井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

コンクールの結果を左右する、かもしれない伴奏ピアニスト

2012-11-02 00:19:03 | コンクール

これは自明の理だと言いたいところだが、実際にはあまり神経を払われていないように思う状況が結構多い。

うまい人と一緒に演奏すると、自分も上手くなってしまう。これは、上手い人と一緒に演奏したことが一度でもあれば、理屈抜きでわかる話である。その経験がない人は、上手い人とやったことがないということだ。お気の毒に・・・。

しかし、上手い人はなかなかいない場合もあるだろう。だが、大抵の場合は探し方が徹底していないように思う。探す方の見識も問われる。何をもって上手いとするかで、結果は違ってくるし。

そのような次第で、まず子供やその親が探すのには無理がある。持っている情報が少なすぎる場合がほとんどだからだ。そこで、その先生やそれクラスの人の出番になるのだが、今度はその先生のセンスが問われることになる。

先日会った先輩の言。

やはり伴奏ピアノに誰を選ぶかも含めて「準備」だよね。

全くもってその通りなのだが、現実にはなかなか厳しいご意見でもある。その先輩はピアノも達者な弦楽器奏者だ。そう、ピアノに詳しくないとこんなことは言えない。

その先輩は、生徒のコンクールのために私が選んだピアニストを褒めてくれたのだが、正直言って、私もここまで良い結果を出してくれることを想定しておらず、我ながら驚きの本番を聞いた後だった。

何があったかというと、ピアノが良いからヴァイオリンも調子が良くなり、それを受けてさらにピアノも良くなるという、相乗効果が発揮されていた。コンクールの成績も、ひょっとしたら実力以上、とも言える結果だった。

そう言えば、以前にもこのピアニストとの組み合わせで、似たようなことが起こったから、やはりこの事実はこのピアニストが優れていることを物語っている。

とは言え、百発百中ではないので、ヴァイオリンの方にも力がないとこうはならない。

アンサンブルは持ちつ持たれつだ。どちらかだけが良かったり悪かったりということはあまりない。ピアノがまずいと実力が発揮できないどころか、足をひっぱられてしまわないとも限らない。だからコンクール等で、ピアノをケチるべきではない。それで成績が左右されるかもしれないのだから。

この優れたアンサンブル・ピアニストを育てるのは、本人と共演者、そしてその先生格の人であって、ピアノの先生ではない。つまり我々ががんばるべきことだと思っている。

早く、そのようなことを声高に言わなくても良い日が来ますように。