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宮城谷昌光・著“長城のかげ”(文庫本)を読んで

このブログへの投稿ネタが無い!読後感想しかない!何を読むか?お気楽に小説でも?そうだ、久々に宮城谷昌光氏を取り上げようと、読んだのがこの本。短編集だったとは知らなかったが、劉邦という古代の雄大な人物の“影”の周辺の英雄譚だった。 その内の『逃げる』は、項羽の忠良なる将・季布の敗残から逃亡の果ての話。捕らえられた季布に劉邦は、最期に項羽は何と言っていたか尋ねた。季布はそれをいなして“江水がみたい、と仰せになりました。”と誤魔化した。ところが劉邦は“汝は旧主おもいよな。逃げるといったのであろう。”とズバリ言い当ててみせた。そして劉邦は続けて項羽を鮮やかに総括してみせている。劉邦の性格や人となり、全人格をここまで作家は読み切って、このような台詞を吐かせるのか・・・・。この作家の想像力・表現力は凄い。この感動で、さらにもっと読み繋ぎたくなったのだ。面目躍如である。 実は、この作家には『劉邦』という長編がある。残念ながら長編は手に負えぬと怯えて、私はこれを未だ読んでいない。この書評によれば、作家はこれら短編を書きあげてから、この長編を著作したという。それを知ってホッと一安心した。それならば、この長編『劉邦』をゆっくりと今後の楽しみとしたい。 . . . 本文を読む
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