健康塾通信

皆様がより健康であるための情報やご家庭でお手軽にできる健康法をお伝えいたします。

リンパ・・・その4 リンパドレナージ

2007年05月27日 12時14分44秒 | Weblog
リンパの特集4回目はマッサージのポイントや、リンパ浮腫の治療現場からの体験などをお話いたします。
リンパ液は主要リンパ節に向かって山の頂上から雨水が流れ込むように
注ぎ込みます。この点線は体液の区分を示したもので矢印のようにその区分された担当のリンパ節にリンパ液が流れていきます。イラストをクリックしてご確認下さい。

ドレナージの時もこの区分にあるリンパ節の方向に向かって皮膚をずらすように
マッサージします。
マッサージのポイントは手のひら(場所によっては指の腹)を皮膚に当ててゆっくり皮膚をずらします。そのまま皮膚から手を離さず、軽くゆるめて皮膚が自然に戻るようにしていきます。まるで猫をやさしくなでるように、皮膚の広い面では円を描くようにしてみます。


この区分線の位置は体の前面は正中線とおへその高さでわかれ、背中は第2腰椎の高さで交差しています。
区分線の境界には毛細血管が入り組んでいてマッサージの手技などでその境界を
越えてリンパ液を誘導して目的のリンパ節に排液することができます。
この方法を用いたものが治療として、失われたリンパ節の代わりにどこのリンパ節で排液を担当してもらうかを決めて、そのリンパ節に誘導するリンパドレナージのセラピーです。
私は乳癌や子宮癌によってリンパ節を切除した後、リンパ浮腫を発症した方々の
治療をはじめて13年になります。
当時はこの症状で悩んでいた皆様には行き場がなく、患者さん同士の集まりの中で情報交換など行っていました。
始めは足のリンパ浮腫の患者様にオイルマッサージからスタートいたしましたが、硬く浮腫んだ足の改善は意外と早く現れました。まず大きな改善は皮膚が柔らかくなり、関節の曲げ伸ばしが楽になったことです。ご本人も階段の上り下りがかなり楽になったとおっしゃっていました。
当時は治療法が確立されてなく手探りでむくみの改善のためマッサージをしてきましたが、左右の足の周径の差を縮めるのは困難でした。
でもありがたいことにそれから約3ヵ月後、ドイツの療法である複合物理疎泄療法と出会いました。
この療法は、失われたリンパ節のために浮腫を起こした脚や腕に対して、健康なリンパ節に向かって、溜まったリンパ液を排液するマッサージと、その効果をより高める為の圧迫療法(バンテージを巻く方法や弾性ストッキングを着用すること)
そして運動療法が複合されたものです。

この療法を学び患者様に取り入れることによって、周径の差も少なくなり患者様のQOLの向上にお役に立つことが出来るようになりました。
近頃は癌の手術の際にリンパ節を取り除いた為に起きる後遺症と言うことで新聞テレビなどで取り上げられるようになりました。
またこの複合物理疎泄療法も多くの方に知ってもらうことが出来、セラピストも増えてまいりました。
しかし、問題点はこれらの療法は保険が適用されず、また一度失ったリンパ節は再生されないので生涯に渉り、浮腫の悪化に留意しながら生活し、よい状態の維持のためにケアーを続けなければならないことです。
私は少しでも患者様の負担が軽くならないかと思い1999年から保険適用の運動を行ってまいりました。2000年4月には患者さんの団体と共に厚生省に申し入れも行いました。
このとき同席していた厚生省保険局の担当者から「治療法がこれしかないということならば保険を適用しやすいが、さっそくリンパ浮腫の保存療法(マッサージや弾性ストッキングなどの着用)の有効性について調査するよう国立がんセンターに取り次ぐ」というお返事をいただくことが出来ました。
現在も引き続き早い朗報を待ち望んでいる現状です。


リンパ・・・その3 流れ

2007年05月22日 00時16分49秒 | Weblog
19日あざみ野で「初めてのリンパドレナージュ」と言う講座が無事終了いたしました。
参加者25名中23人の方からアンケートをいただきましたのでその一部をご紹介させていただきます。

「参加したきっかけ」
①免疫力を向上させたい。・・65%
②むくみを改善したい。・・・35%
③冷え性を改善したい。・・・22% ということです。

2つ以上の項目に記入した方もいらしたようですが、免疫力にかかわるというリンパの役割をよく理解されていると感じました。

また「講座への満足度」は
62%が満足、29%が大変満足、

「内容の役立ち度」は
59%が役立った、36%が大変役立ったという結果になりました。

この講座で、リンパの流れを理解して免疫力アップやむくみなどの症状を、
自己ケアーによって改善したいという関心度がうかがわれました。

さて、本日は非常にゆっくりと流れているリンパ液の流れを助けるために
必要なことや手助けになるものをご紹介します。

①筋肉運動・・リンパシステムは心臓のようにポンプがないので、
       皮膚組織に多く分布している浅リンパ管のながれは骨格筋の
       運動によって循環します。
②呼吸運動・・呼吸によって横隔膜が収縮し循環を助けます。
③腸の蠕動運動・・内蔵筋のポンプにより腹部のリンパの循環が助けられます。
④リンパドレナージなどの皮膚刺激が有効です。

