千本格子、虫籠窓、妻入りの蔵、うだつのあがった屋根、
落ち着いた佇まいの中に当時の松阪商人の繁栄ぶりがうかがえる
魚町通り沿いにある「旧長谷川邸」です。
表蔵から発見された古銭を展示中。
江戸時代のさまざまな年間の小判7枚と大判1枚。
他に、メキシコの銀貨やオランダの金貨、
一枚一枚、丁寧に和紙にくるまれていたそうです。
それを発見したのは寄贈を受けた松阪市。
享保年間の大判1枚には、
13代目当主の花押が記されています。
寄贈した長谷川家は古銭の存在を知らなかったそうですが、
「市で有効に活用してください」とのことだったとか。
長谷川家は、数多い江戸店持ち伊勢商人の中でも
いち早く江戸に進出して成功し、
現在も創業以来の地で営業を続けています。
蔵だけでも5つもあり、生活諸道具を始め、
時代に応じた諸資料が極めて良好に保存され、
近世以来の商家の状況をうかがうことができる
大変貴重なものだそうです。
一部資料化されたそうですが、2万3千点にも及ぶ資料を
目録化することは容易ではないでしょうが、
このように大成功した経営方法や生活スタイルを解明し、
後世に長く残して欲しいと思います。
主屋内部(通り土間)
主家中心部は、江戸中期の元禄時代の建築で
玄関から通り土間が奥へ続き、右側は家族の居住空間、
左側に江戸間という応接室などがあり、
奥には土蔵があるという造りです。
魚町通りから見るとここまでの大豪邸とは
思いませんでしたが、離れ、
回遊式庭園、神祠・鳥居まであるのです。
平成25年長谷川家から松阪市に寄贈された部分は4688.40㎡。
見学時には三重県指定文化財でしたが、
7月には国の重要文化財にも指定されています。
江戸時代中期に建築された町屋建築である主屋を主体に、
座敷や土蔵群が近世の大規模な商家の姿を
良好に伝える建築物です。
毎週日曜日、祝日のみの公開です。
三重県松阪市魚町1653
2016.2.7