こげの耳に★ねんぶつ★

たわいない日々の思うことと愛犬こげと花が咲いていたら花の写真など

生きていたけど

2013-01-09 05:30:00 | いろいろ
年末のことです。お墓の掃除におばあちゃんと出かけて花筒のはなを取り除き、それを墓地

横の茂みに捨てようと私が、近づきながら「ん?山の中に張ったネットが極端に下がってい

るわ、なんでだろ?」と思いながら一歩進んでメッシュ網の上からはなを捨てようとした時

「うそ!シカが引っかかっている!!」その声におばあちゃんが「なんやて?」と聞き返し

ます。「シカがネットにかかっている!」こわごわ近寄りながら「死んでんのかな、生きて

るのかな?」と見るとこの冬にハエが一匹シカの体に止まっています。てっきり死んでいる

と思ったら耳がピクンと動いたのです。「生きてるわ」喜んだものの、さてこれをどう外し

ていいのか・・・そうや、前にたんぼのメッシュに後ろ足を引っかけたシカのように役場に

電話して外してもらおう、あの係りの人は優しかったもん。ここも人家があるし駆除はでき

ないやろ・・・とおばあちゃんと話していたら、お墓の下の家にやって来たおばさんが

「シカがあるんやて?」と私達の話すのを聞いたのかさっさとネットの方に上がってきます

シカを見ていきなりネットの端をむんずと持ち上げた途端、シカがぴょ~んと立ち上がった

ように見えたけど、実は人間に対して逃げる一心でもがいたようにも見えました。私は

弱ってはいなさそうなので「おばさん、もう触らんといて。役場に電話してくるから」と

言い残し家に飛んで帰ったのです。役場に電話してまだ生きているシカなので、ネットを

外してほしいとと言ったんですが、対応した職員が、それはもうトンチンカンなので、もろ

イラッときました。住所を言ってるのですが電話の向こうで地図を開いているのか、場所が

わからないようなのです。目安になる家の名前を言っても聞きとれないのか全然違う名前を

いうので、こっちは一刻も早く助けてあげたいのにと思い「判る人、おらんのかな(プン)

