52号館から54号館は、ちょっと変わった平面をしている。
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52号館1F 平面図 (右端は53号館、上はキャンパス中庭)
上図からも分かるように、通路部分が十字形をしていて、正方形の建物四隅に教室がある。階段は建物中央に、対角線に沿って配され、どちらからも上り下りできる構造。全ての教室は、建物中央側が前になっており、学生は窓を背にして授業を受けることになる。
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52号館1F ホール・階段室
Photo 2008.3.4
各建物の入口は地味だが、中に入ると二つの階段が互い違いに並ぶ階段室になっている。学生への通知などが張り出される掲示板もあり、広くはないがホール空間になっていて、ちょっとした溜まりスペースにもなっている。
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53号館3F 階段室
Photo 2008.4.21
中央の階段を中心にして対称型をなしていることから、階段室にいると自分がいまどちらを向いているのかが分からなくなることが多い。このため、52号館の304教室などといわれた時に、階段を3階まで上がってから、どちらへ行けば良いのか、一瞬考えてしまう。3棟の真ん中にある53号館の場合、どちらへ行けば52号館なのか分からず、反対に向かって54号館に行きかけてしまうこともあった。日中であれば、扉などから垣間見える中庭や日の光の様子で向きが分かるのだが、雨の日や夜間は、慣れていてもしばしば混乱することがあった。
ただ、ちょっと歩けばすぐ気づくことなので、それはあまり大問題ではなかった。むしろ、変な建物だよねぇ的な面白さの方が大きかった。入試の時に初めて入室してからずっと印象的な建物であり、卒業後、最近は訪れることもほとんどなくなったが、未だに記憶に残る空間である。他の大学をそれほど知っているわけではないが、このような教室空間を持つ建物は他にはあまりないのではないだろうか。その意味で、非常に個性的な教室空間を持つ魅力的な建物だと思う。
昭和40年代の低層校舎なので、エレベーターは設置されていない。これは後々、バリアフリー面で問題となってくるが、当時の状況からすると仕方なかったのだろう。上層階へは校舎中央のこの二重螺旋的な階段か、隣接する校舎を結ぶ渡り廊下に造られた外階段で上るようになっている。いろいろなところに階段があって、どの方角から来ても比較的容易に階段に辿り着ける機能的なレイアウトになっている。
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