カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第十七景・壊れた玩具

2019-01-08 21:43:19 | 桜百景
たかあきは、雨の玩具と桜の下に関わるお話を語ってください。

 昔、当時は健在だった兄にお気に入りの人形を隠され、泣きながら探し回った事がある。人形は結局公園の桜樹の根元で泥土に塗れながら冷たい雨に濡れていて、結局は汚いという理由で捨てられた。それからちょうど一年後、その公園の桜樹の根元で泥土に塗れて冷たくなっていた兄が見つかった時も、やはり雨が降っていた。
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骨董品に関する物語・蜂蜜色のボンボニエールとグラス

2019-01-08 21:36:10 | 突発お題

 砂糖が一般に浸透する以前の甘味料と言えば蜂蜜だが、その琥珀色のとろりとした液体を連想させる色彩の菓子器やグラスは、殊更に蜂蜜の香りと甘味を連想させるイメージの触媒となったのであろうか、などと梅干を連想する度に酸味の記憶が口中に唾液を発生させる国の人間は考える。
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骨董品に関する物語・ナポレオン・トロワの宝石箱

2019-01-08 21:33:03 | 突発お題

「見てくれ、とうとう愛用のマント留めを収めるのに相応しい品格を持つ宝石箱を手に入れたぞ」
「おお、これは見事な。ところで肝心のマント留めは何処にやった?」
「宝石箱を購入する際の資金にした」
「まるで『愚者の贈り物』だな」
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