マイコプラズマ感染症が流行っていると盛んに報道されています。
私自身も診療していて流行を実感する一方で「なんだか薬の効きが悪いなあ」という印象がありました。
そんなところに、下記ニュースが流れて納得;
■ 大流行中のマイコプラズマ肺炎,マクロライド高度耐性化率が約90%
今年(2011年)は小児や学童のマイコプラズマ肺炎の流行期といわれている。慶應義塾大学感染制御センターの岩田敏氏らが2000~今年にかけて行った同肺炎患者621例を対象とした調査で,2002年にはゼロであった同肺炎患者からのマクロライド高度耐性マイコプラズマの分離率が,今年に入り89.5%にまで増加していることが明らかになった(10月25日感染研感染症情報センター病原体情報)。同氏らはまた,十分な治療効果を期待できる抗菌薬がないとしており,一番効果が期待できるミノサイクリンも必要最小限にとどめるよう呼びかけている。
<マクロライド系薬「マイコプラズマそのものには無効なはず」>
マイコプラズマ肺炎は幼児から青年期に多く見られる感染症で,通常の細菌性肺炎とは違い,比較的重症感が少なく,X線所見も異なることから,過去には「異型肺炎」ともいわれていた(IDWR感染症の話マイコプラズマ肺炎)。
通常は秋から冬が日本における流行期とされるが,岩田氏らの報告によると今年は春から流行が始まり,最近再び勢いを増しているという。同氏らの調査では,患者から分離されたマクロライド系薬耐性菌の割合は約90%と過去最高を記録している。同氏らは「この耐性化は全国規模で見られており,ひとたびあるクラスで発症者が出ると,潜伏期間や咳嗽の強さもあって瞬く間に周囲へ拡散している」と述べている。感染研の情報では学校保健法上,マイコプラズマ肺炎による流行防止に対する積極的な措置の規定はないようだ。
また,同氏らが菌の耐性獲得状況を調べたところ,現在マイコプラズマ感染症に適応を有する主要なマクロライド系薬すべてに高度耐性化が見られたほか,他のすべての同系薬において交叉耐性が確認された。「以前は優れた臨床効果が見られていたにもかかわらず,遷延化例や重症化例が増えているのはこのため」であり,「同系薬はマイコプラズマそのものには無効なはず」との見解を同氏らは示している。
さらに,同感染症への適応を有する,もう1つの抗菌薬ミノサイクリンについても「耐性菌は認められていないが,抗菌力が非常に優れているというわけではない」と同氏ら。なお,同薬は歯牙着色の副作用があるため,8歳未満の小児に対しては慎重な投与が求められている。
同氏らはミノサイクリンを投与する場合の使用期間は通常3日,長くても5日以内にとどめたいとしている。
上述のように、マイコプラズマ感染症にはマクロライド系抗生物質(クラリス、ジスロマック、リカマイシン)が第一選択でしたが、それが効かないとなると・・・ミノマイシンが第二選択薬となりますが、8歳未満の子どもに使うと将来永久歯がくすんだ色になってしまう危険が・・・困りました。
ただし、もともとマイコプラズマ感染症は「self-limited」と云われ、1ヶ月くらいで自然に治癒するという特徴もあります。対症療法で治るのを待つことになるのでしょうか。
私自身も診療していて流行を実感する一方で「なんだか薬の効きが悪いなあ」という印象がありました。
そんなところに、下記ニュースが流れて納得;
■ 大流行中のマイコプラズマ肺炎,マクロライド高度耐性化率が約90%
(2011.10.26:メディカル・トリビューン)
今年(2011年)は小児や学童のマイコプラズマ肺炎の流行期といわれている。慶應義塾大学感染制御センターの岩田敏氏らが2000~今年にかけて行った同肺炎患者621例を対象とした調査で,2002年にはゼロであった同肺炎患者からのマクロライド高度耐性マイコプラズマの分離率が,今年に入り89.5%にまで増加していることが明らかになった(10月25日感染研感染症情報センター病原体情報)。同氏らはまた,十分な治療効果を期待できる抗菌薬がないとしており,一番効果が期待できるミノサイクリンも必要最小限にとどめるよう呼びかけている。
<マクロライド系薬「マイコプラズマそのものには無効なはず」>
マイコプラズマ肺炎は幼児から青年期に多く見られる感染症で,通常の細菌性肺炎とは違い,比較的重症感が少なく,X線所見も異なることから,過去には「異型肺炎」ともいわれていた(IDWR感染症の話マイコプラズマ肺炎)。
通常は秋から冬が日本における流行期とされるが,岩田氏らの報告によると今年は春から流行が始まり,最近再び勢いを増しているという。同氏らの調査では,患者から分離されたマクロライド系薬耐性菌の割合は約90%と過去最高を記録している。同氏らは「この耐性化は全国規模で見られており,ひとたびあるクラスで発症者が出ると,潜伏期間や咳嗽の強さもあって瞬く間に周囲へ拡散している」と述べている。感染研の情報では学校保健法上,マイコプラズマ肺炎による流行防止に対する積極的な措置の規定はないようだ。
また,同氏らが菌の耐性獲得状況を調べたところ,現在マイコプラズマ感染症に適応を有する主要なマクロライド系薬すべてに高度耐性化が見られたほか,他のすべての同系薬において交叉耐性が確認された。「以前は優れた臨床効果が見られていたにもかかわらず,遷延化例や重症化例が増えているのはこのため」であり,「同系薬はマイコプラズマそのものには無効なはず」との見解を同氏らは示している。
さらに,同感染症への適応を有する,もう1つの抗菌薬ミノサイクリンについても「耐性菌は認められていないが,抗菌力が非常に優れているというわけではない」と同氏ら。なお,同薬は歯牙着色の副作用があるため,8歳未満の小児に対しては慎重な投与が求められている。
同氏らはミノサイクリンを投与する場合の使用期間は通常3日,長くても5日以内にとどめたいとしている。
上述のように、マイコプラズマ感染症にはマクロライド系抗生物質(クラリス、ジスロマック、リカマイシン)が第一選択でしたが、それが効かないとなると・・・ミノマイシンが第二選択薬となりますが、8歳未満の子どもに使うと将来永久歯がくすんだ色になってしまう危険が・・・困りました。
ただし、もともとマイコプラズマ感染症は「self-limited」と云われ、1ヶ月くらいで自然に治癒するという特徴もあります。対症療法で治るのを待つことになるのでしょうか。