カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・真珠貝のオペラグラス

2019-01-27 19:29:45 | 突発お題

 そのオペラグラスから視える景色は少しばかり現実からズレていた。どういう原理かは不明だが数分後に視える筈の景色が映し出されるのだ。そしてあの日、庭の樹に登っていた息子が高い枝から落ちたのを見た私は思わず窓から飛び出して辛くも息子を受け止め、代わりにオペラグラスは壊れてしまった。
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骨董品に関する物語・ヴィクトリア朝のレモン色の印章

2019-01-27 19:27:40 | 突発お題

 社交好きの母は頻繁にホームパーティーの招待状を友人に送って家に招いていた。騒がしいのが嫌いな私は、ある程度の歳になると遠くの学校に入学して殆ど家には帰らなくなった。やがて母は病を得て亡くなったが、遺言はパーティーに使う食器や印章を友人に形見分けして欲しいだった。
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第二十三景・あの日の故郷へと続く道

2019-01-27 19:25:14 | 桜百景
たかあきは、宵闇の故郷と桜の狭間に関わるお話を語ってください。

 桜の花というのは多分人を狂わせる何かを含んでいて、だから、あの時桜並木を歩いていた私もきっとおかしくなっていたのだと思う。道の向こうに続いていたのは天災で跡形も無くなった筈の見慣れた故郷に続く道で、この足を止めなければ「そこ」に辿り着けるのだと信じて、私はいつまでも歩き続けた。
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