第45話 自分らしさ

2005年03月31日 23時56分24秒 | Weblog

二兎を追う者は一兎も得ず、にならぬよう、備えあれば憂いなし、
旗揚げ公演を企画してからベリーダンスを辞めたのは、ちょうど2年前。
すべての休日は旗揚げの為、旅行も諦め、山にも登らず、寺に詣らず、
時間的に、金銭的にも、他の趣味を絶った。
通っていた教習所にも行けず、仮免でペーパードライバーに…
この1年、新しい服を買う余裕もなかったな~
演劇一色だった。

日曜、ベリーを一緒に習っていた友人の二次会(結婚披露パーティー)に参加した。
途中、もちろん?ベリーダンスショーあり! 踊るは、我が同期。
私が休学中、二人はベリー、一色。彼女たちは上達し、私はカメラ係と化す。
起点は一緒だったが、2年の間に、二人のダンスは変わっていた。
一人は「私は本場の踊りを習いたい」とエジプトに飛んだ。ベリー正統派を目指す。
もう一人は「私はやっぱりエロさ(格好よさ)を追求したい」と音楽に身をまかせ即興で踊る。
二人それぞれのソロを踊り、最後はデュエット。同じ振付になると余計、二人の魅せ方の違いを感じた。

私らしく生きるというが、私らしくしか生きられないのではないだろうか?と。
必死に探すものでなく、らしさに気づくことなのではないだろうか?と。
最近、そう思えてならない。
踊りは、いかにも二人らしかった。

ベリーの話の前に着付けの話を書いている途中、
ふと中学生の頃、家庭科の宿題でマフラーを編んだことを思い出した。
融通のきかない頑固者の私が編んだマフラーは、首にまくと肩こりを起こしそうなほど重かった。
編み物が上手な母にきくと、ふわっと隙間を残すように編めばいいのだという。
母の編んでくれたセーターは空気を含んであたたかかった。

世の中は正しさで割り切ることができないと知った今なら、
あの頃より少しは柔らかく編み上げることができるのだろうか…

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第44話 プレゼン(ベリーダンス)

2005年03月30日 23時55分50秒 | Weblog

人はないものに憧れるものなのでしょうか…?

何ダンスにしようかな~
いくつか体験教室に行って…その日の見学、そこには私にはない色気が!
YUMA先生にかぶりつき。

しっかりした型があり、はずしがある。緊張と緩和。
安定しているけど、一辺倒ではない。転調がある。
可愛く踊っているかと思うと、同性でさえどきっとするほどのセクシー。
指先まで緊張をはる品と、訴えかける目のあだっぽさ…
その二面性、この意外性がたまらない。
テクニカルメリットはさることながら、アーティスティックインプレッション満点。
YUMA先生、格好いい!体が熱くなった。

ベリーダンスに決定!!

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第43話 片結び

2005年03月29日 23時54分54秒 | Weblog

高校入学、茶道部入部を基に、2年、華道部を加え、3年、着付け部がなかったので、
学外で習い始めるまで和がひろがっていった。

着物を自分で着ると、疲れる。
着物にはボタンやホックがないので、位置を決めたところを紐で固定していく。
私の場合、ここぞと位置を決めたら、そこを動かさないよう押さえる手に力が入る。
紐を結ぶとき、着くずれてはいけないと、きつく結ぼうとまた力が入る。苦しい。
そのわりに結び目が、最後、固くしっかりきまらない…。

上手い人は、紐を軽く交差させ、素早く巻いたかと思うと、最後、落とし込むように、ぐっと決める。
着つけられている私は、最後、うっと入るが、その後、不思議と苦しくない。
しかも、使う紐の数が少ない。要所要所にだけ。縛られない分、さらに、楽。
着つける人は最初から最後まで涼しい顔、あっという間に仕上げる。
上手い人は着物を脱ぐ時に至るまで、楽であるよう仕掛けてある。
紐をす~っとひっぱるだけで、ほどけていく…感動。

正確にいうと、私が着物を自分で着ると疲れる、かもしれない。
余計なところにばかり力が入り、肝心なところで、ゆるむ。
始終、気を張ってなくていい。要、要でいいようだ。


