されていたものが接種ありになったり接種歴不明になったり、大幅な付け替えがされるということです。運用がそうなっているのはまぁ仕方がないことなのかもしれませんが、すぐ参照したデータは実態から大きくかけ離れていることを知りつつ、それをワクチン効果「あり」の根拠として「毎回」使っているのは問題です。
(別の回の資料も、「資料2-5」と「資料3-2」のデータベース参照日の違いは同様でした)
ただしその効果があまり高すぎてしまい、そのまま出すと単に「3回目打つ必要ないじゃん」になるため、あまり喧伝しすぎないように「そっと」使っている(^^;;
何をいいたいかというと、この国は、まともにデータを取るつもりがない(または取る能力がない)のでメッセージはたいへん気をつけて受け取る必要があるということです。
データの規模は小さくなりますが、年齢層別・接種歴別に細かくデータを出しているところとして、浜松市があります。
週によって違いがありますが、ざっくりみると、感染については、40代以上がほぼ効果なし、若い年代はやや効果ありで、イギリスのデータと大きな違いはありません。
それなら三回目打つとどうなんだということで、二つ目の表を見ると三回目でもやっぱりかかっているので(4の週、5の週それぞれでの3回目接種率がわからないのと接種率不明が大きすぎるので効果の計算はしにくいが)感染予防効果についてはさほど期待できないとして、
気になる重症化予防効果ですが、「浜松市」だとそもそも重症化する人が接種済みも未接種も少なすぎて、はっきりとはわかりません。国のほうは「接種歴不明」が多すぎでよくわかりません。いずれにせよ、高齢者かつ持病有でもなければそうそう重症化していないので、それ以外の方は三回目打たなくても(まったく打たなくても)コロナよりほかの病気や事故の心配をしたほうがいいレベルだと思いますが。
(*) そもそもなんでこんなに接種歴が不明なのかというと、感染者を登録するシステムと、接種を登録するシステムが何も連携していないところがまず根本的な問題で、また、HER-SYSに手入力する際、接種したことはわかっていても接種日が不明だと接種済みとは入力できないなどの問題があり、なかなか実態を反映しづらいようです。
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