カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

九十二冊目・『大いなる偽物の悲哀』

2018-07-18 19:03:04 | サスペンスはお好きですか?
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 昔読んだ話。取るに足らない農民の男が冷酷な藩主の影武者になるよう強制され、何とか瓜二つに見えるようになった頃、証拠隠滅のため自分の家族が皆殺しにされたことを知り、逆に藩主を殺して自分が本物と入れ替わった。だが、唯一男の正体に気付いた藩主の妻は己の身と引き換えに壮絶極まりない復讐を果たすのだった。
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九十一冊目・『広き孤島のクロニクル』

2018-07-17 20:13:36 | サスペンスはお好きですか?
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 外界から隔絶した孤島に発生した独自の生態系は、世界に類を見ない動植物の楽園を作り上げた。やがて楽園に人間がやってくると、天敵を持たない獣は危機感を持たぬまま次々と狩られてゆき、その姿を消していった。やがて人間たちは孤島の生態系がどれほど貴重なものかに気付いたが、その時は既に遅かった。
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九十冊目・『呪われし寒村のレクイエム』

2018-07-16 12:39:32 | サスペンスはお好きですか?
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 その村には男を惑わす雪女の伝説が残っているが、惑わされた男は村から姿を消して二度と戻らないとされている。息子を、連れ合いを、父を亡くした女は、村の男が何を思って雪女とともに姿を消したのかを決して考えようとしないまま雪女を憎み、それ故、村には哀しい心を抱えた雪女が生み出され続ける。
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八十九冊目・『乱れし親子の悲哀

2018-07-15 21:15:37 | サスペンスはお好きですか?
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 昔読んだ話。いろいろと問題のある家庭で育った彼女は、それでも秘書として勤める会社で親子ほどに年の離れた社長に見初められた。しかし社長には別れた妻との間に二人の子供がいて、精神を病んだ息子のほうは連続殺人犯に成り果てていた。そして、絶望に沈む社長の姿に耐え切れず、貴方の娘は立派な男性と幸せに暮らしていると叫んだ彼女の言葉が、結果的に酷く惨たらしい姿で社長を殺すことになった。
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八十八冊目・『広き孤島のセレナード』

2018-07-14 11:41:22 | サスペンスはお好きですか?
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 彼らは幼い頃かその小さな島以外の世界を知らず、いずれは何らかの手段で海の向こうにある筈の世界を旅するのが夢だった。何度も失敗を繰り返しながらある者は筏を組み、ある者は空を飛べる凧を作り、やがて幾人かが辿り着いた新しい世界は毒に汚染された廃墟に化け物が蠢く地獄だったが、彼らの殆どは新世界を知らぬまま海に散った。
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八十七冊目・『朱き大人の誘拐』

2018-07-12 19:32:52 | サスペンスはお好きですか?
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 私の髪は赤いが、周囲の人間は一人残らず黒い髪の持ち主だ。だから自分は格子のある部屋から出られないまま、ただ訪れる人間に夢の託宣を与え続けなければならないらしい。そんな私がたびたび夢で見るのは、記憶にない愛しい人に手を引かれて闇夜を駆ける自分でない自分。そして多分、「彼女」が愛しい男に裏切られたが故に、私は此処に囲われ生きているのだ。
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八十六冊目・『古き名探偵の記録』

2018-07-10 19:44:52 | サスペンスはお好きですか?
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 曽祖父が現在でも世間で名探偵として名を知られているのは、当時は無名だった大作家が曽祖父をモデルにして書いた探偵小説が大当たりしたからだが、当の本人は何故か生前その探偵小説について頑なに語ろうとしなかった。やがて曽祖父が亡くなり遺品の整理を引き受けた僕は、遺された日記帳から世間で名探偵と呼ばれていた曽祖父の、真の正体を知ることになった。
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八十五冊目・『焼け焦げし白昼堂々の黄昏』

2018-07-07 22:35:59 | サスペンスはお好きですか?
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 日食の日。昼間だというのに黄昏時のような色彩に覆われた街を歩きながら、天体の仕組みを知らなかった昔の人間はどれだけこの現象に怯えたのだろうと一瞬だけ考えたが、普段は黄昏時にしか見えないはずのモノたちが、実はいつだって、どんな時間でも「そこ」にいるのだと思い知るのも結構な恐怖だと思い直した。
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八十四冊目・『古き孤島の財宝』

2018-07-05 23:11:50 | サスペンスはお好きですか?
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 昔読んだ話。独自の進化形態を進んだと思われる南の島に訪れた調査員が食肉植物である椰子の木に食われる。それだけでも悲惨な話だが、椰子の木には食われた人間の首と生き写しの果実が成り、当然のように残された仲間はその実を故郷に持ち帰って埋葬する。そうやって椰子は繁殖を続けるのだと言う。
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八十三冊目・『白き札束の楽器』

2018-07-04 20:21:52 | サスペンスはお好きですか?
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 昔は富豪だった祖父母が「一番の宝物」として孫の彼女に遺してくれたのは、ろくに調律もされていない古ぼけた白いピアノだった。金に困っていた彼女は、宝物ならきっと金銭的価値に繋がるヒントがあるに違いないとピアノをバラバラに解体してみたが、それらしきものは何も残されていなかった。彼女が見かけ通りに祖父母との思い出を大切にする人間だったら、かつてのように調律したビアノから流れ出す音色から、そのピアノがとんでもなく価値の高い稀覯品であると気付いただろうに。
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