The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“ISOを活かす― 16. 直接顧客と最終顧客を考慮して、顧客満足度を向上させる”
今回は、流通の先に居る最終顧客の満足度向上の方法を検討する課題です。
【組織の問題点】
3年前にISO9001を認証取得した化学肥料メーカーA社は、農協から受注しているが、商品(化学肥料)は各農家に直接納入しています。マニュアル上、顧客は農協としています。
農協との関係は 常に良好ですが、農家から苦情を受けることが多く、この苦情がA社のISOマネジメントシステムに上手く反映していないということです。この最終顧客の農家の満足度を向上するためにISOシステムをどのように改善するべきか、という課題です。
【ISO活用による解決策】
ここで 著者・岩波氏は “A社の場合は、直接顧客と最終顧客の両方と接していますが、一般的には、最終顧客とは商取引上の接点のないことが多いようです。しかしそのような場合でも、最終顧客の満足度を調査することが、顧客のためだけでなく、自社のためにも望ましいといえます。” と指摘して、各業種について直接顧客と最終顧客の例を示しています。
そして、“直接顧客と最終顧客の両方の満足度を調査して、経営に活用することが必要でしょう。”と述べています。
【ポイント】
そして、以下が 著者による総括結果です。
【磯野及泉のコメント】
今回も かなり呆れる事例です。一体 この肥料メーカーA社は ビジネスに真剣なのでしょうか。
ISO9001の どこに “直接の顧客でない最終顧客は顧客としてはならない” と 規定しているでしょうか。自分たちの マニュアルで勝手に 農協を顧客と決め付けているだけです。自分たちのビジネスの本質を しっかり見つめるべきでしょう。
この場合 農協は 顧客というより いわゆる問屋であり、流通(Channel)という位置付けではないでしょうか。確かに “流通”には それなりの集約された意見が あるでしょうが、そこには流通としての見解があるのだと思うべきです。それを 単純に “顧客”と“見做した”ところに間違いが有ったものと思います。
メーカーと消費者の間には 必ず こういった“流通(Channel)”が あります。それを 通り一遍に “顧客” として分類・解釈してしまっていてよいのでしょうか。こんな 子供じみた無責任な構想で ビジネスが上手く行くとはとても 思えません。
一体 経営者や 販売担当重役は これまでどんな意志で仕事をし、部下にどんな指導をしていたのでしょう。
一般に 経営学の初歩のテキストで “事業の4C”と言われる 図のような思考枠組みがあります。その4Cの中で、自社のポジションを どのように認識しているのか、それができていないとこのような馬鹿げたマニュアルの決め付けになるのだと思います。
このA社の場合、経営陣含めて会社全体の自己認識が 希薄であると思われるのです。恐らく、このA社には 経営戦略が 無く、ISO/TS16949で要求されるビジネス・プランのようなものなど皆目ないものと思われます。
ISOマネジメントを実施する前段階の 会社と言えるでしょう。
A社の “5.1 経営者のコミットメント” の実施状況を 審査してみたいものです。恐らく 貧弱な内容であることが判明するでしょう。この場合、特に 5.1a)が 重点でしょうか。
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すぐ訂正いたしました。