ではリンパの流れを悪くする日常の原因ですが
①慢性疲労
②ストレス
③運動不足
④食生活の乱れなどがあります。

*リンパのながれが悪くなると→ 老廃物の除去がスムーズにできないため
①健康面・・冷え、肩こり、便秘、頭痛、便秘、むくみ、肥満など。
②美容面・・しみ、しわ、にきびなどの原因になります。

*むくみの悪循環
①運動不足やカロリー過多になると脂肪細胞がさらに
脂肪を取り込んで肥大化します。
②肥満が進むと肥大した脂肪細胞が血管を圧迫するので
血管の外に水分がしみ出しやすくなります。
そうすると体液がたまる状態になってむくみがおきます。

その他に考えられるリンパの流れが悪い原因には
①心臓の病
②腎臓の病
③怪我の場合(たとえば捻挫などで血流が悪くなると血管から水分が
しみだしやすくなるので)
④薬の副作用
⑤手術でリンパ節を切除した場合など

このような原因が有りますが、急に尿の量が減ったり、なかなかむくみが
おさまらない時は、何か病気が隠れていることも有りますので、早めに病院で
受診してください。

リンパ・・・その2 ろ過装置

2007年05月14日 10時17分57秒 | Weblog
今回はリンパ第2弾でリンパ節のお話をいたします。

リンパ管の中は蛋白、脂質、細胞の小さいかけらや乳酸などを運び、数本のリンパ管が集まってリンパ節に運ばれます。

ここでは、悪いものをろ過して細菌などを退治してくれます。まさにフィルターの役目ですね。

このリンパ節はリンパ液の流れの中継地点と思っていただければよいと思いまが、その大きさは1ミリ~25ミリくらいの米粒大からソラマメの形をしているものなどで体の中に600個以上あるといわれます。

そしてフィルターの役割だけではなく、リンパ球を生成しています。

またリンパ管の中に進入した細菌やウイルスなどを捕らえて免疫抗体を作ります。

一度侵入して戦ったウイルスなどの性質を記憶して再び同じウイルスが侵入しないようにしてくれます。
ですからかぜをひいて首筋などのリンパ節がはれるのはリンパ節の中でウイルスと格闘しているからです。

またリンパ球は寿命が来ると死滅するものですが、この記憶は新しいリンパ球にも引き継がれますので安心です。

よく「リンパ腺がはれる」という言い方をされる方もいらっしゃいますが、じつはリンパ節のことなのです。

これでリンパ節の役割がおわかり頂けましたか?

もう一度まとめますと①リンパ液の浄化と②免疫機能です。

さあそれではからだの主なリンパ節の場所をご一緒に確認していきましょう!

まず左右鎖骨の上(鎖骨上リンパ節)・・最後にリンパ液は左の静脈角から心臓に戻りますので、特に左の鎖骨の上のリンパ節は最後の砦になります。

首の付け根(頸リンパ節)

耳の前(耳介前リンパ節)耳の後ろは(耳介後リンパ節)

あごの下(顎下リンパ節)・・顔から首に流れときにとおるので流れが悪いとあごのたるみや顔のたるみになります。

脇の下(腋窩リンパ節)・・肺に近いので外部からウイルスが入ったとき腫れやすい場所です。

肘の裏(肘窩リンパ節)

おなか(腹腔リンパ節)・・ここが滞ると子宮や腸の働きがにぶり、病気を引き起こすことになります。またおなか周りも太くなりやすいのです。

足の付け根(鼠径リンパ節)・・下半身のリンパが流れ込むので滞るとむくみや冷え、美容的にはヒップのたるみにつながります。

膝の裏(膝窩リンパ節)・・ここは滞ると足首のくびれがなくなり、静脈瘤になりやすくなるのでご注意ください。

このようにリンパ液はそれぞれのリンパ節を出てから各部分のリンパ管が合流し太くなってさらにリンパ本管となって静脈に流れ込みリンパ液の旅は終わります。
  

次回からはリンパ液が流れる為に必要なこと。そして、リンパの流れを悪くする原因などを、取り上げてみたいと思います。

リンパ・・・その1

2007年05月08日 23時05分33秒 | Weblog
先週のFMかわさきの放送の中で今月19日にアートフォーラムあざみ野で行われる「初めてのリンパドレナージュ」のご紹介をいたしました。

お約束いたしましたようにその講座にさきがけて今月は「リンパのマッサージ」やリンパの簡単な解剖学などのお話をお届けしてまいります。

リンパ液はこれまで血液ほど日常会話に登場しなかったかもしれませんが、近頃は注目を浴びる機会がふえました。それは健康にも美容にも大切な働きを持っているからです。

まず動脈血は太い血管からだんだん細くなって、毛細血管迄流れていきます。
うすい壁でできた毛細血管の小さい隙間からしみ出た血漿成分が組織間液と呼ばれて、組織や細胞に栄養などを運び、その中の老廃物が静脈の中にとりこまれますがこのとき静脈で回収し切れなかった老廃物がリンパ管に流れ込みます。

