カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

海月

2018-11-12 23:16:49 | 突発お題
 
 何かを掴む手も、立って歩く足も、詳しくものを考える頭も、もう何もいらなかった。
 その代わりに私が手に入れたのは絶え間なく蠕動する透明な躰と総てを運び去る潮の流れ。

 かつて私だったもののすべてを置きざりにして、何処かにあるはずの何処でもない場所に、沢山の蠕動する透明な躰と共に行こう。
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作品その76・朝のサラダ

2018-11-12 19:29:37 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『偽賢者の石』と『日光』を材料に『天空のグリフォン』を錬成しました。用途は食用です。

 家庭菜園で育てた野菜を収穫して作ったグリフォンサラダ(命名は師匠)を食卓に出したら、妹弟子が何コレとドン引きした。鱗を思わせる三角の葉っぱが重なり合って形作る翼を持つ獣は確かに初見では食べ物に見えないかもしれないが、食べないなら帰れと師匠が宣言すると素直に食べて美味しいと喜んだ。
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骨董品に関する物語・フレーム

2018-11-12 18:38:00 | 突発お題

 枠で囲まれた空間は常に異界に繋がる扉と成り得る、どうせ扉なら豪奢であるのに越したことはないと奴はよく言っていた。やがて奴は誰にも何も言わずに姿を消したが、部屋に残されていた見慣れない豪奢な細工のフレームに入った奴の肖像画は、今も「こちら側」を眺めながら笑っている。
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