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第42話 もの草

2005年03月28日 00時40分46秒 | Weblog

生花は空気を清くする。
素敵な女性は花を絶やさない暮らしをしているのだろうが、
花より団子、私の懐、花にさく余裕なく、花のない生活をしている。
そんな私が花を買おうと思う時がある。
それは、部屋が汚くなった時…。
散らかったところに花を飾る。
花を愛でるものの、まわりに散らかった邪魔物たちが目障りに。花のまわりを片づける。
花のある一角だけ綺麗になる。すると、まわりがその一角の清さについていけなくなる。
気になって、片づけ始める。花を中心に、すっきり綺麗がひろがっていく。
花のパワーでまわりが清くなる。

買ったなら、なるべく長く花を楽しみたい。
いけた花に元気がなくなった時、花瓶に砂糖を入れる。
すると、きげんがよくなる。
夏の暑い日、花瓶に氷を入れてやる。
すると、シャキッとしてくれる。
生きてるんだな~しみじみ思う。

さて、そろそろ私、花を買いにいかねばなるまい…。

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第41話 真剣勝負

2005年03月27日 23時25分03秒 | Weblog

毎週月曜、職場に新しい花が届く。
花ばさみを使って、いけていく。
短くなりすぎてはとりかえしがつかない。かといって、何度もはさみを入れたくはない。
心を決め、潔く切る。パチン、心が引き締まるいい音だ。
花瓶なので自由にいけていいのだろうが、高校時代に少しかじった華道の約束事を守って、
基本になる3点を決め、その3点にまた添えていく。
決める、きる、決める、いける、決める、昇華していく。

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第40話 接待

2005年03月26日 21時15分22秒 | Weblog

和敬静寂、一期一会、一杯のお茶の為、心を尽くしておもてなしをする茶道が好きだった。

モテなせる女に憧れる。シチュエーションとしては、「旦那の友人、新居を訪ねる」の巻。
待ち人を思いながら、部屋を整え、身を整え、心を整え準備する。
部屋の温度はほどよく、お香をたいておく。
夜なら玄関の電気は惜しみなくつけておく。
夏なら、グラスを冷凍庫でひやしておく。
できればお皿もお料理の温度にあわせて、ひやしておく OR あたためておく。

待ち人、来たる。
玄関まで出迎える。
客人がテーブルの上の布(あえて味のある手ぬぐい)に気づく。
「ああ、それ、可愛いでしょう?京都で買ったの。ナプキンかわりに使えるかな~と思って…」
ここは無地ではなく、意表をついて柄入りのものを用意したい。
お料理は小皿でいくつか用意したい。大皿の上に小さな小皿をいくつか飾ってもいい。
そこに季節や色彩、遊び心、どれか仕掛けておきたい。
お料理は…この先期待の大きい発展途上?いやいや大器晩成型というべきか?
ま、ま、そういう訳なので、メイン料理は鍋にさせてもらうとしよう。
鍋も後半、手がベトベトに…そんな時は用意したレモンを持ってくる。
客人の手に絞る。手をあわせてこすってもらい、おしぼりでふく。あら、不思議?
手に残っていた匂いが消えて、レモンの香りがかすかに残る。客人、すっきり。
雑炊を作る。
この時、作り手に視線が浴びてしまうことを忘れず、といた卵も箸を使って、品よく入れていく。
会話とおなかのほどよいタイミングで、デザートを出す。

客人のお帰り。
玄関に明かりを灯し、お見送りに立つ。
見送った後もそのまま…しばらくそうしてから、鍵を閉める音。

気がつけば、私はいつも何か待っている。
同じ待つなら、こういう待ち時間を過ごせる女性になりたいものである。

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第39話 お点前

2005年03月25日 23時56分12秒 | Weblog

次の動作から次の動作へよどみなく流れ、
作業の順序がこれ以上ないほどにベスト。

仕事で、その美しい近道を発見。
高校時代、茶道部だったことをふと思い出す。
何も削るものがないところまで無駄を省いた茶道。
あの頃茶室で気づけなかったすばらしさに、今頃気づく。

