インフルエンザが猛威を振るっています。
12月中はA型が中心、年が明けてからはB型も出現。
おそらくこれから、学級閉鎖が相次ぐと思われます。
また、小児の重症例もニュースで報道されています。
私も昨年末、インフルエンザ脳症患者さんを救急車搬送しました。
その際、1990年代後半を思い出しました。
インフルエンザワクチン定期接種が中止され、
小児のインフルエンザ脳症、高齢者施設での死亡例が社会問題になりました。
今シーズンは、新型コロナ禍が一旦落ちついて感染対策が緩み、
インフルエンザワクチンに対する関心が低く接種率も低い・・・
1990年代後半の再来になるのではないかと懸念していましたが、
残念ながら予想が当たってしまいました。
さて巷には、
「何も対策をしていないけど、インフルエンザに罹ったことがない」
という人がたまにいます。
インフルエンザ患者さんをたくさん診療している医師も、
「なぜ罹らないんですか?」
と聞かれることも時々あります。
そんな謎に答える記事が目に留まりましたので、紹介します。
<ポイント>
・感染しても発症しない人。初期の免疫である“自然免疫”が強力な人。これは抗体を産生する“獲得免疫”とは異なる免疫能力である。
・“自然免疫”は基本的には持って生まれた生物多様性の一つ。後天的には、運動しながら規則正しい生活と良いタンパク質を摂ることで、ある程度日常から免疫力を上げていくということはあり得るが、それがウイルスを防御できるかどうかは別の問題。
・医師の養生法の例:『移動するたびに手を洗う』『診察ごとに飲み物を飲む』『海藻・きのこ等を食べて腸活する』『高速でぶくぶくうがい』
・・・風邪を引かない人は、持って生まれた“自然免疫”が強力である、という結論ですね。
よく通販やTV番組で「免疫力アップ」を謳った商品や健康法が紹介されますが、
まあ「やらないよりまし」くらいに捉えた方がよさそうです。
ちなみに私の感染予防法は、
・手指消毒:患者さんの触れる前後でアルコール消毒あるいは手洗いをしています。
・マスク:サージカルマスクを装着していたのにもかかわらずコロナに感染したので、それ以降はN95マスク(密閉して息が苦しくなる医療用マスク)を装着しています。変更してから数年間、1回も風邪を引いていません。
文中に受験生の対策や学校での感染対策も出てきますが、
皆さん、コロナ流行中の感染対策を思い出してください。
数年間、インフルエンザの流行はありませんでした。
あのくらい(生活に支障が出るくらい)感染対策を徹底すると、
インフルエンザには罹らないことを証明してくれました。
ただ、振り返ると無駄な対策(アクリル板、レストランでの手袋など)もありました。
今は、その教訓・エッセンスを活かす時です。
▢ 「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」
〜インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
(2025/1/10:TBS NEWS)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・
Q. 同じ予防をしていても、インフルエンザにかかる人とかからない人がいるのはなぜ ?
A. 免疫力の強さやワクチンの有無、疲れや睡眠などの体調による。
インフルエンザのウイルスは、口や鼻などから侵入し、喉の粘膜に定着します。このとき、免疫力が低いとウイルスが増殖して発症しますが、免疫力が高いと増殖せずに発症しないのです。
恵俊彰: 家族で同じ環境で過ごしていても、パパはかかるけどママはかからないとかあるもんね。 この免疫力っていうのはどうやってわかるんですか?「元気」とは違うんですか?
東邦大学 小林寅喆教授: 違いますね。
発症しないというのは「自然免疫」という初期の免疫が非常に強いケースなんです。 後で抗体ができて免疫力が上がるのではなくて、最初から入ってきた病原体をうまく抑えることができる免疫を持っている人がいるんです。
コメンテーター 眞鍋かをり: それは普段の頑張りなんですか?それとも持って生まれた・・・
小林寅喆教授: 基本的には持って生まれた生物多様性の一つだと思います。 後天的には、多少度合いの問題ですけども、運動しながら規則正しい生活と良いタンパク質を摂ってというような形で、ある程度日常から免疫力を上げていくということはあります。 ただそれがウイルスを防御できるかどうかはちょっと別の問題になってくる、難しい話です。 コメンテーター 眞鍋かをり: かかりやすいからといって普段不摂生なんだって反省しなくてもいいんですね。よかった…
