カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・お伽噺の幻燈スライド

2019-01-13 17:57:00 | 突発お題

 その幻燈師の語るお話は変わっていて、スクリーンに映し出される画像はそのままに毎回お話が違うのだった。だから私たちは赤ずきんとお友達になる狼や硝子の靴と王子様を残して逐電するシンデレラの話が楽しみだった。けれどある時から幻燈師は村に来なくなり、お話も未完のままだ。
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骨董品に関する物語・真珠貝のケースに入った深紅のロザリオ

2019-01-13 17:54:18 | 突発お題

 東洋の数珠の球数は百八つあり、これは人間が抱く悪しき感情の数だそうだが、彼女のロザリオを彩る赤い石もまた、彼女が今まで、そしてこれから犯すであろう罪が自分と周囲を傷付けて流す鮮血の結晶ではないかと思う時がある。そうだとしたら、罪とは何と美しい輝きを放つものなのか。
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骨董品に関する物語・梯子意匠の印章

2019-01-13 17:51:57 | 桜百景

「労働は尊い」
「否定はしないが、冷戦中の東ドイツの童話では泉の女神が斧を落とした木樵に対して斧を返しながら正直さを褒め称え、更に労働に勤しむように言い残して褒美も無しに姿を消すそうだ」
「夢も希望も無いな」
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骨董品に関する物語・アメジストガラスの印章

2019-01-13 17:49:34 | 突発お題

 昔から本ばかり読んでいたので、子供の頃はよく周囲の大人にどうやったら本好きになるのかと尋ねられたが、実際、親が本好きで読み聞かせしてくれて、更に子供が面白がるような内容の本が気軽に手に届くような場所に山程並んでいれば自然に本好きになるよと答えるしかなかった。
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骨董品に関する物語・子供向けの天文書「天空を覗き見」

2019-01-13 17:47:44 | 突発お題

 僕は古本を買うと以前の持ち主が残した痕跡を捜すのが癖なのだが、その星の本には沢山の奇妙な書き込みがあった。コレはもう僕に対する挑戦だろうと書き込みの法則性を調べて文章化してみると、暗号の主は僕と同じ位の男の子で引っ越しの荷物になる本を仕方なく手放したとあった。
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骨董品に関する物語・目のEX-voto

2019-01-13 17:42:53 | 突発お題

 呪(まじな)いに詳しい友人が言うことには、願掛けと願解きは一体であり、願いが叶った場合は速やかに願を掛けた場所で願解きをしなければならないという。大体失礼だろう頼むだけなんてと笑う友人は願解きをしなかった場合に生じる望ましくない結果について、決して詳しく語ろうとはしない。
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骨董品に関する物語・アイルランドのベリーク窯、ネプチューンシリーズのトリオ

2019-01-13 17:39:31 | 突発お題

 子供の頃、大人達がお茶会で優雅に傾ける白いカップと様々な菓子に憧れながら、私達はおままごとで白い貝殻に黄色い花片を盛り、葉っぱでアクセントを付けたプリンをお客様に出していた。やがてお茶会は私達の日常となったが、今度は子供達が庭で貝殻の食器に花片を盛りつける。
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骨董品に関する物語・エーデルワイスのブローチ

2019-01-13 17:37:39 | 突発お題

 ドイツの友人家族は曾祖母の時代に一度国外に逃亡したことがあるという。あの不幸な時代に曾祖母一家を逃がしてくれた人が身に付けていたエーデルワイスがどうして甘い香りを放っていたのか知りたいという友人に、以前読んだ話だと花を保存する際に林檎のジャムを塗っていたらしいぞと答えておいた。
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骨董品に関する物語・エーデルワイスのボンボニエール

2019-01-13 17:34:34 | 突発お題

 民族浄化の狂気から流れるために、祖国を離れ外国に脱出した曾祖母たちの逃亡を手助けしてくれた人は胸に甘い香りのするエーデルワイスを飾っていた。もちろん本物のエーデルワイスにそんな香りはないが、曾祖母にとってその甘い香りは自由と平穏な生活を守る正義の使者が纏う気高い香のように思えたと言う。
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第十八景・壊されてしまった玩具

2019-01-13 17:31:23 | 桜百景
たかあきは、悪夢の玩具と桜の下に関わるお話を語ってください。

 誰か助けてと呼ぶ声が聞こえたような気がしたので声の主を捜したら、公園の桜樹の根元に置き去りにされた人形のものだった。何故か嫌な予感がしたので、少し待っていれば持ち主が見付けてくれるよと言って立ち去った。その一年後、同じ場所で男の子が亡くなったのはきっと偶然だろう、そうに違いない。
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