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2016-06-12 | 江國香織




江國香織
『なつのひかり』★★★★★


再読


なつのちゃんとひかりちゃんでなつのひかり
ふと思っただけ(笑)

夜風がカーテンを揺らす。
ぽっかり空いた 有意義で自由な夜



---



このごろ、私はすぐ途方にくれてしまう。



私は、日陰のない道を歩くのが好きだ。あかるすぎて、時間がとまっているように見える。白っぽい風景はめらめらと温度をあげ、街の音をどこかに閉じこめてしまう。



「暑い日は外がきれいね」

私は、夏の昼間、ブラインドをいつも閉めておく。部屋の中が水槽のようになるのが好きなのだ。



思いがけないときに思いがけない場所で、思いがけない人に会うのは嬉しい。



~私は眠っている人の顔をみているのが好きだ。眠っているとき、人は動物より植物に似ている。しずかな寝息、しずかなまつ毛、ねむたあい、ことちたり。ねむたあい、さかなたり。ねむたあい、もりのけものたち――。



寝起きの声は色っぽい。私は、ベランダに漂う青白い空気に耳を澄ます。やわらかでかなしげな、とろとろした夏の風。



「夫を二人持ってしまったのなら、結局のところ二人とも愛さなくてはいけないんだから」



こんなふうに密封された場所でうつむいていても、おもてが朝だとわかるのはどうしてだろう。朝は、階段の空気がとても清澄だ。



「うさぎちゃん」



さるすべりの並木道、歩道と車道を区切る緑色の柵。暑くて少しくらくらする。



「ビールを飲むときは、ひろびろとうした麦畑を想像しながら飲むの。そうすると、飲めば飲むほど健康になりそうな気がするでしょう?」
私はうなずく。わかるような気がした。麦畑というものを実際に見たことはないしにても、体の中に、いまたしかに金色の風景がひろがった。



「私があなたのどこを好きかっていうとね、こんな風に、人の話をあんまりきいていないところだわ」



「私には、いまのところ手持ちの札が一枚もありませんから」



私は、お湯の中で手足をゆらゆら動かすのが好きだ。手足の内側をお湯がすべる、開放的でなめらかなくすぐったさ。

いきおいよくほとばしるお湯は、私の肉体をほんとうに心から喜ばせる。お湯の音、お湯の感触、そうしてお湯の匂い。



晴れた真昼の日盛りよりも、こんな風に曇って湿度の高い遅い午後の方が、夏の息づかいというか体温というか、ある種邪悪な匂いが濃いと思った。

雨は、爽快なほどはげしい音をたてて降り始めた。夕立ち特有の、不穏でほこりっぽい匂いがたちまちあたりにたちこめる。



私たちは、それをただ待っていればいい。考えない、立ちどまらない。


人生は不可解で騒がしい。



諒解、



「人生なんてそもそも手違いだ」



あかるくて健康的。素敵なイメージだと思う。



朝は空気がつめたい露を含んでいて、畑の土もしっとりと匂いたっている。



誰も彼も何かを探しているのだ。誰も彼も何かを探していて、だからどこかしら出かけていく場所がある。私は窓をあけた。晴朗な空気と鳩の声が届き、部屋の中に朝の最初の光がさした。私には探し物はない。だからこれといっていく場所もない。あるのはただの日常と、そのしずかなくり返しだけだ。



子供の頃、夏の夕方が好きだった。自由と不自由のあいだみたいな、心もとなくて不安な感じが好きだった。


青かった空は随分白っぽくひろびろとなり、あたりには夏の夕方特有の、とろとろした哀しみがしのびよっていた。



ねむたあい、ことりたち。ねむたあい、ひつじたち。ねむたあいかんがるーたち。



濃いすみれ色の空に、宵の明星がぽつんと小さく、くっきりと光っている。



「深く愛してるわ」



夜は、しっとりと快い重みをもって私たちの上に降りていた。



肉体的苦痛の果ての快楽、突然の解放。



「来年の今月今夜、なにをしてるだろう」

いつだってそうだ。現実というのはうけいれる他につきあいようがない。



なんの作意もない言い方だった。その声があまりにもやさしかったので、私は少しかなしくなってしまう。これだからやさしさは嫌いだ。



カンガエチャイケナイ、ススムシカナイノダ。
私のなかで、なにかがそう言っていた。



もうだめだ、と思った。流れてしまった時間はもう絶対にもとに戻せない。



私だけがここに残るのだ。いつもそう。気がつけばおなじ場所にいる。

いかなくてはいけないいかなくてはいけないいかなくてはいけない。



私は腰をうしろにそらし、ふーっと一つためいきをつく。空がかなしいほど青い。



・・・・・・私を? 捨てる?



破壊して遁走する。
それが私たちのやり方だった。



ここがどこなのかは問題じゃない。たぶん、流れるところに流れつくのだ。








女王様のお酒の話をしよう。
梅酒に似た外国のお酒で、美しいピンク色をしている。バチャランという名前で、甘くてやわらかな味がする。


ときどき、花びらがこぼれてコップのなかにおちる。すると、ピンク色をしたその甘い飲み物は、心なしかよけいに匂いたつのだった。



私は立ちどまり、ためいきをつく。ひろびろとうすい水色の、空がきれいだった。強いか風がふきぬける。



---



ナポレオンが愛しく・・・(笑)




























誰にも何にもしばられない自由過ぎてぽっかり空く時間をうれしくも複雑な気分になる。

昨日午後に帰ってきて、お昼ごはんを食べながらかるく飲んで夕寝
起きたらショートメールにケータイメール、LINE、PCメール+
わたしという存在が忘れ去られてないというおかしさにも似た気持ち。

ただ今日は静かで孤独な夕方
ドタキャンしたのはわたしだけど。
肩のあたりの重さと筋肉痛→練習中止
「先輩おごってね」的いやらしさ→お茶中止

刻々と過ぎる時間
焦りがないとは言えないけどどうしようもない。


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