葉室麟
『蜩ノ記』★★★
前作の余韻が残るまま二作目を読んでみたいと思い本棚の前に立ち思案
結構たくさん書籍があり、やはりケータイで「葉室麟 おすすめ」で検索
そこでコレだ!と思った一冊
題名と装丁 そして「直木賞」の一言・・
カナカナカナと鳴く声が聞こえてくるような表紙
夏の日の夕景
うーん武士の静謐とした横顔がまたよい。
何度言ったら分かるのかしら?
そこで検索を終わっておけばよいのに、
どれどれとその快挙を見ていたら、映画化されていて、
主人公が役所光司で、脇を固めるのが岡田くんだと知る。
おかげで読んでいてもあたまの中で会話しているのが上記のお二方になったしまった。
よいのか悪いのか別として、小説はそういう想像はなしでゆきたい。
ちょっと残念 気をつけよう。
やはり葉室さんは真っすぐな人を描く。
武士道
わたしがなぜお江戸物語に心惹かれるのか・・その要因の一つ。
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「疑いは、疑う心があって生じるものだ。弁明しても心を変えることはできぬ。心を変えることができるのは、心をもってだけだ」
ひとは心の目指すところに向かって生きているのだ、と思うようになった。心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。
そう考える自分は、武士として恥ずかしい生き方をしているのだろうか。
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——蜩の記
とあった。
「蜩とは?」
庄三郎が訝しむと、秋谷はにこりとした。
「夏がくるとこのあたりではよく蜩が鳴きます。とくに秋の気配が近づくと、夏が終わるのを哀しむかのような鳴き声に聞こえます。それがしも、来る日一日を懸命に生きている身の上でござれば、日暮しの意味合いを込めて名づけました」
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