The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
私のマーケット状況判断
年初から株価が暴落している。何が要因か。
(1)中国経済の停滞
(2)原油安
(3)米国利上げ
大抵のエコノミストはこの3つを挙げている。しかし、この内のどの要因が影響甚大と考えるかで、今後の予想は違ってくる。こうした複数の要因が交錯する中で、見通しが“不透明”とされるのは当然のことかも知れない。
さらに一部週刊誌等で伝わってくるジム・ロジャーズ氏の言動は、世界経済の“不透明”の中で日本株を売却しキャッシュ・ポジションを高めているということだが、これをどう見るべきであろうか。
中国経済は資本投下による景気浮揚の路線が行き詰って、それが供給過剰の要因となり、現在の停滞を招いている。つまり不良債権が山積み状態なので、これを少しずつ解消させているのが現状なのであろう。その中で、国営企業などの非効率部分を改革して行く抜本的な構造改革が必要とされている。しかしながら、そうした改革は下手をすると政権の基盤構造そのものにもかかわる部分があると想像され、改革は非常に困難で一朝一夕に達成できるものとは思えない。
しかしとにかく、そうした改革を通じて消費拡大による景気浮揚する経済へと転換させようということだ。それを新状態と政権が呼んでいるのだろうが、そこへの移行は順調なのか否か、その目標を含めて計画性や進捗の実態が不明である。しかしながら、改革が不十分な現状で既に上海の株価も既に落ちるところまで落ちているとの見方も一部にはあるようだ。
しかし、基本的には具体的にどうなれば新状態と呼べるのか、どうなれば移行完了と言えるのかが不明のままでは、世界経済への悪影響も残留のままとなる。従いマーケットも中国の経済成長に期待しないままでの影響織り込みとなって来ていて小康を保っていたので、年初のいきなりの暴落の直接原因は“中国”ではないと考えるのが普通だろう。
これに対して年初の株式市場暴落時は、原油安による財政危機に陥った産油国オイル・マネーの流出が指摘されていた。(湾岸産油国の資金は総額で270兆円とされるが、当然この全てが売却された訳ではない。)しかし、これも最近は大きな余波にはなっていないという影の声も聞く。恐らく市場規模はそれを上回っているからではないか。世界の株式市場の規模は8,000兆円(120円/ドルで換算)、東京市場は580兆円と言われているが、オイル・マネーは日本でのみ売却していた訳ではないはずで世界中のマーケットでの売却ならば衝撃はあっても影響はそれほど甚大とは言えないように思う。
そもそも原油安は、エネルギー源の自前供給を目指していた米国が技術革新により、シェール・ガス、オイルの産業化に成功し世界一の原油供給国へと変貌を遂げたことによることが大きい。そこへ前述のようにエネルギー多消費国であった中国経済が停滞し、他の新興国BRICSもインド以外は皆不況に陥り、原油消費は減少した。(このことは“環境”には良い事なのだが、“経済”を語る時は何故かそういう議論は為されない。)その一方、生産コストの高いと想定される米国シェール・オイル(バレル50~40ドル?)を狙い撃ちしたかのようなサウジ・アラビアの減産拒否、その上にイラン原油の参入によって、原油市場価格は破滅的に下落した。
原油売却の利潤低下が国家財政に大きく影響する産油国では財政悪化への対策で、資金を引き上げているとされる。また、その影響力に怯えたマネーがリスク・オフへと動き、株価暴落となっていると推測されているのだ。
そういう訳で、暴落の主因は残る米国利上げの影響が出ていると見るのが、妥当なのかも知れない。このように断言するエコノミストが一部に居るのも事実だ。長い間0金利で来ていたものがたとえ0.25%であっても上がるとなると市場は混乱するものだという。過去の利上げ後の状態を見ると、少なくとも1ヶ月以上は混乱が続くとされている。世界中にばらまかれた米国資金が引上げられて米国に戻るとするならば、まだまだ混乱終息とはならないと見るのが妥当なのだろう。
