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内部監査と審査

内部監査の目的は、活動の適切性を検証し、マネジメント・システムの有効性を確認するために行われるのですが、“監査のための指針”を規定したISO19011には次のようなコメントを記しています。“マネージメントレビュー及びその他の内部目的のために、その組織自体または代理人によって行われ、その組織の適合を自己宣言するための基礎とできる。”そして 内部監査で重要なのは 特に“内部目的のために”実施するということです。



内部目的とは何か。それはISOマネジメント上は方針や目標であり、組織の必要とする追加要求事項などで示された内容です。つまり “卓越モデル”への道なのです。内部監査の 監査基準は“パフォーマンス基準である”と言われるのはこの辺を指していると思うのです。そして、ISOマネジメントを捨ててTQMへ走ろうとする動きは この辺りをしっかり認識できていない結果ではないか、と思うのです。



“審査”では 審査者が第三者であるが故に 監査対象ビジネスの詳細な内容を知る由も無く、何がリスクであるのかの判断基準を持たないが故に、ISO9001に忠実に監査することに重点が置かれます。組織に 普遍性、客観性 つまり世間並みを求めることになります。一方、第一者(自身の)監査である内部監査では 経営者が狙う“内部目的”に沿って実施され、結果が経営者にマネジメント・レビューの材料として報告されるため、結果として 組織のパフォーマンスを判定する必要があり、ある意味エクセレント、つまり卓越性を志向するべきなのです。

つまり、内部監査での検証を、認証後何年たっても ISO9001に規定された要求事項のみで見ていたのでは 一向にパフォーマンスは良くならないし、その結果として品質や顧客満足も向上しないのは 当たり前です。ここに “審査” と“内部監査”の大きな違いが見て取れます。特に 内部監査では 経営者の意志の徹底を検証するという、経営者の主体性というか姿勢が問われます。つまり、ISO9001の認証を取得したが、一向に経営が改善しないというのは、経営者の意志が 薄弱な証拠で 元々しっかりした経営をしていない証拠だと思うです。そのような ところで、ISOマネジメントを捨ててTQMを始めても 一向に経営状態は好転しないでしょう。いや、このような経営者にはどのような経営ツールも役立たないはずです。

以上の ことについて指針を示すISO9000では“内部監査において考慮すべき主題の例には、次の事項を含む。”とあり、以下の項目を上げています。
-プロセスの効果的で効率的な実施
-継続的改善の機会-プロセスの能力
-統計的手法の効果的で効率的な利用
-情報技術の利用-品質コストのデータの分析
-資源の効果的で効率的な使用
-プロセス及び製品のパフォーマンスの結果と期待
-パフォーマンス測定の妥当性と正確さ-改善の活動
-利害関係者との関係
そして 最後に“内部監査の報告には、管理者が功績を認める機会及び人々の意識を高揚する機会を提供するために、時には優秀なパフォーマンスの実例を含める。” とあります。これはいわば、社内の成功物語と英雄の創造の奨励ですね。この称揚が カルチャー創造に効果的であることを示していますね。
(参考:加護野忠男“企業のパラダイム変革” http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1488902
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