今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

これは凄く面白い>「最後の角川春樹」伊藤彰彦

2023年02月25日 | ブックレビュー

 

 図書館で借りてきたのですが、凄く面白かったです。出版社による情報では「『人間の証明』、『セーラー服と機関銃』…活字と映像を交錯させて、表現の力で社会を揺り動かした戦後最大の出版人、その魂の軌跡。」というもの。

 内容はというと、全編著者の伊藤彰彦さんによるインタビューです。その目次は以下の通り。

序章 敗れざる者
第1章 少年時代(~二十二歳)
第2章 編集者時代(二十二~三十三歳)
第3章 映画プロデューサー時代(三十四歳~)
第4章 俳人と映画監督の間(四十歳~)
第5章 収監そして復帰へ(五十一~六十二歳)
第6章 最後の監督作品
終章 それでも敗れざる者


 私の年代だと角川春樹の名前を知らない人はいないと思いますが、なんか知らんけど逮捕されたとか会社追い出されたとか、そういうヤバイ人という認識だけで、実際どうだったの? 今はどうしてるの?というのはちゃんと知られてないと思います。

 この本はとにかく伊藤彰彦さんが事前に収集した情報が凄くて、それについて角川氏が答えるという流れなのですが、お互い本当に深いところまで話し合ってるので、色々スッキリしました。

 私としては、やはり映画と文庫の話に興味があるのですが、なぜあの人を選んだのか、あの宣伝コピーはどういう経緯で作られたか、映画に関して訴えたり訴えられたりはどうしてだったのか?など、全然知らなかった話や、ぼんやりと聞いたような話をすべて当事者の言葉で理解しました。

 とにかく、この人は編集者としての力量が圧倒的で物凄い量の本を読んでは、これぞと思った本はすぐ作者に会いに行って、過去の作品を文庫に入れさせて欲しいとか、どういう本を書いて欲しいとか、行動力の一言では言い切れないものが溢れてます。

 あとは若い頃の企画力、発想力で詩集を出したり、それに女優のナレーションをつけたり、その辺の話も凄く面白かったです。

 実際借りてきて読んだのですが、これは手元に置いておきたいと思いましたので買う事にします。角川氏ももちろんすごいのですが、とにかく著者の伊藤さんにアッパレです。角川映画に興味のある人は一度読んでみることをお勧めします。