日本におけるインフルエンザワクチンの立場は微妙です。
他のワクチンより効果が低く「罹らないためではなく、罹っても軽く済ませるために接種する」程度の認識。
当然、ワクチン反対派も存在します。
現実として、小児科医の私は接種を勧める立場です。
ほかに有効な予防対策がありませんので。
心の中では、欧米で採用されている「経鼻生ワクチン」の導入を心待ちにしています。
その発症予防効果はなんと90%(現行の日本の不活化ワクチンは50%程度)。
さて、そのアメリカにおけるインフルエンザワクチン接種率はどれくらいなのでしょう。
ワクチン先進国であり、日本よりさぞかし高率に違いないと思い込んできましたが、実はそうでもなさそうなんです。
こんなニュースが流れてきました;
■ インフルワクチンの回避に使われる「5つの言い訳」と「その反論」
JAMAのエッセイ“viewpoint”(2013年1月18日オンライン版)より。
<成人のインフルワクチン接種率は約30%>
米国では,現在,一部の例外を除き生後6カ月以上の全ての人に年1回のインフルエンザワクチン接種が推奨されている他,米疾病対策センター(CDC)が公式サイト上でワクチンを接種可能な医療機関や薬局を見つけられる検索サイトの提供を行うなど,積極的に接種を働きかけている。しかし,同国の2008/09年の18~64歳の全成人におけるインフルエンザワクチン接種率は28.2%にとどまる。Talbot氏らは「中でも合併症を有する高リスク者や,高リスク者へのウイルス伝播のリスクが大きい医療関係者のインフルエンザワクチン接種率は容認し難い低さだ」と述べている。
同氏らは人々がインフルエンザワクチン接種を拒否する理由には共通性があるが,いずれも誤った認識が含まれていると指摘する。5つの言い訳と同氏らが示す反論の概要は次の通り。
<インフルワクチンを接種しない5つの言い訳とその反論>
□ インフルエンザワクチンは効かない
「他の一般的なワクチンほど有効ではない」は「有効ではない」とは違う。ワクチン株と流行株が合致すれば,ワクチンによる重症化予防効果が期待できる。ワクチン株と流行株の不一致による問題を解決するため,ユニバーサルワクチンの登場が望まれるが,これは現在のワクチンを接種しない理由にはならない。
□ ワクチンでインフルエンザになる
現在,米国で使用されている経鼻生ワクチン(LAIV),不活化ワクチンのいずれもインフルエンザウイルスの感染は起こさない。LAIV接種者からの二次感染も現時点で報告されていない。プラセボ対照のランダム化比較試験でも,ワクチン接種群で全身反応の発生が高いとの結果は示されていない。確かに接種後にインフルエンザ様症状が起きる,あるいは,インフルエンザと確定診断されることもあるが,他のウイルス感染やワクチンによる抗体上昇が起こる前にインフルエンザに罹患することによるものと考えられる。
□ 卵アレルギーがある
アナフィラキシーのような重篤なアレルギー反応を持つ場合は接種を避けるべきだが,最近のエビデンスに基づくガイダンスでは,そうした重度のアレルギーの場合を除いて,全ての卵アレルギー患者は十分な注意の上で,ワクチンを接種しなかった場合のリスクと接種によるリスクの妥当性を判断すべきとの見解が示されている。ただし,卵成分の曝露により血管浮腫や呼吸窮迫,エピネフリン使用や救急受診の既往がある場合にはアレルギー専門医に相談すべき。
□ 妊娠,医学的問題,または免疫不全の人との同居を理由に接種しない
妊娠や臓器移植歴などの状態にあることがまさにインフルエンザによる合併症のリスクが最も高いといえる。長年,こうした人々へのワクチン接種は安全かつ,重症化や死亡を予防できるとして推奨されている。
□ 「今までインフルエンザにかかったことがない」「健康に問題ない」
これはワクチン接種の最も大きな理由の1つを見落としている。健康な人の中には今まで典型的なインフルエンザ症状を呈したことがない人もいるかもしれないが,そうした状態でも他の人にウイルスを伝播させる可能性がある。自分のリスクが低いという理由でワクチン接種を拒否するのは,ワクチン接種ができない人やワクチンによる十分な抗体上昇が得られない人など他の人のリスクを無視することに他ならない。
な~んだ、実は日本と似たり寄ったり、なんですねえ(苦笑)。
