‘06/12/04の朝刊記事から
患者増加止まらぬ日本
エイズ感染爆発の危機
偏見追放、地域で支えて
エイズ感染がじわじわと広がっている国がある。
ほかでもない日本だ。
社会の関心も薄れ、過去の問題となった感もあるエイズだが、日本は先進国で唯一、感染者と患者が増加している。
いくつかの予兆から、感染爆発前夜と警告する専門家も少なくない。
エイズは遠い国の話ではない。
自らの問題と認識することが必要だ。
厚生労働省のエイズ動向委員会によると、国内のエイズウィルス(HIV)感染者と患者の合計は2004年に初めて年間千人を突破。
感染者・患者数の累積は05年に1万人に達した。
発生動向は右肩上がりで、感染爆発を目前にした1980年代後半の米国の状況に酷似する。
日本でのエイズ感染爆発を予感させるデータが2つある。
コンドームの出荷数減少とクラミジアなどの性感染症(STD)の増加だ。
財団法人・性の健康医学財団によると、04年の国内コンドーム出荷数は4億2千万個。
10年前の6億1千万個に比べ、1億9千万個減った。
これに反比例するように、クラミジアの報告人数(国立感染症研究所調べ)は、1999年の約2万5千人から、03年、約4万2千人に急増している。
コンドーム使用率の低下とSTDの増加は、性交の低年齢化やパートナーの多数化といった、若年層の性行為の無防備化と無縁ではない。
ネット情報のはんらんや家庭・学校での性教育不足も関係している。
エイズ感染はこうした社会の弱点をついて爆発する。
競争の中で、他者を顧みる余裕も失った現代人。
多くの感染者・患者は無関心の海に放置され、根強い偏見だけが彼らを苦しめている。
エイズは延命治療が可能になった。
だが、発見が遅れれば投薬効果も薄れる。
早期発見・治療を実現するためにも、正しい知識を広めて偏見を追放し、人目を気にせず検査を受ける空気を醸成することが不可欠だ。
エイズ感染が「地下」に潜ってしまえば、いつか大爆発を招く恐れがある。
感染者・患者を地域社会から脱落させはならない。 ・・・抜粋
報道本部 田中祥彦
患者増加止まらぬ日本
エイズ感染爆発の危機
偏見追放、地域で支えて
エイズ感染がじわじわと広がっている国がある。
ほかでもない日本だ。
社会の関心も薄れ、過去の問題となった感もあるエイズだが、日本は先進国で唯一、感染者と患者が増加している。
いくつかの予兆から、感染爆発前夜と警告する専門家も少なくない。
エイズは遠い国の話ではない。
自らの問題と認識することが必要だ。
厚生労働省のエイズ動向委員会によると、国内のエイズウィルス(HIV)感染者と患者の合計は2004年に初めて年間千人を突破。
感染者・患者数の累積は05年に1万人に達した。
発生動向は右肩上がりで、感染爆発を目前にした1980年代後半の米国の状況に酷似する。
日本でのエイズ感染爆発を予感させるデータが2つある。
コンドームの出荷数減少とクラミジアなどの性感染症(STD)の増加だ。
財団法人・性の健康医学財団によると、04年の国内コンドーム出荷数は4億2千万個。
10年前の6億1千万個に比べ、1億9千万個減った。
これに反比例するように、クラミジアの報告人数(国立感染症研究所調べ)は、1999年の約2万5千人から、03年、約4万2千人に急増している。
コンドーム使用率の低下とSTDの増加は、性交の低年齢化やパートナーの多数化といった、若年層の性行為の無防備化と無縁ではない。
ネット情報のはんらんや家庭・学校での性教育不足も関係している。
エイズ感染はこうした社会の弱点をついて爆発する。
競争の中で、他者を顧みる余裕も失った現代人。
多くの感染者・患者は無関心の海に放置され、根強い偏見だけが彼らを苦しめている。
エイズは延命治療が可能になった。
だが、発見が遅れれば投薬効果も薄れる。
早期発見・治療を実現するためにも、正しい知識を広めて偏見を追放し、人目を気にせず検査を受ける空気を醸成することが不可欠だ。
エイズ感染が「地下」に潜ってしまえば、いつか大爆発を招く恐れがある。
感染者・患者を地域社会から脱落させはならない。 ・・・抜粋