こうした経済の不透明さの中で、上海G20中央銀行総裁・財務大臣会合が開催された。どうやら主な狙いは人民元の水準が現状で適切なのかの議論も本来はなされるべきところのようだが、メンツを重視する中国当局はそういう議論は避けたであろうと思われる。また、中国当局は声明文に書かれていないことは実行しないとも十分想像されるので、上海での声明文はそれなりの重みがある。
従って、各国の思惑の中で妥協的な結論しか得られない場合は、市場は失望して下落傾向に拍車がかかることは予想されていた。しかしとにかく、G20開催速報を見る限り過激な結論は出ず、若干の取組みが決定されたようだが、その効果には即効性は期待できそうにない。これが市場でどのように評価されるのであろうか。週明け世界で最初に市場を開くのは東京だが、ここでの株価下落が気懸りである。
特にその中では、新興国(中国も含まれるのだろうが)からの資金流出に対する警戒感が全面に出ている。南米諸国の経済不安の懸念が大きくなっていることもあるのだろう。それに関連して、米国の利上げのペースはスロー・ダウンされるものと思われる。これにより、円高懸念は増大するものとも思われる。
円高になれば、当然のことのように日本の株式市場は売り先行となるだろう。従い、そうなれば日経平均はチャーチストの予想する14,500円台に向かって下落することが予想される。その後は、どうなるのだろうか。
しかし、日本のエコノミストは一様に米国経済の底堅さには確信を持っているという不思議な状態にある。米国の市場参加者は、製造業不振に警戒心を抱いているにもかかわらず、いずれも米国製造業のシェアーは非製造業よりも小さく、米国経済は非製造業によって支えられていて心配ないと、日本のエコノミストはコメントしている。この妙に自信ありげな判断は間違っていないのだろうか。
日本のエコノミスト大半は、この米国経済の底堅さに引きずられて、年内いずれ日経平均は2万円になるとの楽観的な予測をしている。それは勿論、安倍政権の選挙前の財政出動期待が前提になっている。しかし、それが亡国への最後の選択となるような気がしているが、どうだろうか。
残念ながら何としても、先年に安保法制制定を選択したのが決定的誤りで、日本経済の構造改革を後回しにしたツケが大きな問題として回ってくるのではないかと私は懸念している。
日本経済の構造改革とは、2次産業(製造業)中心の経済からサービス業つまり3次産業を中心とした産業構造に転換することだ。文化、学術研究、教育、技術開発そして報道、エンタテイメント(映画、観光、スポーツ等含む)、工芸等を頂点とした様々なサービス産業への梃入れだ。世界の生産工場に新開発の製品の生産を指揮する本社・研究施設を日本に置いて指揮する体制を築くべきだ。いずれの分野でも必要なのは大学を中心とした研究体制ではないか。にもかかわらず、現政権はこの方面をないがしろにしている。国家百年の大計の中心たる教育はなおざりのままだ。幼児教育すらままならない。こう考えると現政権の政策がいかに上っ面の政策ばかりか良く分かるではないか。
政治的には、都市自治体の強化が必要だ。東京一極集中では、リスク管理上きわめて危険なことは明らかではないか。地方創生などとお茶を濁している場合ではない。一刻も早く都市自治体を中心とした都市連合によって日本を構成する発想が必要だ。そうすることによって自由の横溢した文化が開花するのではないか。これが国家戦略というものではないか。21世紀にはこうした大胆な発想が無ければ、日本は埋没するばかりではないか。
安倍政権は今、金融政策だけで景気を浮揚させようとしている。恐らく先述の多くの日本のエコノミストが予想するように、選挙対策で小手先の財政出動をするのだろう。これがまた大きなツケになるように思う。世界のファンド・マネージャーは日本の財政規律が崩れることを虎視眈々と狙っているのは事実だろう。我々としては、日本経済が崩壊する前の微妙に比較的円高の今が海外投資の良い機会かも知れない。
