08/06/10の朝刊記事から
李大統領 火消し躍起
米牛肉問題で窮地 閣僚大幅刷新か
きょう100万人ろうそく集会
【ソウル9日井田哲一】米国産牛肉の輸入再開問題に対し、国民の猛反発が起きている韓国で10日、総勢で百万人の動員を目指す大規模抗議集会が、各地で開かれる。
窮地に立たされた李明博大統領は、近く閣僚や大統領府高官の更迭を断行する見通しだが、人事刷新で事態が収束するかは、なお不透明だ。
この問題では、既に大統領府の柳佑益大統領室長や首席秘書官全員が辞意を表明。
さらに韓昇洙首相をはじめ閣僚全員が近く辞意表明するとの見方が有力だ。
李大統領は9日からの公式日程をほとんど取り消し、難局打開に向けた人事案など収拾策を練っている。
韓国メディアによると、閣僚、大統領府高官ら10人程度の大幅交代となる可能性が強い。
首相が更迭された場合の後任には、国民的人気が高い朴槿恵ハンナラ党前代表の名も挙がっている。
大統領府関係者は「難局を乗り切るため大統領が朴氏を選ぶ可能性はある」という。
ただ、米国との全面的な再交渉を求める世論が、人事刷新で納得するかは微妙だ。
抗議集会を主催する市民団体は、大統領直接選挙制を実現させた1987年の民主化闘争を記念する「6月抗争記念日」の10日夜、参加者百万人を目標に全国各地でろうそく集会を開催する。
ソウルでは30万人規模の集会が計画されている。
7日夜のソウルでの集会終了後、一部市民が鉄パイプで機動隊バスの窓ガラスを割るなど暴徒化。
警官とデモ参加者合わせて約60人が負傷した。
韓国政府は8日、「国民の思いは理解しているが、法と秩序は守ってほしい」と訴えた。
集会主催者の市民団体も同日、「非暴力と平和という原則で集会を開いてきた」として、自制を呼び掛けている