カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

旅路その6・風に消える草原情歌

2019-05-19 19:14:08 | 旅人の記録
たかあきは西域の僻地に辿り着きました。名所は城址公園、名物は飴菓子だそうです。

 あらかじめ聞かされてはいたが目的地は見渡す限りの草原が広がるばかりで、少し前まで沢山の天幕が並んでいたとは思えない。山羊の乳で作られたという飴を口に含んだまま案内人が轡を取る小柄で逞しい馬に跨って思うのは、季節によって王都を含む居住地を移動する草原の民の厳しい生活についてだった。
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鉱石・スネークスキンアゲート

2019-05-19 12:48:23 | 突発お題


 満月ばかりが輝く夜空の下で、俺は親父の遺言通りに禁忌を冒して家宝の石を月光に晒した。石造りの白い蛇は身を捩りながら徐々に自由を取り戻し、やがてこの屋敷から姿を消すだろう。それが一族に人生の殆ど全てを奪われながら生き続けた親父の望みだと言うのなら、お前はもう何処にでも好きな場所に行くがいい。
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