相談が多いのでプリントにまとめました。
ほぼ全文を掲載します;
<水いぼ(伝染性軟属腫)の資料>
小児科と皮膚科関係の学会がいくつか見解を発表していますので引用します。
これらを読むと、水いぼがあっても「プールに入ってよい」「登園/登校可」ということになります。
※ 文中の下線は私が引きました。
■ 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(平成25年改訂版)
(日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会)
【概要】
特に幼児期に好発する皮膚疾患である。半球状に隆起し、光沢を帯び、中心に窪みをもつ粟粒大~米粒大(2-5mm)のいぼが、主に体幹、四肢にできる。
【病原体】伝染性軟疣腫ウイルス
【潜伏期間】2-7 週、時に6か月まで。
【感染経路】主として感染者への接触により直接感染するが、タオルの共用などによる間接感染もあり得る。
【症状】いぼ以外の症状はほとんどない。いぼの内容物が感染源となる。発生部位は体幹、四肢。 特にわきの下、胸部、上腕内側などの間擦部では自家接種により多発する傾向がある。 自然治癒まで 6-12 か月、時に 4 年程度かかることがある。
【好発年齢】幼児
【診断法】臨床症状によりなされる。
【治療法】自然治癒傾向があり放置してよい。
しかし、自家接種や他者への伝播を防止するため、ピンセットでの摘出や液体窒素での除去など、積極的に治療する考え方もある。
【感染拡大予防法】多数の発疹のある者については、プールでタオル、浮輪などを共用しないよう、プール後はシャワーで肌をきれいに洗うよう指導する。
【登校(園)基準】制限はないが、浸出液がでている場合は被覆する。
■ 「皮膚の学校感染症に関する統一見解」(平成22年)
(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・日本小児感染症学会)
幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ることもありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に感染することを考慮して治療します。
プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。この疾患のために、学校を休む必要はありません。
■ 「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」(平成25年)
(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さ い。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
<水いぼの治療あれこれ>
医療機関では以下のような治療が行われます。なぜこんなに種類があるのかというと、実は決め手の治療法がないのです。
小児科は放置(1)、皮膚科は処置(2~6)が多いと思われます。
当院では(7)の内服薬を処方しています。
1.取らない
裏面の資料にあるように、水いぼは本来自然に治るウイルス感染症です。ただし半年以上時間がかかるので辛抱が必要です。いぼが大きく育つと痕が残り、将来子ども(特に女の子)に恨まれるかもしれません。
水いぼが小さく数も多くない場合は「取らない」選択もありかもしれませんが、勢いが強い場合は治療をお勧めします。
2.ピンセットでむしり取る
通称「水いぼ鉗子」と呼ばれる医療器具を用いてむしり取る方法。当然痛いので子どもが嫌がり、一度に取れる数はせいぜい5~6個にとどまります。
変法:ピンセットでむしり取る前に痛覚を麻痺させるペンレステープ®(一般名:リドカインテープ)を貼り、1時間後に摘除する方法。副作用としてショックの可能性。
3.液体窒素で冷凍治療
極低温の液体窒素を皮膚に当てる方法。これも痛みがあります。
消退するまで時間がかかり、何回も通院する必要があります。
4.硝酸銀をつけて腐食させる
40%硝酸銀を綿棒で水いぼに付着させる方法。1週間ほどで消退するようです。
他の皮膚に付くと一過性に黒くなる欠点あり。
5.スピール膏®(サリチル酸絆創膏)を貼る
本来はいぼ(尋常性疣贅)に対する治療を応用した方法。
6.抗ウイルス薬であるアラセナA軟膏®(ビダラビン)を塗る
本来は単純ヘルペスウイルスに対する治療を応用した方法。
7.内服治療(ヨクイニン、漢方薬)
免疫賦活作用を狙った方法です。痛くありませんが、有効率は約50%とあまり高くないのが欠点です。急ぐ必要がない場合は試してみる価値があります。
