カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その69・万聖節前夜

2018-11-01 21:16:08 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『星屑』と『穴犬の抜け毛』を材料に『風に乗る小鬼』を錬成しました。用途は滋養強壮です。

 この国の収穫祭で浮かれるのは人間だけじゃないと言いながら師匠が用意する菓子は、毎年のように仮装して歩く子供たちに混じった小鬼が掠め取っていく。連中が死に絶える時は間違いなく人間もこの地上から死に絶える時だろうから、あいつらにも少しは大地からの分け前を与えてやるさと師匠は笑って言うのだ。
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骨董品に関する物語・月と星とフルール・ド・リスのブローチピン

2018-11-01 19:17:26 | 突発お題

 家に代々伝わる、生涯に一度だけ願いを叶えてくれるというブローチピンを嫁入り道具にして嫁いだ母の願いは、恋人と引き裂かれて泣くのは自分が最後で良いというものだった。その後、母の実家は嫁ぎ先もろとも没落したのだが、おかげで政略結婚とは無縁となった私がここにいる。唯一の問題は、結婚話そのものとも無縁である事だろうか。
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骨董品に関する物語・星の刻まれたバングル

2018-11-01 19:14:40 | 突発お題

 家の為に見知らぬ相手との婚姻を決められた祖母には、その時既に恋人がいたと言う。だが、親に逆らうことなど考えられず泣く泣く別れを切り出すと、恋人はこれが二人の絆になる筈だとバングルを祖母に渡して出て行った。実によくある哀しい話だ。

 ところで、そんな祖母の持つバングルの模様が祖父の愛用のネクタイピンと全く同じなのは何故だろう。
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