東京大学 理学部旧1号館
所在地:文京区 本郷7-3
構造・階数:RC・3+増築1
設計 :岸田日出刀/小野薫
建設年:1926(大正15)
解体年:1994(西棟)/2003(中央棟)/2013(東棟)
備考 :4階部分は1965年の増築。2017年に東棟(6F)が竣工
Photo 2002.4.7 後方は新1号館西棟
東京大学本郷キャンパス、安田講堂の裏側(東側)にあった大正時代末に建てられた建物。ロの字型をしていたが、戦前の国土地理院地図(1926〜36)や火災保険特殊地図(1934〜39)では、南側と東側のみのL字型で数学物理学教室と記されており、いちどに全部が建てられたわけではなかったようだ。北側と西側の建設時期は未把握。
安田講堂裏は本郷台地から藍染川の谷地への下り斜面で、旧1号館は安田講堂より低い位置に建っていた。このため1965年に4階が増築されても安田講堂前の広場や銀杏並木からは背後に見えることはなかった。しかし、建て替えで背の高い建物になったため、残念ながら現在は講堂の背後に新建物が大きく見えてしまっている。ただ、そうでなくても、キャンパス外の池之端方面の高層ビルがそのうち見えるようになってしまったかもしれない。
旧1号館中庭部分 Photo 2002.4.7
旧1号館の建て替えは3期に分けて段階的に行われたそうだ。私が初めて旧1号館の写真を撮ったのは第1期工事の後だったため、建て替え開始前の全景を撮ることは出来なかった。
ロの字型の校舎は、1994年に西側の1/3が解体され、そこに1998(平成10)年に新建物が建てられた。続いて2003年頃に中央部が解体され、中央棟が2005(平成17)年に完成。そして2013年に残る東側が解体され、2017(平成29)年に東棟が完成。こうして3期に分けた工事が終わり、全てが建て替えられたのだった。
本記事掲載の1〜3枚目は西棟が建て替えられた後で、旧1号館がコの字型をしていた頃のもの。
他サイトの記事などによれば表現主義のデザインだったという。たしかにレンガタイル張りの柱やアーチ部分は縁が丸められていて、新古典主義などの様式建築とは異なっている。とはいえ周辺の様式建築校舎とも違和感なく共存している感じだった。
Photo 2002.4.7
建て替えが段階的に進められたため、途中段階では切断されて残された建物の断面が見えている状態だった。
東側から、後方は中央棟、更にその奥が西棟 Photo 2007.2.3
中央棟が完成すると、残されたのは東側部分のみになっていた。
東側部分 Photo 2007.2.3
この東側部分だけは文化財的に残すのかと思ったが、結局取り壊されたのだった。
東側の残存部分を北側から Photo 2007.2.3
残った東棟部分を使用するため、この時期はわざわざ避難階段などが設置されていた。ここまでしっかりやっていたので残すのかと思ったのだが、やはり暫定利用だった。
理学部旧1号館の記憶 - 特集
理学部 旧1号館 特設ページ
理学部1号館東棟の設計が固まり3期工事が始まる
理学部1号館東棟が遂に完成
- 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
東京大学理学部旧1号館/本郷7丁目 - ぼくの近代建築コレクション
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Tokyo Lost Architecture
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