グラッペリというジャズヴァイオリンを聞いていて、ある時のけ反った。「リトル・スター」というナンバーが、「与作」のサビとほぼ同じだったからだ。
そう言えば、与作を作った人は普段ジャズをやっていた人だという記憶がある。それを知った時は「ジャズをやっていても時々ジャパンテイストが恋しくなるのかな」などと思っていたが、そうではないのだ。与作はジャズでもあった訳だ。
ところで現在、大学は卒業研究の発表の時期。鹿児島の中学校で調査した「和楽器アンサンブル授業」の現状を発表した学生がいた。 配られた資料楽譜を見て、まず吹出した。「ルパン三世」を和楽器アンサンブルで演奏する!
ところが、演奏された録画を見て二度びっくり!和楽器に実にぴったりの曲だったのだ。あまりの違和感の「無さ」に感嘆してしまった。
サックスを篠笛や尺八に、ドラムを太鼓に置き換えるだけで、バイタリティ溢れる和楽器曲になること。それもオリジナルと見紛うばかりの曲に。
和楽器アンサンブルというのは、世間ではまだ一般的ではない。にも関わらず、学校教育では、せざるを得ない状況に追い込まれている。かつての「器楽合奏」に代わる存在と言えば良いだろうか。
その時困るのが曲選び。古典は存在せず、クラシック音楽の編曲では違和感が付きまとう。 それで、民謡やわらべうたの、あるいは「もののけ姫」「涙そうそう」などの編曲にたどり着き、何とか落ち着く訳だ。
ここで問題なのは、全てゆっくりで叙情的な曲であること。短時間なら構わないが、演奏会を構成しようとすると行き詰まる。子供がエキサイトするような音楽は和楽器では無理なのか、と思わせることが多い。
そこに「ルパン三世」。これはいい!という以上に、そういった曲の可能性を示唆するに充分。さらに上述のような問題を個人レベルでとっくに解決されていたことにも感動を覚えた。
ただ、最後の問題が残る。もし外国人が和楽器アンサンブルで「与作」「ルパン三世」と続けて聴いたとする。この2曲は別の曲だと認識できるだろうか…。