城の警護を任された紀州藩士とその家族が
暮らしていた武家屋敷の御城番屋敷。
現存例の中でも最大規模のもので
国の重要文化財に指定されています。
石畳を挟んだ両側に緑深い垣根が連なり、
しっとりとした和の情緒を醸し出しています。
屋敷は、現在も子孫の方々が維持管理し、
13戸分は借家として利用されていますが、
松阪市が1戸分を借り受け、復元して公開しています。
住居が建てられたのが文久3年(1863)
平成20年より3ヶ年をかけて
保存修理工事が行われています。
往時の面影を残す住居は、風通しも良く
住みやすそうな印象を受けます。
整備前と若干の間取りの変更もあるようです。
場内隠居丸に建てられていた米蔵を明治初期に
移したものと言われる土蔵。
こちらの素晴らしいところは、保存をするだけでなく
今なおこちらで暮らしている人々がいることです。
城へと続く道にこの美しい街並みは屋敷に住む人々の
愛着心と努力により、生活の場としても利用しながら保存され、
長い年月を経た今日でも往時のままの姿を残している
いくつもの城下町を旅してきましたが、
こんなにも素晴らしい場所は初めてだと思います。
三重県松阪市殿町1385
2016.2.7