Q. 毎日多くの患者を診察する医師は、どう予防している?
・・・
東邦大学 小林寅喆教授 ⇒『移動するたびに手を洗う』
ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長 ⇒『診察ごとに飲み物を飲む』
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長 ⇒『海藻・きのこ等を食べて腸活する』
すずらん歯科矯正歯科 照山裕子院長 ⇒『高速でぶくぶくうがい』
小林寅喆教授: 手を洗うのはもう基本です。 流行期には、どこかを触るということはたくさん人が触れている場所に自分の手が触れるわけですから、やはり外へ出たときには必ず手を洗う。 基本的に手が鼻・口にいかなければいいので、一番のリスクは食事をするときには一番触れやすいので、そこはもう必ず手を洗う。それと人混みに行ったときには必ず手を洗うことです。
田代和馬院長: 喉の粘膜を乾燥させてしまうと、そこが脆弱になって菌やウイルスが入ってきやすくなる可能性があります。 本当に僕らもしょっちゅう言われるんですよね。これだけ診ているのになんでかからないんだって。やっぱりプロは自分の身を守れてこそプロ。小林先生がおっしゃるように侵入経路を防ぐ基本的な対策をしています。 田代院長によると、「口の中が汚いとばい菌が増えてしまい、インフルエンザ後の肺炎のリスクが高まると言われている。口の中も綺麗に保つことは大切」。 そこで有効なのが、歯科医の照山院長も行う『高速ぶくぶくうがい(毒出しうがい)』です。
≪毒出しうがいのやり方≫
〔1〕口に含んだ水を上の歯に向けて強く早くぶつけ、10回ぶつけたら水を吐き出す
〔2〕同じように下の歯、右の歯、左の歯にぶつけるようにうがいを行う。
※口に含む水は30ml(ペットボトルの蓋2配分)程度
Q. ワクチンを接種したのに40℃の高熱が・・・ワクチンは意味がない?
A. インフルエンザ以外の風邪も同時にり患している可能性がある
Q. 去年10月にワクチンを接種、まだ流行しているので2回目を受けたほうがいい?
A. 基本的に1シーズン1回の接種でいい。
ワクチンの効果の期間を見ると、接種から1か月ぐらいで最も有効性が高くなり、そこからゆっくりと落ちていきます。大体5が月ぐらいが目安だということです。
小林寅喆教授: 3、4か月ぐらいから緩やかに落ちていきますので、インフルエンザの1シーズンは基本的には乗り越えられるだろうと。ですから、1と0という関係じゃなくて、どれぐらい残っているかによって防御効果を発揮するかを考えます。
Q. 来週末に大学共通テスト 勉強する環境はどうすればいい?
◆ 室温は20℃以上
◆ ひざ掛けなどで体を冷やさない工夫をする
◆ 加湿器などで湿度を50%以上にする
◆ こまめな水分補給をする
◆ あめなどでのどを潤す
教育アドバイザー 清水章弘: 換気はどうですか?
小林寅喆教授: 基本的には風邪、コロナ、呼吸器疾患全て、やはり換気は非常に重要ですので、ある程度の時間をあけて空気を入れ替えてまた暖かくして湿度を保つ。これは基本ですね。
田代和馬院長: やはり加湿をして、空気中のウイルス飛沫、ウイルスの塊に水分を含ませて重くして下に落とすとか、あるいは換気して外に流す。そうしたこまめな基本的な対策が受験生を守り、本番で十分実力を発揮していただくことにつながると思います。
田代和馬院長に学校での感染対策を聞きました。
◆ ワクチンの接種率を上げる
◆ 休み時間に換気をする
◆ 人混みではマスクを着用する
◆ 体調が悪いときは無理して学校に行かない
◆ 食事前・トイレの後は石鹸を使って手を洗う
◆ 給食やお弁当は間隔を空けて食べる
田代和馬院長: 一番重要なのは私はワクチンの接種率だと思っています。 やはり集団でインフルエンザが一番広がりやすいので、そこでの集団免疫を高めておけば感染拡大を防ぐのに効果的ですし、それこそお弁当の時間にわざわざ前を向いて食べる必要性も低くなっていくと思います。 発症を予防する効果ももちろんありますけど、重症化を予防したり感染拡大を抑える、そういった効果まで含めて行うのがワクチンですので。
恵俊彰: 今からでも間に合うんですか?
田代和馬院長: (免疫ができるまで)2週間ぐらいかかると言われています。 まだまだ流行る時期だと思いますので、今からでも打っていない方は打たれてもいいのかなと思います。
小林寅喆教授: 論文で、ウイルスはやっぱり高温多湿で早く死んでいくというデータがきちんと出ていますので、温度を上げながら湿度を高くするということが非常に重要なポイントです。 今おっしゃったように、ワクチンを打って、あとは環境を整えて乗り越えていくことがやはり大事な点だと思います。
(ひるおび 2025年1月9日放送より)