ほぼ全文を掲載します;
<水いぼ(伝染性軟属腫)の資料>
小児科と皮膚科関係の学会がいくつか見解を発表していますので引用します。
これらを読むと、水いぼがあっても「プールに入ってよい」「登園/登校可」ということになります。
※ 文中の下線は私が引きました。
■ 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(平成25年改訂版)
(日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会)
【概要】
特に幼児期に好発する皮膚疾患である。半球状に隆起し、光沢を帯び、中心に窪みをもつ粟粒大~米粒大(2-5mm)のいぼが、主に体幹、四肢にできる。
【病原体】伝染性軟疣腫ウイルス
【潜伏期間】2-7 週、時に6か月まで。
【感染経路】主として感染者への接触により直接感染するが、タオルの共用などによる間接感染もあり得る。
【症状】いぼ以外の症状はほとんどない。いぼの内容物が感染源となる。発生部位は体幹、四肢。 特にわきの下、胸部、上腕内側などの間擦部では自家接種により多発する傾向がある。 自然治癒まで 6-12 か月、時に 4 年程度かかることがある。
【好発年齢】幼児
【診断法】臨床症状によりなされる。
【治療法】自然治癒傾向があり放置してよい。
しかし、自家接種や他者への伝播を防止するため、ピンセットでの摘出や液体窒素での除去など、積極的に治療する考え方もある。
【感染拡大予防法】多数の発疹のある者については、プールでタオル、浮輪などを共用しないよう、プール後はシャワーで肌をきれいに洗うよう指導する。
【登校(園)基準】制限はないが、浸出液がでている場合は被覆する。
■ 「皮膚の学校感染症に関する統一見解」(平成22年)
(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・日本小児感染症学会)
幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ることもありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に感染することを考慮して治療します。
プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。この疾患のために、学校を休む必要はありません。
■ 「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」(平成25年)
(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さ い。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
<水いぼの治療あれこれ>
医療機関では以下のような治療が行われます。なぜこんなに種類があるのかというと、実は決め手の治療法がないのです。
小児科は放置(1)、皮膚科は処置(2~6)が多いと思われます。
当院では(7)の内服薬を処方しています。
1.取らない
裏面の資料にあるように、水いぼは本来自然に治るウイルス感染症です。ただし半年以上時間がかかるので辛抱が必要です。いぼが大きく育つと痕が残り、将来子ども(特に女の子)に恨まれるかもしれません。
水いぼが小さく数も多くない場合は「取らない」選択もありかもしれませんが、勢いが強い場合は治療をお勧めします。
2.ピンセットでむしり取る
通称「水いぼ鉗子」と呼ばれる医療器具を用いてむしり取る方法。当然痛いので子どもが嫌がり、一度に取れる数はせいぜい5~6個にとどまります。
変法:ピンセットでむしり取る前に痛覚を麻痺させるペンレステープ®(一般名:リドカインテープ)を貼り、1時間後に摘除する方法。副作用としてショックの可能性。
3.液体窒素で冷凍治療
極低温の液体窒素を皮膚に当てる方法。これも痛みがあります。
消退するまで時間がかかり、何回も通院する必要があります。
4.硝酸銀をつけて腐食させる
40%硝酸銀を綿棒で水いぼに付着させる方法。1週間ほどで消退するようです。
他の皮膚に付くと一過性に黒くなる欠点あり。
5.スピール膏®(サリチル酸絆創膏)を貼る
本来はいぼ(尋常性疣贅)に対する治療を応用した方法。
6.抗ウイルス薬であるアラセナA軟膏®(ビダラビン)を塗る
本来は単純ヘルペスウイルスに対する治療を応用した方法。
7.内服治療(ヨクイニン、漢方薬)
免疫賦活作用を狙った方法です。痛くありませんが、有効率は約50%とあまり高くないのが欠点です。急ぐ必要がない場合は試してみる価値があります。