’08/01/29の朝刊記事から
パソコンで新物質発見
京大、スズ酸化物で
原子の振る舞いをパソコンで仮想的に再現することで、これまで知られていなかった新たな2種類のスズ酸化物の合成が可能なことを、京都大の田中功教授らが突き止めた。2月1日付の米物理学誌フィジカル・レビュー・レターズに発表する。
産業応用を目的とした新物質探しは、勘や経験を頼りに合成してみるのが主流だが、今回の手法を使えば手間を大幅に省略できる。田中教授は「計算科学の新たな可能性を示せた」としている。
田中教授らは、電子の動きを通じて原子の振る舞いを予測するプログラムを作成。パソコン約50台を使い、スズと酸素の原子がどのようにつながるかを2カ月かけて計算した。その結果、既存の酸化物のほかに「三酸化二スズ」「四酸化三スズ」の2種類が安定して存在できることを突き止めた。田中教授は「合成できれば安価な半導体が作れるかもしれない」と話している。
財団法人ファインセラミックスセンター(名古屋市)との共同研究。