他のワクチンより効果が低く「罹らないためではなく、罹っても軽く済ませるために接種する」程度の認識。
当然、ワクチン反対派も存在します。
現実として、小児科医の私は接種を勧める立場です。
ほかに有効な予防対策がありませんので。
心の中では、欧米で採用されている「経鼻生ワクチン」の導入を心待ちにしています。
その発症予防効果はなんと90%(現行の日本の不活化ワクチンは50%程度)。
さて、そのアメリカにおけるインフルエンザワクチン接種率はどれくらいなのでしょう。
ワクチン先進国であり、日本よりさぞかし高率に違いないと思い込んできましたが、実はそうでもなさそうなんです。
こんなニュースが流れてきました;
■ インフルワクチンの回避に使われる「5つの言い訳」と「その反論」
JAMAのエッセイ“viewpoint”(2013年1月18日オンライン版)より。
<成人のインフルワクチン接種率は約30%>
米国では,現在,一部の例外を除き生後6カ月以上の全ての人に年1回のインフルエンザワクチン接種が推奨されている他,米疾病対策センター(CDC)が公式サイト上でワクチンを接種可能な医療機関や薬局を見つけられる検索サイトの提供を行うなど,積極的に接種を働きかけている。しかし,同国の2008/09年の18~64歳の全成人におけるインフルエンザワクチン接種率は28.2%にとどまる。Talbot氏らは「中でも合併症を有する高リスク者や,高リスク者へのウイルス伝播のリスクが大きい医療関係者のインフルエンザワクチン接種率は容認し難い低さだ」と述べている。
同氏らは人々がインフルエンザワクチン接種を拒否する理由には共通性があるが,いずれも誤った認識が含まれていると指摘する。5つの言い訳と同氏らが示す反論の概要は次の通り。
<インフルワクチンを接種しない5つの言い訳とその反論>
□ インフルエンザワクチンは効かない
「他の一般的なワクチンほど有効ではない」は「有効ではない」とは違う。ワクチン株と流行株が合致すれば,ワクチンによる重症化予防効果が期待できる。ワクチン株と流行株の不一致による問題を解決するため,ユニバーサルワクチンの登場が望まれるが,これは現在のワクチンを接種しない理由にはならない。
□ ワクチンでインフルエンザになる
現在,米国で使用されている経鼻生ワクチン(LAIV),不活化ワクチンのいずれもインフルエンザウイルスの感染は起こさない。LAIV接種者からの二次感染も現時点で報告されていない。プラセボ対照のランダム化比較試験でも,ワクチン接種群で全身反応の発生が高いとの結果は示されていない。確かに接種後にインフルエンザ様症状が起きる,あるいは,インフルエンザと確定診断されることもあるが,他のウイルス感染やワクチンによる抗体上昇が起こる前にインフルエンザに罹患することによるものと考えられる。
□ 卵アレルギーがある
アナフィラキシーのような重篤なアレルギー反応を持つ場合は接種を避けるべきだが,最近のエビデンスに基づくガイダンスでは,そうした重度のアレルギーの場合を除いて,全ての卵アレルギー患者は十分な注意の上で,ワクチンを接種しなかった場合のリスクと接種によるリスクの妥当性を判断すべきとの見解が示されている。ただし,卵成分の曝露により血管浮腫や呼吸窮迫,エピネフリン使用や救急受診の既往がある場合にはアレルギー専門医に相談すべき。
□ 妊娠,医学的問題,または免疫不全の人との同居を理由に接種しない
妊娠や臓器移植歴などの状態にあることがまさにインフルエンザによる合併症のリスクが最も高いといえる。長年,こうした人々へのワクチン接種は安全かつ,重症化や死亡を予防できるとして推奨されている。
□ 「今までインフルエンザにかかったことがない」「健康に問題ない」
これはワクチン接種の最も大きな理由の1つを見落としている。健康な人の中には今まで典型的なインフルエンザ症状を呈したことがない人もいるかもしれないが,そうした状態でも他の人にウイルスを伝播させる可能性がある。自分のリスクが低いという理由でワクチン接種を拒否するのは,ワクチン接種ができない人やワクチンによる十分な抗体上昇が得られない人など他の人のリスクを無視することに他ならない。
な~んだ、実は日本と似たり寄ったり、なんですねえ(苦笑)。