カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・クラウドガラスの花器

2019-01-24 23:45:19 | 突発お題

 薄青色に葡萄色のマーブル模様が入った花器は娘のお気に入りで、時々、花を飾っていない時でも見入っているので何を見ているのかと尋ねると、模様が踊るのよと答えが返ってきた。ずっと同じ模様を見ていると錯覚で動くように見えるだけと言うと娘はペンで印を付け、翌日には確かに印がズレていた。
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骨董品に関する物語・ロンドンの天文学の古文書「天空の物語」

2019-01-24 23:43:30 | 突発お題

 お前にはまだ早いと高い本棚に仕舞われてしまった天文書がどうしても見たくて、父さんが留守の間に書斎に忍び込んだ。内容はやっぱり僕には難しかったけれど、本を開いたまま眠ってしまった時に見た夢の中の宇宙はとても素晴らしくて、見付かった時父さんにすごく叱られたけど幸せだった。
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第二十二景・春の花は嘘

2019-01-24 21:25:12 | 桜百景
たかあきは、初夏の裏切りと桜の根に関わるお話を語ってください。

 女の子は季節ごとに移り変わると言うが、それが本当なら春の告白が夏には嘘に変わったとしても当然のことなのだ。ただ、その場限りに産まれてすぐ大地に沁み込み、影も形も見えなくなった告白は誰も気付かぬまま桜の根に吸い上げられ、次の春にはきっと今年よりも更に綺麗な嘘を咲かせて人を惑わすだろう。
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