ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した美術品と、
奪還をめぐる戦いを追ったドキュメンタリー。
略奪した美術品の総数は約60万点。
ピカソ、ゴッホ、フェルメール、マティス、
ムンク、モネ・・・。
今なお10万点が行方不明であるとか。
2004年に公開された映画『アドルフの画集』では、
画家を夢見るヒトラーの人間的な部分を垣間見ましたが、
政治は芸術を支配できると妄信するヒトラーに
ナイフで頬を撫でられるような思いがしました。
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ヒトラーは、美術品を漁り「総統美術館」の建設を夢見て、
ナチスNo2のゲーリングと名画の奪い合いで競ったり、
略奪を手助けした画商が大儲け、戦後も罪を問われなかったり、
今まで知らなかった事実が語られています。
アウシュヴィッツを訪れた際には、
映画『シンドラーのリスト』などの、シーンが蘇り、
涙で目が曇り、吐き気を感じるほどでしたが、
闇の美術史を知ると名画を目にして同じ思いをするかも。
ナチスに弾圧され奪われた美術品、
相続人たちの粘り強い戦いは今も続いています。
「壁を飾るために描くのではない。
絵は盾にも矛にもなる、戦うための手段だ」
というピカソの言葉があまりに重い。
監督:クラウディオ・ポリ
ナレーション:トニ・セルヴィッロ
2018年/イタリア・フランス・ドイツ合作/97分
ヒューマントラストシネマ有楽町
2019.4.22