私の調べた範囲では「無効」のようです。
10年以上前からアレルギー学会の「化学物質過敏症」のシンポジウム類を興味を持って聴講してきました。その中に空気清浄機の有効性の有無を検証する演題もありました。
発表者曰く「“イオン発生”という名前がついた製品はおしなべて効果がない、単純なフィルター式の方がまし」。
それ以来、私は「感染対策としての空気清浄機」を信用していません。
しかし時代は「プラズマクラスター」とか「ナノイー粒子」とかよくわからない物質を放出する高性能空気清浄機を重用する方向へ。
某市町村では「全小学校に高性能空気清浄機を導入」と喧伝しました。
■ 子どもの感染を防げ 新型インフル 学校に空気清浄機を導入 群馬
(2009年10月5日:東京新聞)
群馬県内でも学校での新型インフルエンザ集団感染が目立ち始めているが、ウイルスを破壊する効果があるとされる空気清浄機を学校に設置する動きが広がっている。メーカー担当者は「接触感染は防げないが、空気感染はかなりの確率で防げる」と効果を強調。学校側も「子どもの健康を守るためにありがたい話」と期待を寄せている。
いち早く導入を決めた太田市で二日、小学校と特別支援学校の一年の全クラスにサンヨー製の空気清浄機が設置された。県衛生環境研究所(前橋市)との共同実験で、ウイルスの感染力を99%以上抑制することが確認された機種だ。
同じ機能を持つ空気清浄機は、伊勢崎市が一日、保育所への設置を表明した。公立保育所は全保育室に、私立の認可保育所には各園に一台を無償貸与する計画で、八十台を十一月中に設置する計画だ。大泉町も保育園、幼稚園、小中学校、図書館など、子どもや高齢者が集まる三十三施設に約三百三十台を設置する予定だ。
■ (動画)新型インフルエンザから子どもを守る(平成21年10月、群馬県太田市)
この動画内で有効物質とされている消毒薬「次亜塩素酸」に関する記事も紹介します;
■ インフルエンザ対策? 保育園で次亜塩素酸ナトリウム溶液を加湿器噴霧
誤った感染症対策は無意味なだけでなく危険
(2012/10/22:日経メディカル)
医療機関や介護施設では、さまざまな感染症対策が施されているが、なかには的はずれだったり、逆に悪影響が懸念されるものもある。山口大学医学部附属病院薬剤部の尾家重治氏は、例えばインフルエンザ対策においては、感染経路として飛沫感染のみならず、近年関与が否定できないとされている空気感染(飛沫核感染)のリスクも考慮する必要はあるものの、空気中の噴霧消毒は意味がないだけでなく、危険であることを、第23回全国介護老人保健施設大会 美ら沖縄(ちゅらうちなぁ)(10月3~5日、開催地:沖縄県宜野湾市)の初日に行われた第6回老健医療研究会のシンポジウム「エビデンスに基づいた感染症対策」(座長:医療法人和香会・江澤和彦理事長)で指摘した。
医薬品、医療器材の微生物汚染とその対策や消毒薬、抗菌薬の抗菌効果と適正使用を専門とする尾家氏のもとには、感染症対策に関する多くの相談が持ち込まれる。シンポジウムでは、一部の相談事例が紹介された。
ある保育園から相談されたのは、超音波加湿器による室内空気の噴霧消毒の是非。現場に行ってみると、強アルカリ性消毒薬の次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする哺乳瓶消毒剤の希釈溶液を超音波加湿器に入れ、園児のいる保育室空中に噴霧していた。理由は「インフルエンザ予防のため」。確かに、インフルエンザウイルスに対して次亜塩素酸ナトリウムは有効な消毒薬の1つだが「毒性を考えると、噴霧は非常に危険と思われ、すぐに止めてもらった」と尾家氏。「消毒剤と加湿器がセットになっている商品も売られているようだが、噴霧してどれほどの効果があるかは疑問だし、何より人体への悪影響が心配される。基本的に消毒剤の噴霧は望ましくない」と注意を呼びかけた。「もしインフルエンザ感染予防のために室内消毒するのであれば、次亜塩素酸ナトリウムと同じくインフルエンザウイルスに有効で、毒性は低い消毒用エタノールを使ってテーブルなどの上を清拭するのは効果があると思われる」とした。
その翌年に「空気清浄機を導入してインフルエンザ患者が減ったのか教えて欲しい。多額の税金をつぎ込んで導入したのだから、検証・報告義務がある」と質問しましたがなしのつぶて。
