新型コロナウイルスによる肺炎といえば、
初期の頃の武漢株では、
発症してから1週間後に重症化して肺炎を合併し、
胸部CTで両側性に胸膜付近の影が広がるタイプがイメージされます。
しかし現在流行しているオミクロン株による肺炎は病像が違うそうです。
発症から1週間まで経たないうちに、
片側性に病巣を形成する細菌性肺炎が多いとのこと。
これは季節性インフルエンザと同じパターンですね。
すると、
「新型コロナも季節性インフルエンザと同じレベルになった」
という意見が出てきそうですが、さにあらず。
細菌性肺炎になるのはワクチンを複数回接種済みのヒト。
ワクチン未接種者では、武漢株と同じ両側性のウイルス性肺炎を発症するのです。
つまり、オミクロン株の病原性は武漢株と同等。
軽く済むようになったのは、ワクチン接種のお陰ということになります。
しかし高齢者の細菌性肺炎は治療に難渋し、
命を落とすことがあります。
季節性インフルエンザと同じです。
関連記事が目にとまりましたので、紹介させていただきます。
■ 新型コロナ第8波の「肺炎」は、コロナ禍初期の「肺炎」とはまったく違う
倉原優:呼吸器内科医
(2022/12/29:Yahooニュース)より一部抜粋;
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一言でコロナ肺炎といっても、現在はコロナ禍初期のウイルス性肺炎とは別物なのです。
◇ コロナ病棟は高齢者が過去最多
アルファ株やデルタ株のときは、酸素吸入が必要になる重症例が多かったとはいえ、
若年~中高年の患者さんが主体でしたから、
トイレや食事など基本的な身の回りのことをできる人が多かったです。
しかし、第8波の新型コロナ入院は、高齢者比率が過去最多となっており、
たとえば東京都では全体の過半数を80歳以上が占めます。
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◇ 第8波は細菌性・誤嚥性肺炎が多い
コロナ禍初期にみられた新型コロナ肺炎は、
ただただウイルスが肺内で暴走している現象をみていました。
「ウイルス性肺炎」は、肺の中で同時多発的に起こるので、
刷毛(はけ)で塗ったように薄い白色のカゲが肺全体に広がります。
そのため、「両肺が真っ白」になる人が多かったのです。
オミクロン株以降、
ワクチン未接種者を除いて、こういうウイルス性肺炎は減りました。
かわりに、高齢者が増えたことによって、新型コロナ陽性の細菌性・誤嚥性肺炎が増えました。
誤嚥した細菌・食事が肺の中に転がっていくから、
肺の背中側や下側に起こりやすいのです。
なので、限られた場所に肺炎が起こります。
高齢者の細菌性・誤嚥性肺炎は、
短期的に解決できる問題ではありません。
誤嚥する患者さんに対して、
「療養期間が終わったので施設に戻りましょう」というわけにはいかないのです。
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◇ まとめ
コロナ禍初期と比べると、
細菌性・誤嚥性などの「治りにくい肺炎」が多くなってきているのが第8波です。
こういった医学的弱者の入院期間は長くなりますので、
間接的に他の患者さんの医療が逼迫してしまいます。
たとえ「5類感染症」になったとしても、
これは高齢者を支える世代である私たちが向き合わなければならない問題なのです。