帝都地形図
「帝都地形図」(株式会社 之潮(コレジオ)、2005.3.20発行)という大判の地図集が、都立中央図書館の東京室にある。
帝都地形図は、株式会社日本地形社が、大正10年から昭和22年にかけて断続的に調査、作成、発行した1/3,000の地形図で、行政が都市計画を行うために使用した、都市計画用基図だそうだ。大正8年の旧都市計画法の公布・施行に伴い、当時の東京市内の詳細な地図が必要になったために、内務省の依頼により作成された地図で、その後、関東大震災の後の震災復興計画にベースマップとして使用された。戦後も昭和22年まで補修を行い、戦災復興計画においても使われたという。
今までほとんど知られていなかったこの地図が、2年ほど前になって地図集成として復刻刊行されたわけだが、ぼんやりしていて今まで全然知らなかった。
この頃の東京の地図のほとんどが1/10,000であることを考えると、非常に資料価値のあるものだと思う。また、各図に様々な解説が付けられているのもとても有り難い。
戦前、戦後の詳細な地図としては火災保険特殊地図が比較的良く知られている。ただ、これは都市化が進んでいる地域に限られていて、例えば、今回知りたかった中野区の北部、上高田のあたりはまだ農村に近かったために地図が作成されていない。また、火災保険特殊地図は、まだ全集のように集成図として復刻されていないため、検索するのがなかなか大変。各区の図書館に、その区の分があるようだが、ちょっと知りたいという程度で、その区まで出向いて調べるのは少々面倒でもあった。
確認し損ねたが、帝都地形図は恐らく23区の大半を納めており、一括して見ることができるという意味でも、有り難い資料だ。また帝都地形図は、中野区の区立図書館などにもあった。これならちょこちょこ便利に閲覧することができそうだ。
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