そんな中、昨年入手した「インフルエンザ診療ガイド 2013-14」(日本医事新報社)に空気清浄機を扱った項目を見つけました。一部を抜粋します;
・大手電機メーカーから出されている空中への特殊な物質の放出により“空中浮遊ウイルスの不活化や殺菌効果”を謳う電気製品は、既に一般家庭に限らず医療現場を含め、市中のさまざまな場に広くみられている。
しかし、それらの有効性については企業側の一方的な説明があるだけで、まともで真に中立的、第三者的な検証報告はみあたらなかった。
そこで筆者らは独自にそれらの客観的検証を開始し、これまで「プラズマクラスターイオン」なるものによる空中浮遊ウイルス・空中浮遊菌・環境付着細菌の抑制を謳う機器、ならびに「ナノイー粒子」なるもので同様の効果を謳う機器等について、実用的意義の有無を検証してきた。
簡単に結論を言うと、空中浮遊インフルエンザウイルスに対する不活化効果は実用上、期待できない。それらに比べれば、性能のよい単なる空気清浄機の方が、はるかに効果がある。
検索すると、以下の記事を見つけました;
■ 空気清浄機ではインフルエンザを予防できない?
■ 新規電気製品の浮遊ウイルス除去効果、HEPAフィルター装着空気清浄機に遠く及ばず
(2011/10/18:日経メディカル)
プラズマクラスターイオン発生機やナノイー発生機、フラッシュ・ストリーマ放電装置付き空気清浄機など、浮遊ウイルスの抑制あるいは除去を特徴の1つとする新規電気製品では、一部に有意な除去効果が見られる機器があったものの、HEPAフィルター装着空気清浄機の効果には遠く及ばないことが分かった。国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンターの西村秀一氏らの研究で明らかになったもので、成果は感染症学雑誌に発表された。
■ 高性能の空中浮遊インフルエンザウイルス不活化を謳う市販各種電気製品の性能評価
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター 西村秀一
(感染症学雑誌 第85巻 第 5 号)
以上です。
10年以上前からアレルギー学会の「化学物質過敏症」のシンポジウム類を興味を持って聴講してきました。その中に空気清浄機の有効性の有無を検証する演題もありました。
発表者曰く「“イオン発生”という名前がついた製品はおしなべて効果がない、単純なフィルター式の方がまし」。
それ以来、私は「感染対策としての空気清浄機」を信用していません。
しかし時代は「プラズマクラスター」とか「ナノイー粒子」とかよくわからない物質を放出する高性能空気清浄機を重用する方向へ。
某市町村では「全小学校に高性能空気清浄機を導入」と喧伝しました。
■ 子どもの感染を防げ 新型インフル 学校に空気清浄機を導入 群馬
(2009年10月5日:東京新聞)
群馬県内でも学校での新型インフルエンザ集団感染が目立ち始めているが、ウイルスを破壊する効果があるとされる空気清浄機を学校に設置する動きが広がっている。メーカー担当者は「接触感染は防げないが、空気感染はかなりの確率で防げる」と効果を強調。学校側も「子どもの健康を守るためにありがたい話」と期待を寄せている。
いち早く導入を決めた太田市で二日、小学校と特別支援学校の一年の全クラスにサンヨー製の空気清浄機が設置された。県衛生環境研究所(前橋市)との共同実験で、ウイルスの感染力を99%以上抑制することが確認された機種だ。
同じ機能を持つ空気清浄機は、伊勢崎市が一日、保育所への設置を表明した。公立保育所は全保育室に、私立の認可保育所には各園に一台を無償貸与する計画で、八十台を十一月中に設置する計画だ。大泉町も保育園、幼稚園、小中学校、図書館など、子どもや高齢者が集まる三十三施設に約三百三十台を設置する予定だ。
■ (動画)新型インフルエンザから子どもを守る(平成21年10月、群馬県太田市)
この動画内で有効物質とされている消毒薬「次亜塩素酸」に関する記事も紹介します;
■ インフルエンザ対策? 保育園で次亜塩素酸ナトリウム溶液を加湿器噴霧
誤った感染症対策は無意味なだけでなく危険
(2012/10/22:日経メディカル)
