アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

将棋チャンネルに賠償命令(盤面あり評価値配信)

2024年01月20日 | 生活
以前(2020年)、「棋譜利用の現状(見る将のための)」というのを書いたことがあるのですが、あれに関連して判決が出たそうだというので…

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記事を見てびっくり
将棋チャンネルに賠償命令 ユーチューバー、棋譜利用は自由

えっ、そっち!! って感じでした。有料放送(将棋チャンネル)から棋譜をもってきてそれにAIによる評価値をくっつけてYouTube動画としてほぼリアルタイムで配信しているYouTuberに賠償命令、ではないですよ。逆です。

この裁判は、原告がYouTuber、被告が囲碁将棋チャンネルであって、
原告が「盤面あり評価値配信」していたところ、被告はそれ著作権侵害だからといってYouTubeやツイキャスにその動画を削除申請した、と。
それで、動画の削除により(配信の)収益が損なわれたというので訴えたというものでした。何? そういう感じになるもの??

この短い記事だと何がなんだかよくわからないので、判決文を読んだうえで弁護士さんが解説してくれている動画を見ました。
【棋譜の権利裁判】大阪地裁の判決を弁護士が基礎から考察!【将棋AI水匠/たややん】
これ、たいへん行き届いた解説でわかりやすいのでお奨めですが、まぁ長いんで、そんな暇じゃない人のためにポイント(と、私が思ったところ)だけ書きますと

原告の主張は
(1) 著作権侵害じゃないものを著作権侵害と第三者(YouTubeとか)に告げたらダメ(虚偽の事実の告知)
(2) 被告は、過誤による申請を訂正、取り消しせよ
(3) 被告は原告に損害賠償を払え
というものでした。

それに対して被告側はどう主張したかというと
(1) ←「原告の配信は被告の著作権を侵害するものでないことは認めるが、当該配信は被告の営業上の利益を侵害するものであるから、虚偽の事実の告知に当たらない」

…えっ?? あっさり認めちゃったよ「著作権を侵害するものでない」って…

そしたら最初の削除申請なんだったって話ですよ。元々、棋譜が著作権で守られるものなのかどうかは疑わしいというかたぶん違うんじゃないかということはいわれていて(私の前の記事でも触れています)、だからこれまでももごもごしてたのですが、棋譜の横流しをNGとするには営業上の利益とかパブリシティ権とかなんか、別の主張の仕方をしないといけないんじゃないかってわかってましたよね。なんで今更「著作権侵害」いうてYouTubeに削除申請しちゃったんだか…

もしかしたら、削除申請するときには連盟の人だか囲碁将棋チャンネルの人だか、法律とか詳しくない人がやっちゃって、それですんなり削除してもらって終わりのつもりでいたのが、裁判起こされてしまって弁護士つけたら、その弁護士さんが著作権での主張は無理ですよとかいったのだろうか。

ともかく、この立てつけでは勝ちにくいのは確かで、実際、判決でも
「原告の配信が被告の営業上の利益等を侵害するものであるかどうかは、虚偽の事実の告知の該当性判断に無関係であるし、そもそも原告の配信によって被告の営業上の利益等を侵害された事実も明らかでない」
といわれてしまっています。

さらに、被告の主張
(2) ←「被告の承諾なく、フリーライドで棋譜の指し手情報を取得して同時中継する行為は著しく不公正な手段を用いているから、原告の配信上の利益は法律上保護される利益に当たらないから、原告の営業上の利益を侵害することはない」
についても、判決では

「原告の配信で利用された情報は、被告の中継の指し手であって、有償で配信されたものとはいえ、公表された客観的事実であり、原則として自由利用の範疇に属する情報と解される。また、(1)で明らかなとおり、原告の配信が著作権を侵害するものでもない以上、原告の配信が、不法行為に該当することを認めるに足りる事情はない」
となりました。

棋譜の利用について、連盟はずいぶん厳しく細かいガイドラインを作っていたのですが、
(「盤面図の利用または1対局につき合計10手を超えて指し手に言及するには連盟および主催社の許諾が必要」とか)
ガイドラインについても、連盟なり主催者なりが一方的に定めたものであり、法的拘束力がないといわれてしまいました。

じゃ、「一方的」でないものは何かというと、たとえば利用規約としてかくかくしかじか…これに合意できない場合は棋譜そのものを見られませんというようなものであれば違う話になります。合意があるので。つまり連盟モバイルの棋譜だとその横流しはアウト(かもしれない)とか


結構、激震が走る結果となったと思います。

将棋連盟や棋戦主催側については、対処方法が下手だなぁという感想もあったりするのですが…
これまでガイドラインを守り、お金を一局あたり何万円も払っていたYouTuberはなんだか気の毒ですね。棋譜使用の許諾を求めてお金を払うと、アユムさんくらいのチャンネルでも動画収益は赤字になっていて、一方、最初から無視してたYouTuberは堂々と盤面リアルタイムで載せて視聴者がんがん集めて稼いでいたわけですから。ちなみに、上記動画の弁護士さん解説によれば、今回の判決が(控訴されず)確定してもこれまで払われた分についての返金はたぶんないそうです。合意に基づいて払われたものなので。合意だいじ。



---- 今日の録音:
ドビュッシー/ベルガマスク組曲より「プレリュード」(譜読み中)

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