(1)中国経済の停滞
(2)原油安
(3)米国利上げ
大抵のエコノミストはこの3つを挙げている。しかし、この内のどの要因が影響甚大と考えるかで、今後の予想は違ってくる。こうした複数の要因が交錯する中で、見通しが“不透明”とされるのは当然のことかも知れない。
さらに一部週刊誌等で伝わってくるジム・ロジャーズ氏の言動は、世界経済の“不透明”の中で日本株を売却しキャッシュ・ポジションを高めているということだが、これをどう見るべきであろうか。
中国経済は資本投下による景気浮揚の路線が行き詰って、それが供給過剰の要因となり、現在の停滞を招いている。つまり不良債権が山積み状態なので、これを少しずつ解消させているのが現状なのであろう。その中で、国営企業などの非効率部分を改革して行く抜本的な構造改革が必要とされている。しかしながら、そうした改革は下手をすると政権の基盤構造そのものにもかかわる部分があると想像され、改革は非常に困難で一朝一夕に達成できるものとは思えない。
しかしとにかく、そうした改革を通じて消費拡大による景気浮揚する経済へと転換させようということだ。それを新状態と政権が呼んでいるのだろうが、そこへの移行は順調なのか否か、その目標を含めて計画性や進捗の実態が不明である。しかしながら、改革が不十分な現状で既に上海の株価も既に落ちるところまで落ちているとの見方も一部にはあるようだ。
しかし、基本的には具体的にどうなれば新状態と呼べるのか、どうなれば移行完了と言えるのかが不明のままでは、世界経済への悪影響も残留のままとなる。従いマーケットも中国の経済成長に期待しないままでの影響織り込みとなって来ていて小康を保っていたので、年初のいきなりの暴落の直接原因は“中国”ではないと考えるのが普通だろう。
これに対して年初の株式市場暴落時は、原油安による財政危機に陥った産油国オイル・マネーの流出が指摘されていた。(湾岸産油国の資金は総額で270兆円とされるが、当然この全てが売却された訳ではない。)しかし、これも最近は大きな余波にはなっていないという影の声も聞く。恐らく市場規模はそれを上回っているからではないか。世界の株式市場の規模は8,000兆円(120円/ドルで換算)、東京市場は580兆円と言われているが、オイル・マネーは日本でのみ売却していた訳ではないはずで世界中のマーケットでの売却ならば衝撃はあっても影響はそれほど甚大とは言えないように思う。
そもそも原油安は、エネルギー源の自前供給を目指していた米国が技術革新により、シェール・ガス、オイルの産業化に成功し世界一の原油供給国へと変貌を遂げたことによることが大きい。そこへ前述のようにエネルギー多消費国であった中国経済が停滞し、他の新興国BRICSもインド以外は皆不況に陥り、原油消費は減少した。(このことは“環境”には良い事なのだが、“経済”を語る時は何故かそういう議論は為されない。)その一方、生産コストの高いと想定される米国シェール・オイル(バレル50~40ドル?)を狙い撃ちしたかのようなサウジ・アラビアの減産拒否、その上にイラン原油の参入によって、原油市場価格は破滅的に下落した。
原油売却の利潤低下が国家財政に大きく影響する産油国では財政悪化への対策で、資金を引き上げているとされる。また、その影響力に怯えたマネーがリスク・オフへと動き、株価暴落となっていると推測されているのだ。
そういう訳で、暴落の主因は残る米国利上げの影響が出ていると見るのが、妥当なのかも知れない。このように断言するエコノミストが一部に居るのも事実だ。長い間0金利で来ていたものがたとえ0.25%であっても上がるとなると市場は混乱するものだという。過去の利上げ後の状態を見ると、少なくとも1ヶ月以上は混乱が続くとされている。世界中にばらまかれた米国資金が引上げられて米国に戻るとするならば、まだまだ混乱終息とはならないと見るのが妥当なのだろう。
