カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

旅路その3・ざらついた菓子の記憶

2019-05-15 19:39:36 | 旅人の記録
たかあきは厳冬のかつての故郷に辿り着きました。
名所は個人の邸宅、名物は焼き菓子だそうです。

 二度と戻る気の無かった故郷の我が家は家具も内装も殆どが変えられていて、その為に却って落ち着いた空間になっていた。いつもどぎつい色をした果実の砂糖漬けをちりばめた粉っぽいパウンドケーキを焼いていた母が亡くなったことを悲しめないのは、本当に僕の心が衝撃で麻痺しているせいなのだろうか。
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