このリンパ管に流れ込んだ時点でリンパ液になるのです。

少しわかりやすくまとめてみました。

<血液循環ルート>
心臓→動脈→細動脈→毛細血管→細靜脈→静脈→心臓に戻る
           
<リンパ循環ルート>  
      毛細血管→毛細リンパ管→浅・深リンパ管→
リンパ節→リンパ本管→静脈→心臓に戻る

それではまずリンパが運ぶものをあげていきたいと思います。                                                         
① 死んだ細胞・・細胞分裂を終えたあとの死んだ細胞
② 老廃物・・・・代謝の際に発生する不要な物質
③ 脂肪・・・・・体内で利用されず余った脂肪
④ たんぱく質・・分子量が大きいのでリンパ管で運ばれる
⑤ 糖質・・・・・体内で利用されず余った糖質
⑥ 化学物質・・・有害なたばこの煙や排気ガスなど
⑦ 乳酸・・・・・疲労物質
⑧ 細菌・ウイルス・・リンパ節にはいり免疫細胞がやっつけます。

これらのものを運んでいるリンパの流れは、下水道といってもよいと思います。

このリンパ液は管の中を一方向に流れて行きますので所々に逆流を防ぐ為の弁がついています。そしてその流れはとてもゆっくりで、リンパ管は皮膚のすぐ下を流れているので強い圧迫で流れが滞ります。

ですから局所のしめつけや立ち仕事、同じ姿勢の持続はむくみの原因になります。

さらに、大切なことはリンパ液の中には免疫細胞がたくさん分布しているので外から進入する細菌などの病原菌の感染から体を守ってくれています。

リンパ循環のルートでおわかりいただけたように皮膚のすぐ下を流れる毛細リンパ管から皮膚の浅い層にある浅リンパ管や深部の深リンパ管といわれる数本のリンパ管が一つのリンパ節に入り込み合流して序序に太くなり、リンパ本管に入っていきます。

そして最後には静脈の中に入り込んで心臓にもどっていきます。
ですからリンパは渋滞した静脈を助ける抜け道ともいわれます。
その70%が皮膚組織を通っているのでリンパ管は最前線の防衛隊として私たちのからだを守ってくれているのです。

では次回はリンパ管の途中にあるろ過装置ともいうべきリンパ節のお話をしてまいります。

 

血液の話

2007年05月08日 07時29分03秒 | Weblog

私たちのからだの約60%が水分だということでしたが、今回は体液の中の血液についてお話いたします。

血液は血管の中を流れていますが、この体液の循環に関係するものを
ひとまとめに循環器系と呼んでいます。

私たちの身体はいろいろな器官が集まって、からだの生理作用の目的別に
器官系が分かれています。
たとえば骨格系や呼吸器系・消化器系などなど・・その系統は10系統に分けられています。

その中の循環器系というのは心臓・血管・リンパ管などが体液の循環に
かかわっています。

そしてこの循環も血液が流れる血管系とリンパが流れるリンパ管系の
2種類の循環があります。

まず今回は血管系の中の血液についてですが、血液は単に循環している
だけではなく、からだの状況に応じて必要とする臓器に適量の血液を分配しています。

たとえば食事のときは消化器系に血液を供給することで、
その機能を助け、栄養や水分の吸収を効率よくしてくれます。
ですから、食後すぐ動くことで、血液が筋肉運動の方にかかわってしまうので、食後の運動や入浴などは避け、食休みをすることが必要になります。

学習するときは脳への血液を供給し運動のときは、肺や心臓、大きな筋肉に酸素や血液を送り込むことになりますね。

さらに血液は動脈と静脈があります。

動脈・・・心臓から出て行き、細胞に栄養と酸素を運びます。

静脈・・・心臓にもどる循環で老廃物や二酸化炭素など余分なものの回収
     をします。心臓より下では手足の筋肉の動きで押し上げられています。

もう一度血液循環をまとめますと
心臓を出た動脈血が太い血管から徐々に細い血管に移動して毛細血管と
いう薄い壁で細かく枝分かれした血管から液体成分を染み出します。
ここで細胞が酸素と栄養を受け取り、二酸化炭素や老廃物など不要になったものを再び毛細血管が回収して細い静脈からだんだん太い静脈に入り心臓にもどります。

このように血液を通す役目の動脈と静脈、そして各細胞と物質を交換する役目の毛細血管があるということはおわかりになりましたか?
ですから毛細血管は植物の根っこや枝のように全身に大きく広がって
からだの隅々まで栄養を届けたり、いらないものを受け取ったりしているのです。

この循環器系の正常な働きの為には高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、
喫煙、運動不足、ストレスなど、まさに生活習慣をもう一度見直して健康の管理
を心がけて行きたいと思います。