伊坂幸太郎
『PK』★★★
「いつの間にかロスタイムって言葉がなくなりましたよね」
TVで誰かが言っていたのを思い出した。
確かに。
この本は2012年3月7日発行
その頃(初出は2011年)はまだ「ロスタイム」だったのね。
緑好きとしてはこの装丁は美しい。
タイムトラベル的なお話だとどうしても「ななみ」の場面が浮かぶ。
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「興味深いですね」とまったく興味がなさそうに答えた。
「印象付け」
「事が起きてからでは手遅れだからね」
「お父さんの友だちに、次郎君というのがいたんだがな」
「工事中のビルには夢がある」
「工事が途中で止まることも、ままありますが」
「世間が事実だと思ったことが事実なんだ」
「世の中には、逆らえない大きな流れがあるってことじゃないの」
A・J・P・テイラーの『戦争はなぜ起こるか』
「これくらいで済むのなら良かった」
「臆病は伝染する」
「知らないほうが良かった、ということもあるな」
「PKのチャンスが訪れたら、外してください」
「あなたの信念を曲げて欲しいのです」
「『そして勇気も伝染する』」
「え」
「臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する」
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「日ごろからこういうミスが多くて、自分でも嫌になってしまいます」
『死の商人』
欲望はエスカレートする。資本主義における経済成長と同じ理屈だ。欲望を叶えれば、次の欲望が生まれる。
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「分岐」と「ただの変化」の境い目はどこにあるというのか。
「これからのヒーローの第一条件は、失言しないことだ」
「あなたの力が必要なんです」
どんな薬にも副作用はある。
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華奢なその人の手が丸く肉厚だったのが意外だった。
「ニセモノの青空と 白い雲」
熊本が・・・阿蘇が崩落している。
朝 目覚めて異常に多いメール受信がほとんど「地震速報」だった。
何が起こっているんだろう?
都心のこの平和さの中にいると通信手段がなければ伝わらない。
九州出身の知人友人にメールする。
東日本大震災の際にメールをもらったこと。義援金に寄付してくれたこと。
いたたまれない。
日本はどこにいても地震からは逃れられないんだって。