全く」と言ったら「少々お待ちできますか、そこの地区の人いますので」居るならさっさと

代われよなぁ・・・。代わって出た人に「まえにもメッシュにかかったシカを逃がしてもら

ったので、ネットから外してもらえませんか?」とお願いしたら「では、時間はわかりませ

んが行きます」と言うので「できるだけ早く来てください」と言ったのだ。年末で役場も

忙しいでしょうが、このままだと死ぬのを待ってから来そうな感じに私は思ったのだ。



この黄色いネットはおばあちゃんと私達が張ったもので、お墓の中にシカが入って花筒のは

なを引き抜いたりするので防御のために張ったんだけど、その後メッシュ網を張り巡らした

ので、外しておくべきだったと二人で後悔したのだ。シカはまだ小鹿と言うくらいの大きさ

で、シカの目ってこんなに大きいのかと思い、そしてとても澄んだ水晶みたいできれいだと

初めて知った。農作物を荒らすのには困るけどこうして網にかかったものは逃がしてやりた

い。前にわけわからん人のネットにシカがかかり、それを駆除するのを通りがかりに見た人

が私に涙ながらに「あんなむごいことをするのが、かわいそうで」と話していたけど私は

その時「でもさぁ たんぼや畑を作っていたら、それを荒らされたらやっぱり駆除はしない

と。可哀想だと思うのは畑やたんぼを作ってないからそう思うんやろ」と心で思っていたの

が本心だ。だけども、こうして必死にもがいている姿を見たら駆除してほしいと役場に訴え

ることはできない。ましてや自分ちのお墓の横だし。役場はすぐには来ないだろうと思って

いる間に、今度はお墓の下の家のおじさんがやってきた。「シカがかかったんやて」と言い

またシカの近くにズンズン歩いていく。私は「あまり弱らさないで。」と言うと「ワシが

子供の頃に、罠にかかったシカを助けて傷口を消毒したけどやっぱりあかなんだ。生きてい

るなら逃がしたろか。ネットを切ってもかまんか?」というので「役場の人に頼んだけど

先に逃がしてもいいか・・鎌があるから切ってもいいよ」と鎌を差し出すとおじさんが

「どれ逃がしてやるからな。」とネットを切りだした。シカは暴れていたけど少しずつ体が

自由になるのがわかるのかジッとしていた。「ほら、立てるか」とおじさんが体からネット

をよけたら、シカがパッと立ち上がった。その瞬間、「あ、これは生きていけないかも」と

思った。シカは長時間ネットに頭を巻かれていたせいか、首が折れてはないけど寝くじった

ように頭を持ち上げられないように、頭が下を向いたままの状態になっていたのだ。だから

立ちあがっても自分の見える視野が下方、地面なのですぐにコロンと転がってしまうのだ。

おじさんも「あ、こりゃ助からんな。頭が元に戻らんなぁ」とここまでしながら、どうして

やることもできずにシカを見ていた。こげの吠える声が聞こえたので家のほうを見ると軽ト

ラックが見えた。あれは猟友会の人の車だけど「なんで?」車は家からUターンしてお墓の

ほうにきている。「なんで?じゃぁ役場から連絡いったの?私はこのシカを駆除するように

頼んでしまったの?」おじさんは「ここで撃たんやろけど、このまま近くに置かれて死んで

しまわれても困るから、人の来ん山に寝かせて置いてやってくれたら自然に死んで行くんや

けどな」と猟友会の人にそういうと「いや撃つつもりできてないから」と言っています。

そうこうするうちに意外と早く役場の職員が二人やってきました。猟友会の人がシカの首を

つかんで立たすけど、やはり転んでしまいます。抱えあげ下の休耕田にむかいます。その時

はシカも首をつかまれて正面を向くように立たされたら、普通に歩けるのです。見ていたら

ちょうどこげくらいの大きさです。よけいに胸が痛くなってきて、「あぁこのまま撃たれて

しまうのか」と。休耕田でも立たされては転がり、何度かしているうちに谷あいの溝に落ち

てしまったようです。また休耕田に戻されて、役場の人と猟友会の人が何やら話していまし

たが、脚をくくってどこかへ乗せていきました。おばさんは「○○○ちゃん、もう気にした

らあかんで。しかたなかってんから。気にしなさんよ」とこの場にいた誰もがあのシカの

行く末を想像して黙ってしまいました。串本町では獣の被害が多く、各区でも猟友会の人の

パトロールや猟期を延長しています。イノシシに襲われたりサルに襲われたりしたという話

も聞きます。シカはありとあらゆるものを食べてしまいます。いま山に生えているのはシカ

が食べないものしか残ってないというほどです。だけど、だけど。。。なんですょ・・・

生きていたけど、元はと言えばあのネットを外しておいたらこんなことにはならなかったん

です。






まえに護岸工事をしていたおじさんが「この間の夕方、こげが外に出てたやろ」と言うので

す。夕方は庭にいるし、万が一逃げても遠くには一人で行けないはずだと私は思っていたん

だけど、そのおじさんが「工事している前の道をこげが走っていくから、おい、こげ家に

帰らなあかんぞ と言ったのにこっちを見ずに走り去ったけど、ちゃんと帰ったんやね」と

誉めてくれるのだ。たぶん、きっとそれはこの小鹿だったんだと我が家では思っている。

そのまま別の山に逃げて行ってくれたらこうなることもなかったのに、とまた思いだしても

辛い気持になるのです。

そんなある日、よく見るブログのクマにゃんというネコが癌で死にました。それほどネコが

好きではない私ですが、このクマにゃんの顔がとてもかわいく、そうそうそのブログの懸賞で

クマにゃんのジグソーパズルが当ったことがありました。ばらすのがもったいなくて、遊ばず

写真立てに入れて飾っています。昨年にはクマにゃんと一緒に飼われていたケメコも死んでい

たので、そのこともショックでした。飼い主さんが3.11以来放射能汚染が怖く、四国に

避難し、そしてネコ4匹を連れてオーストラリアに避難したのです。オーストラリアの検疫所

では到着後一ヶ月検疫生活を強いられたのには、私は「なにもそこまでしなくても」と飼い主

さんに対して憤慨したのですが、4匹はオーストラリア生活もそこそこ楽しんでいたようです

あのまま日本にいたら、もう少し長生きできたのかも、検疫生活がストレスになったのでは?

とよそのネコですが、近所のネコのような気がして残念でたまりません。命あるものに対し

自分がどう向き合うか、最近私の胸の中はとても複雑なのだ・・・
コメント
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