医療機関や介護施設では、さまざまな感染症対策が施されているが、なかには的はずれだったり、逆に悪影響が懸念されるものもある。山口大学医学部附属病院薬剤部の尾家重治氏は、例えばインフルエンザ対策においては、感染経路として飛沫感染のみならず、近年関与が否定できないとされている空気感染(飛沫核感染)のリスクも考慮する必要はあるものの、空気中の噴霧消毒は意味がないだけでなく、危険であることを、第23回全国介護老人保健施設大会 美ら沖縄(ちゅらうちなぁ)(10月3~5日、開催地:沖縄県宜野湾市)の初日に行われた第6回老健医療研究会のシンポジウム「エビデンスに基づいた感染症対策」(座長:医療法人和香会・江澤和彦理事長)で指摘した。
医薬品、医療器材の微生物汚染とその対策や消毒薬、抗菌薬の抗菌効果と適正使用を専門とする尾家氏のもとには、感染症対策に関する多くの相談が持ち込まれる。シンポジウムでは、一部の相談事例が紹介された。
ある保育園から相談されたのは、超音波加湿器による室内空気の噴霧消毒の是非。現場に行ってみると、強アルカリ性消毒薬の次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする哺乳瓶消毒剤の希釈溶液を超音波加湿器に入れ、園児のいる保育室空中に噴霧していた。理由は「インフルエンザ予防のため」。確かに、インフルエンザウイルスに対して次亜塩素酸ナトリウムは有効な消毒薬の1つだが「毒性を考えると、噴霧は非常に危険と思われ、すぐに止めてもらった」と尾家氏。「消毒剤と加湿器がセットになっている商品も売られているようだが、噴霧してどれほどの効果があるかは疑問だし、何より人体への悪影響が心配される。基本的に消毒剤の噴霧は望ましくない」と注意を呼びかけた。「もしインフルエンザ感染予防のために室内消毒するのであれば、次亜塩素酸ナトリウムと同じくインフルエンザウイルスに有効で、毒性は低い消毒用エタノールを使ってテーブルなどの上を清拭するのは効果があると思われる」とした。
その翌年に「空気清浄機を導入してインフルエンザ患者が減ったのか教えて欲しい。多額の税金をつぎ込んで導入したのだから、検証・報告義務がある」と質問しましたがなしのつぶて。
そんな中、昨年入手した「インフルエンザ診療ガイド 2013-14」(日本医事新報社)に空気清浄機を扱った項目を見つけました。一部を抜粋します;
・大手電機メーカーから出されている空中への特殊な物質の放出により“空中浮遊ウイルスの不活化や殺菌効果”を謳う電気製品は、既に一般家庭に限らず医療現場を含め、市中のさまざまな場に広くみられている。
しかし、それらの有効性については企業側の一方的な説明があるだけで、まともで真に中立的、第三者的な検証報告はみあたらなかった。
そこで筆者らは独自にそれらの客観的検証を開始し、これまで「プラズマクラスターイオン」なるものによる空中浮遊ウイルス・空中浮遊菌・環境付着細菌の抑制を謳う機器、ならびに「ナノイー粒子」なるもので同様の効果を謳う機器等について、実用的意義の有無を検証してきた。
簡単に結論を言うと、空中浮遊インフルエンザウイルスに対する不活化効果は実用上、期待できない。それらに比べれば、性能のよい単なる空気清浄機の方が、はるかに効果がある。
検索すると、以下の記事を見つけました;
■ 空気清浄機ではインフルエンザを予防できない?
■ 新規電気製品の浮遊ウイルス除去効果、HEPAフィルター装着空気清浄機に遠く及ばず
(2011/10/18:日経メディカル)
プラズマクラスターイオン発生機やナノイー発生機、フラッシュ・ストリーマ放電装置付き空気清浄機など、浮遊ウイルスの抑制あるいは除去を特徴の1つとする新規電気製品では、一部に有意な除去効果が見られる機器があったものの、HEPAフィルター装着空気清浄機の効果には遠く及ばないことが分かった。国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンターの西村秀一氏らの研究で明らかになったもので、成果は感染症学雑誌に発表された。
■ 高性能の空中浮遊インフルエンザウイルス不活化を謳う市販各種電気製品の性能評価
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター 西村秀一
(感染症学雑誌 第85巻 第 5 号)
以上です。