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第38話 遠泳法

2005年03月24日 23時54分00秒 | Weblog

 うまく泳げるようになりたい…
短期で水泳を習いにいく。水が怖いわけではない。
息継ぎができないのだ。
だから、苦しくなっていく。

高校にはプールがなかった。水着を着るなんて考えもしなかった大学時代。
水の中に入る。久しぶりの羊水、嬉しさに水中で跳ねてしまう。
まず、水に慣れる。「水の中ではしっかり目をあけて下さい」 へ?目、あけるんだ…。
次に、浮く。「リラックスして下さい。体に無駄な力が入っていると沈みますよ」
水抵抗の少ない姿勢を作る。
クロールの手の動き。「水をつかまえ、ひきよせ、押す感じで。そこに推進力が生まれます」
空で手をかいた時は感じなかったが、水が重い。
がむしゃらに腕をまわすのではなく、水の中では肘を曲げる、水の上では肘を上げる。
スムーズで力強いストロークのコツは肘にあるらしい。肘?なるほど動きがついてくる感じに!
水が少し軽くなった感じ。
再び水中に戻した時の手は「意識的に前に伸ばして。このちょっとした頑張りでさらにぐっと進みます」
足は膝から下でしない。股関節を支点に脚をしならせ、柔らかくした足先で下に打つ。
「後ろに蹴るのでなく下です」 ついつい前へ前へと焦ってしまうが、左右交互にゆっくり。
いよいよ問題の息継ぎ。肘が顔を引き上げる。タイミングは肘の動きに同調させるだけ。
「先生、やっぱり息が吸えないんですけど…」
「水中で息を吐いていますか?」
「…止めてます」
「原因はそれです。息を吸おうと思ったら、まず吐くこと。吐かなければ吸えません。
吐いた反動でスッと空気が入ってきます」
苦しいのは、十分な空気が吸えないからだとばかり思い、吸うことに必死になっていたが…
自宅で洗面器に水をはって稽古。
水中、鼻からブクブク~ボコボコボコ~、右向いて、パッ、ブクブクブク~パッ。
ほんとだ~勝手に空気が入ってくる~

先生「ひとつひとつの動きは綺麗なんですけど…バタ足をしないと前には進みませんよ」
しまった!組み合わせて同時にできない不器用な体…
「美しく泳ぐにはバランスとコンビネーションが必要」らしい。
目標25m達成ならず、14日間で世渡り上手とまではいかなかったが、
生き抜き方は目からウロコだった。
より長くより可愛く泳げるように、私はなりたい。


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第37話 たなごころ

2005年03月23日 00時38分00秒 | Weblog

 乗馬、馬の顔のデカさにたまげる。想像以上に、長い。
目が綺麗…焦げ茶色の毛並みが筋肉にそって光り、美しさに…驚く。
こんなに体が大きいのに…なんて細い足!

乗馬、馬の背にまたがる。え?え~こんなにまたがなければならない?
これがまた想像以上に、大きくまたがなければならない。
久しぶりの、おんぶ…あったか~い。

わ、高っ!高いところが得意な方ではないのだが、
馬がしっかり私をおんぶしてくれているから不思議と怖くない。
けれど、気をぬくと、馬のUP・DOWNと私のDOWN・UPがぶつかって痛い痛い。
馬上で跳ねる私。
やや!この娘は暴れ馬か?
手綱をひく先生が「大丈夫ですよ~ここの馬は訓練していますから、
振り落とされることはないです」笑顔。

お、呼吸があってきた。ぱかぱか、ぽかぽか、UPDOWN、UPDOWN。
パートナーとリズムをあわせることができる嬉しさ!
いつもと違う見晴らしのよさ!
ぱかぱか、ぽかぽか、気持ちいい。

もしも、お金に余裕があったなら、この体験終了後、乗馬を始めていたかもしれない。断念。
馬の隣、いつになく小顔に見える私の写真を眺めていると、
名残惜しみながら馬に触れた手のひらの感触がよみがえる。あの馬の汗とあたたかさ…
ありがとう。
そんな簡単に心を通わせることなんてできないかもしれない。
それでも伝えたいと思った時…自然に体に触れ、撫でていた。

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第36話 縁結びの道

2005年03月22日 00時50分18秒 | Weblog

思えば遠くへきたもんだ…振り向いてみると、あんなことも、こんなことも、
すべてがつながり、一本の道になっている。

何にもなかったあの頃があったから、今この歳になってエネルギーが残っていたのか、
失ったから…見つかったのか、すべて必要だった。

もうすぐ入社9年目が終わろうとしている。
後輩が入ってこないので、いまだ課では末っ子である。
自分が演劇をすることになろうとは夢にも思わなかった。
補助的な仕事に携わり、直接自身にはねかえってくるものがなかった。
名前を呼ばれることがなかった。そんな環境で生きてきた反動なのか、
そんな縁を活かして自己表現に向かった。

ひとりでは立ち向かえない。
探す中で出会った人と人の縁を結びながら、道の途中、旗を掲げることができた。
すると今度は、劇団カプチーノを入り口にして、ここで「書くこと」と出会えた。

書く時、私はいつも後ろ向き、かみしめて、前に進むエネルギーに変えていく。
私らしく、進んでいく。

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