徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

オミクロン株の特徴と対策

2022年01月07日 07時48分45秒 | 小児科診療
2021年12月から世界中に広がった新型コロナウイルスのオミクロン株。
感染力が最強?
重症化はしない?
等々、噂が先行して不安がかき立てられましたが、
徐々にその特徴が明らかになってきました。

敵を正しく理解して、正しく怖がりましょう。
読売新聞が日本の研究チーム(G2P-Japan)やCDCなどが公表したデータを紹介しています;

感染力:デルタ株の3-5倍
潜伏期間:約3日(デルタ株の約4日、従来株の5日以上より短い)
重症化リスク:デルタ株に比べ肺のウイルス量と炎症は減る
・免疫への作用:中和抗体の働きを弱めるが免疫細胞(T細胞)は有効

 沖縄県では、2022年1月2日までの1週間に判明した感染者のうち、オミクロン株と疑われる人の割合は73%に上った。東京都(34%)や大阪府(60%)と比べ、デルタ株からの置き換わりが進んでいるとされる。
 厚生労働省の専門家組織に提出された資料では、沖縄県で療養中の感染者計675人(4日時点)の重症度が示された。それによると、
・無症状か軽症:92.3%
・中等症:7.7%
・重症(人工呼吸器などを装着)0%
2021年7月18日時点では、
・無症状・軽症:72.8%
・中等症:26.2%
で、オミクロン株の「軽症傾向」が浮かぶ。

(沖縄県での1/1までのオミクロン株陽性者50人のデータより)
症状
72%:37.5℃以上の発熱
58%:咳
50%:倦怠感
44%:のどの痛み
 ・
 ・
 ・
6%:呼吸困難
2%:嗅覚・味覚障害

WHOは「オミクロン株のターゲットは肺よりも鼻やのど」と公表しています。
従来株は鼻やのどより肺への親和性が高いため、風邪症状が乏しいけど肺の奥で炎症が進んで“知らないうちに重症化”や“ happy hypoxia ”(呼吸困難感が乏しいけど酸素飽和度が下がる)ことが特徴とされてきましたが、オミクロン株は“ふつうの風邪”に近い性質に変化してきた、ということになります。

すると、ますますふつうの風邪と区別が難しい・・・症状だけでは誰にもわからないという元々の性質に磨きがかかりました。
かつ、のどや鼻にたくさんウイルスが居るので、マスクなし会話での感染力がより一層強まったことになります。

このような特徴を踏まえ、政府は対策を練り直して変更しました。

昨年末までは
・オミクロン株感染者は入院
・濃厚接触者は宿泊施設で待機
が原則でしたが、急速な患者数激増による医療逼迫の可能性を考慮し、
・自治体判断で症状に応じて宿泊、自宅療養
に変わりそうです。
さらに、今後の行動制限再開もやむなし、という雰囲気になっていますね。

我々一般人はどうすべきでしょうか?

まずはワクチン接種。
そして“感染対策の基本を守る”ことに尽きます。

・ワクチン接種
・マスク着用
・手洗いあるいは手指消毒
・三密を避ける

<参考>
オミクロン株「会食でマスク外せば、ほぼ全員感染」…予防策は従来と変わらず
(2022年1月9日:読売新聞)
 変異株「オミクロン株」が広がり、感染が急拡大している。予防策など注意点は何か。広島大の坂口剛正教授(ウイルス学)に聞いた。
 急拡大の背景には、オミクロン株の特徴がある。鼻から喉までの気道上部でウイルスが増殖し、くしゃみなどで広範囲に広がり、短期間で発症するので、爆発的に感染する可能性がある。「デルタ株の約6倍の感染力を持つ」と指摘する論文もある。
 医療従事者が、マスクなど対策をしながら感染した事例もある。会食などでマスクを外した場合は、ほぼ全員が感染してしまう。
 一方、肺の奥で増えるウイルスは少なく、重症化しにくい。ハムスターを使った実験でも、肺炎が起きにくいことが確認されている。
 ワクチンの効果について、英国の研究が報告されている。2回目接種の5か月後だと、オミクロン株の感染を防ぐ効果は5%を切るが、3回目接種の直後なら8割に高まる。入院率も9割近く下がるデータが出ており、重症化を防ぐ効果もある。
 予防策は従来と変わらず、会食などを控え、マスク着用や手洗いを励行することだ。過度に恐れたり、混乱したりせず、冷静に日頃の対策を徹底し、積極的にワクチン接種を受けてほしい。
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