JAビル(農協ビル)
所在地:千代田区大手町1-8
竣工 :1965(昭和40)
構造 :SRC
階数 :9F+塔屋、B4F
設計 :佐藤武夫
2009年解体。2009年に新しいJAビルが大手町1-3に竣工。
Photo 2008.12.21
大手町地区では玉突き状に建て替えが進められている。少し離れた場所に新しい超高層ビルが竣工し、そこにJAが引っ越した後、このビルは取り壊されたようだ。でもって、跡地にまた新しいビルができて、そこにどこかから新しい入居者がやってくるという段取りなのだそうだ。パズルのように解体と新築を繰り返して、街全体が新しく変貌していく。オフィスビルがほとんどの大手町という街の宿命とも言えるのかもしれないが、ここでは急速に昭和・戦後期の建物でさえもなくなりつつある。
道路際は2Fまで壁面が後退していて、歩道が広くとられている。3F~9Fはほとんど全て同じ窓が反復していて、近代的なオフィスビルという感じ。コーナー部分は面がとられていて、そこにJAのシンボルマークやビル名称が付けられているが、これらのマークや文字は1980年代後半に愛称がJAとなった後に付けられたもの。佐藤総合計画のHPでは、農協ビルという名前と「協」の字をあしらったマークが付いていた昔の様子を見ることができる。
Photo 2001.9.16
外観は、3Fから上のほぼ全面が曇りガラスのような半透明なガラスで覆われていて、独特な造りになっている。写真中、白い帯状の部分が床で、その上下、足下から天井までがガラス張り。簀の子か網のようなものがあるように見えるガラス部分は、設計事務所のHPによると、遮熱ガラスブロックというものだったそうだ。当然窓は開かないが、ガラスブロックは二重ガラスのようなものでもあるので、たしかに外部の騒音の防止、熱損失の低減にはつながる。二重サッシなどが一般化する前の工夫だったのかもしれない。一方、縦長のスリット状の窓部分は、開けたりできたのかもしれない。中で働く人はここから外の様子をうかがうこともできただろう。
外の景色があまり見えない室内は、たしかに仕事に集中できたかもしれないが、変化に乏しくやや退屈だったのではないかとちょっと思ってしまう。個人的には気分転換で外を見たい方なので、こういう感じの事務スペースで働くのはちょっとどうかなぁと。
玄関ホールや上層階のJAホールのインテリア写真などを見ると、端正なデザインのモダニズム建築だったのだなぁと改めて思う。現在のオフィスに比べるとややクラシックな感じだったことは確かだが、それでも築45年。建て替えるのはまだ早い気がする建物だった。
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