こうした経済の不透明さの中で、上海G20中央銀行総裁・財務大臣会合が開催された。どうやら主な狙いは人民元の水準が現状で適切なのかの議論も本来はなされるべきところのようだが、メンツを重視する中国当局はそういう議論は避けたであろうと思われる。また、中国当局は声明文に書かれていないことは実行しないとも十分想像されるので、上海での声明文はそれなりの重みがある。
従って、各国の思惑の中で妥協的な結論しか得られない場合は、市場は失望して下落傾向に拍車がかかることは予想されていた。しかしとにかく、G20開催速報を見る限り過激な結論は出ず、若干の取組みが決定されたようだが、その効果には即効性は期待できそうにない。これが市場でどのように評価されるのであろうか。週明け世界で最初に市場を開くのは東京だが、ここでの株価下落が気懸りである。
特にその中では、新興国(中国も含まれるのだろうが)からの資金流出に対する警戒感が全面に出ている。南米諸国の経済不安の懸念が大きくなっていることもあるのだろう。それに関連して、米国の利上げのペースはスロー・ダウンされるものと思われる。これにより、円高懸念は増大するものとも思われる。
円高になれば、当然のことのように日本の株式市場は売り先行となるだろう。従い、そうなれば日経平均はチャーチストの予想する14,500円台に向かって下落することが予想される。その後は、どうなるのだろうか。
しかし、日本のエコノミストは一様に米国経済の底堅さには確信を持っているという不思議な状態にある。米国の市場参加者は、製造業不振に警戒心を抱いているにもかかわらず、いずれも米国製造業のシェアーは非製造業よりも小さく、米国経済は非製造業によって支えられていて心配ないと、日本のエコノミストはコメントしている。この妙に自信ありげな判断は間違っていないのだろうか。
日本のエコノミスト大半は、この米国経済の底堅さに引きずられて、年内いずれ日経平均は2万円になるとの楽観的な予測をしている。それは勿論、安倍政権の選挙前の財政出動期待が前提になっている。しかし、それが亡国への最後の選択となるような気がしているが、どうだろうか。
残念ながら何としても、先年に安保法制制定を選択したのが決定的誤りで、日本経済の構造改革を後回しにしたツケが大きな問題として回ってくるのではないかと私は懸念している。
日本経済の構造改革とは、2次産業(製造業)中心の経済からサービス業つまり3次産業を中心とした産業構造に転換することだ。文化、学術研究、教育、技術開発そして報道、エンタテイメント(映画、観光、スポーツ等含む)、工芸等を頂点とした様々なサービス産業への梃入れだ。世界の生産工場に新開発の製品の生産を指揮する本社・研究施設を日本に置いて指揮する体制を築くべきだ。いずれの分野でも必要なのは大学を中心とした研究体制ではないか。にもかかわらず、現政権はこの方面をないがしろにしている。国家百年の大計の中心たる教育はなおざりのままだ。幼児教育すらままならない。こう考えると現政権の政策がいかに上っ面の政策ばかりか良く分かるではないか。
政治的には、都市自治体の強化が必要だ。東京一極集中では、リスク管理上きわめて危険なことは明らかではないか。地方創生などとお茶を濁している場合ではない。一刻も早く都市自治体を中心とした都市連合によって日本を構成する発想が必要だ。そうすることによって自由の横溢した文化が開花するのではないか。これが国家戦略というものではないか。21世紀にはこうした大胆な発想が無ければ、日本は埋没するばかりではないか。
安倍政権は今、金融政策だけで景気を浮揚させようとしている。恐らく先述の多くの日本のエコノミストが予想するように、選挙対策で小手先の財政出動をするのだろう。これがまた大きなツケになるように思う。世界のファンド・マネージャーは日本の財政規律が崩れることを虎視眈々と狙っているのは事実だろう。我々としては、日本経済が崩壊する前の微妙に比較的円高の今が海外投資の良い機会かも知れない。
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