カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その83・秘伝について

2018-11-23 22:11:59 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『チョーク』と『恋人の爪』を材料に『果てしない極意秘伝書』を錬成しました。用途は秘密です。

 僕が書斎の掃除をしていたら、師匠がいきなり此処の本はどれだけ読んだと尋ねてきた。理解出来る出来ないはともかく全部の本に目を通した筈だと答えると、ここにはお前が読んだ事がない筈の本が一冊だけある。何かを知りたくなったらそれを読めと言われた。けれど、その時の僕には師匠の言っている意味が解らなかった。
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骨董品に関する物語・フランスの天文書

2018-11-23 18:23:59 | 突発お題

 うちにある古い天文書の表紙に描かれた天文学者が動いていると息子が言い出した。ずっと観察しているとくしゃみをしたり帽子を直したりすると言い張る息子に、僕は悩んだ挙句言葉を選びながら、お前がそれに気付いたのを知ったら天文学者は表紙からいなくなると宣言し、驚いた息子は沈黙を誓った。そう、かつての僕のように。
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骨董品に関する物語・モルフォ蝶のブローチ

2018-11-23 12:37:53 | 突発お題
 
 本物の蝶の羽を使った青いブローチをお祖母ちゃんに見せたら若い頃の話をしてくれた。お祖父ちゃんの弟は先の大戦で南方から帰ってこなかったのだが、ある日家で大きな青い蝶を見つけたお祖母ちゃんが珍しいからと家族の皆を呼んだ時にはいなくなっていて、そこに戦死広報が届いたという。
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