
'07/05/12の朝刊記事から
林道談合 東京地検が証拠紛失
公取委押収物 捜査に影響も
独立行政法人「緑資源機構」の林道整備をめぐる入札談合で、東京地検特捜部が公正取引委員会の押収した証拠品を庁内で紛失、証拠品は誤って溶解処理されていたことが11日、関係者の話で分かった。
特捜部での証拠品の紛失、誤処分は極めて異例。
紛失したのは公取委の押収物の原本とみられ、捜査に影響が生じる可能性もあり、ずさんな管理態勢が問われそうだ。
関係者によると、複数の段ボール箱に詰められた証拠品が4月下旬、公取委から東京地検に搬送された。
整理する段階で、うち一部の所在が箱ごと分からなくなり、その後、地検の清掃業務を請け負う業者が誤って廃棄したことが判明。
既に溶解処理されたという。
この入札談合は、機構の担当理事が中心に進める「官製談合」の疑いが持たれており、公取委が4月19日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で同機構本部と受注側10社の強制調査に着手。
特捜部への刑事告発に向け詰めの調べを進めている。
紛失した証拠品は、こうした課程で押収した帳簿類などと見られる。
緑資源機構応談合事件
農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」発注の林道整備事業をめぐり、機構の森林業務担当理事らが、測量などの業務を割り振る「官製談合」をしたとされる。
公正取引委員会は2006年10月、機構や受注法人などを立ち入り検査。
その後、悪質な組織的談合が繰り返されていたとみて、独禁法違反(不当な取引制限)容疑での刑事告発を前提とした犯則調査に切り替え、今年4月、強制調査を実施した。
対象になった受注側の5公益法人は、林野庁OBや機構幹部らを多数雇用しており、天下りを見返りにしていたと見られる。