ワクチンの種類によって程度は異なるものの、接種後徐々に免疫効果が減っていくことが知られています。
大まかに言うと、不活化ワクチンで5年、生ワクチンで10年程度で発症予防ラインを下回るとされています。
紹介する記事は、百日咳ワクチンの効果減衰に関するデータです。
接種後8年を過ぎると41%の人は感染防止効果がなくなってしまう・・・。
だから、成人後も追加接種が必要なのですが、日本ではまだ手つかずの状態です(T_T)。
そのため、生まれたばかりの赤ちゃんが、お祝いに来た大人達から百日咳をもらって重症化し、命に関わるという事例が今でも発生しているという、悲しい事実があります。
■ 百日咳ワクチンの効果が年々切れていく?8年過ぎた人で「41%」
〜オンタリオ州5,867人のデータから
from CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne
(MEDLEY:2017年1月11日)
予防接種を打っても長年のうちに効果が弱くなってしまう場合があります。百日咳にかかった人の統計から、百日咳ワクチンの接種から年が過ぎるごとに予防効果が減っていたことが報告されました。
◇ オンタリオ州で百日咳の検査を受けた人の統計
カナダの研究班が、地域の統計データをもとに百日咳ワクチンの効果を解析した結果を医学誌『CMAJ』に報告しました。
この研究は、百日咳の検査を受けて結果が陽性だった人と陰性だった人を比較して、百日咳ワクチンを打ってからの期間などを調べることで、接種後の期間と予防効果の相関関係を調べています。
調査対象として、オンタリオ州に住む人の診療登録データベースの中で、2009年から2013年に百日咳の検査(PCR)を受けた人のデータを解析しました。検査陽性(百日咳にかかっていそうだという判定)の人が486人、陰性の人が5,381人、あわせて5,867人が対象となりました。
◇ 8年以降で有効率41%
解析から次の結果が得られました。
調整したワクチン有効率は、最後の接種後
・15日から364日には80%(95%信頼区間71%-86%)、
・1年から3年には84%(95%信頼区間77%-89%)、
・4年から7年には62%(95%信頼区間42%-75%)、
・8年以降には41%(95%信頼区間0%-66%)だった。
予防接種を打って1年から3年の間には、百日咳の84%を防ぐ効果が見られた一方、8年以上経過した人では百日咳の41%を防ぐ効果にまで下がっていると推計されました。年が過ぎるごとに予防効果が減る傾向が見られました。
研究班は「この研究により、カナダの百日咳予防接種戦略を再検討し、ワクチン開発を促す必要が強調された」と結論しています。
◇ 過去の病気ではない百日咳
百日咳ワクチンの効果が時間とともに弱くなるのではないかとする報告を紹介しました。
この研究で使われたカナダのデータの中では、百日咳ワクチンは17歳までに6回打つこととされています。日本では百日咳ワクチンは三種混合ワクチンに含まれ、7歳までに4回が定期接種とされています。効果を高めるために繰り返し接種しても、予防効果は絶対ではありません。
百日咳は現在の日本でも毎年発生しています。大人では比較的軽い症状で済むことが多いですが、乳児では重症になることがあります。症状の中でも特徴的なものとして以下があります。
・発病してから1-2週間はウイルス感染に似た症状(鼻水、目やに、のどの痛み)が出る
・短い咳が連続して何回も起こる
・息を吸うときに、笛の音のようなヒューという音が出る(笛音)
・顔のむくみ
・点状出血
・鼻血
百日咳を大人から家族にうつしてしまい、子どもが重症になる場合も考えられます。予防接種は欠かさず受けたうえ、咳が出る人の周りでは手洗い・マスクなど基本的な対策で感染が広まらないように気を付けてください。
<参照文献>
・Effectiveness of pertussis vaccination and duration of immunity. CMAJ. 2016 Nov 1.
大まかに言うと、不活化ワクチンで5年、生ワクチンで10年程度で発症予防ラインを下回るとされています。
紹介する記事は、百日咳ワクチンの効果減衰に関するデータです。
接種後8年を過ぎると41%の人は感染防止効果がなくなってしまう・・・。
だから、成人後も追加接種が必要なのですが、日本ではまだ手つかずの状態です(T_T)。
そのため、生まれたばかりの赤ちゃんが、お祝いに来た大人達から百日咳をもらって重症化し、命に関わるという事例が今でも発生しているという、悲しい事実があります。
■ 百日咳ワクチンの効果が年々切れていく?8年過ぎた人で「41%」
〜オンタリオ州5,867人のデータから
from CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne
(MEDLEY:2017年1月11日)
予防接種を打っても長年のうちに効果が弱くなってしまう場合があります。百日咳にかかった人の統計から、百日咳ワクチンの接種から年が過ぎるごとに予防効果が減っていたことが報告されました。
◇ オンタリオ州で百日咳の検査を受けた人の統計
カナダの研究班が、地域の統計データをもとに百日咳ワクチンの効果を解析した結果を医学誌『CMAJ』に報告しました。
この研究は、百日咳の検査を受けて結果が陽性だった人と陰性だった人を比較して、百日咳ワクチンを打ってからの期間などを調べることで、接種後の期間と予防効果の相関関係を調べています。
調査対象として、オンタリオ州に住む人の診療登録データベースの中で、2009年から2013年に百日咳の検査(PCR)を受けた人のデータを解析しました。検査陽性(百日咳にかかっていそうだという判定)の人が486人、陰性の人が5,381人、あわせて5,867人が対象となりました。
◇ 8年以降で有効率41%
解析から次の結果が得られました。
調整したワクチン有効率は、最後の接種後
・15日から364日には80%(95%信頼区間71%-86%)、
・1年から3年には84%(95%信頼区間77%-89%)、
・4年から7年には62%(95%信頼区間42%-75%)、
・8年以降には41%(95%信頼区間0%-66%)だった。
予防接種を打って1年から3年の間には、百日咳の84%を防ぐ効果が見られた一方、8年以上経過した人では百日咳の41%を防ぐ効果にまで下がっていると推計されました。年が過ぎるごとに予防効果が減る傾向が見られました。
研究班は「この研究により、カナダの百日咳予防接種戦略を再検討し、ワクチン開発を促す必要が強調された」と結論しています。
◇ 過去の病気ではない百日咳
百日咳ワクチンの効果が時間とともに弱くなるのではないかとする報告を紹介しました。
この研究で使われたカナダのデータの中では、百日咳ワクチンは17歳までに6回打つこととされています。日本では百日咳ワクチンは三種混合ワクチンに含まれ、7歳までに4回が定期接種とされています。効果を高めるために繰り返し接種しても、予防効果は絶対ではありません。
百日咳は現在の日本でも毎年発生しています。大人では比較的軽い症状で済むことが多いですが、乳児では重症になることがあります。症状の中でも特徴的なものとして以下があります。
・発病してから1-2週間はウイルス感染に似た症状(鼻水、目やに、のどの痛み)が出る
・短い咳が連続して何回も起こる
・息を吸うときに、笛の音のようなヒューという音が出る(笛音)
・顔のむくみ
・点状出血
・鼻血
百日咳を大人から家族にうつしてしまい、子どもが重症になる場合も考えられます。予防接種は欠かさず受けたうえ、咳が出る人の周りでは手洗い・マスクなど基本的な対策で感染が広まらないように気を付けてください。
<参照文献>
・Effectiveness of pertussis vaccination and duration of immunity. CMAJ. 2016 Nov 1.